「生物」2018年度京都大学個別試験分析

2018年度京都大学個別試験 分析速報

■分量と難度の変化(理科…1科目90分,2科目180分) 
・分量:問題のページ数が減ったことなどからやや減少。
・難易度:昨年度ほど時間をとられる設問が多くないのでやや易化。
・各分野から出題されるが,「遺伝情報とその発現」および「生態と環境」からの出題頻度が比較的高い。また,教科書に掲載のない初見の題材をもとにした出題が基本となる。
・知識問題も出題されるが,考察問題が出題の中心である。論述問題は,解答欄の範囲内で答える。

■今年度入試の特記事項
・2017年度は論述の題数が多く個々の記述量が少なかったが,2018年度は例年並みの題数・記述量である。
・2015・2016年度にみられたような,教科書でまったくもしくはほとんど扱いのない知識問題が復活。
・2017年度出なかった遺伝の問題も復活した。

■合否の分かれ目
・生物問題I問7や,生物問題II問5,生物問題III問3・5,生物問題IV問4・7など,検討や論述に時間のかかる考察問題が多く,これらの問題に落ち着いて取り組む時間を取れたかどうかが,合否の分かれ目になった。
・生物問題I問1・2・4・5,生物問題II問1,生物問題III問2などの,教科書レベルの知識で解答できる問題や,生物問題II問2のような単純な計算問題は,時間をかけずに解き進められるようにしておいてほしい。
・生物問題II問3・4は,思いつかなかったらほかに進みたい。
・いずれの大問も完答は難しいので,解ける設問で確実に得点を重ねることが必要である。
・論述問題はわかっていないことまで無理に踏み込まず,読み取れた内容のみを簡潔に記し,無駄な失点を防ぐこと。

■大問別ポイント
 第1問  
(A)
・問1~4とも取り組みやすい問題が並んでいる。確実に解答したい中問である。

(B)
・問7,薬剤Bで効果が消えることから,薬剤Aは,翻訳あるいは翻訳後のタンパク質の活性化を促進するなどして,シナプス強度の増強にかかわる薬剤であることが推察される。

 第2問  
・中問に分かれていない大問である。
・問3・問4は,現行課程の教科書ではコラム扱いであったり掲載がなかったりするので,取り組みにくいかもしれない。
・問5⑵は,子である胚では組換え遺伝子をもっていなくても発現しており,その母である雌は組換え遺伝子をもっていることから考える。

 第3問  
(A)
・余談だが,問1はヒトが身近な生物をさまざまに人為分類してきたことを実感させておもしろい。
・問2はいくつかの要因が考えられるが,要素を切り分けて異なるものを2つ述べれば十分であろう。

(B)
・問4は偏りの理由を的確に記述するのが難しい。
・問5⑵,新規“しわ”突然変異体は,“丸”(RR)から生じたのでRR をもつことになる。
・問6,泳動像とSNP座位の塩基の組み合わせが親あるいはそのヘテロ接合体と違うものが,組換えで生じた個体である。

 第4問 
(A)
・問4は,繁殖せずに子育てを手伝っている個体がいる,つまり子育てにコストをかけていることを踏まえる。

(B)
・問7は,リード文の末尾から,毛を生じることは一概に有利なわけではないことがわかるので,それを踏まえて考える。つまり,毛を生じるコストをかけても生存上で有利となる条件を述べる。

 

京大生物攻略のためのアドバイス

京大生物を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 関連分野と連動した知識
ハイレベルな勝負になる京大生物では,教科書レベルの知識でカバーできる用語問題や論述問題での失点は許されない。教科書と図説を参照する習慣を身につけよう。
教科書で太字になっている語については単純に暗記するだけでなく,関連する生命現象と合わせて,自分の言葉で説明できるようにしておくこと。

●要求2● 実験データの読解力

問題の分量が多いので,見慣れない実験の手法やデータをすばやく的確に読み解く必要がある。
そのためには,条件や結論を箇条書きにして整理する訓練が有効。まずは標準レベルの実験考察問題に取り組むところから始め,徐々に京大レベルに近づけていこう。

●要求3● 考えたことを的確に伝える論述力

論述力は自分の手を動かして答案を書き上げることが何よりも大切。
実戦演習を重ねる中で,仮説→実験→結果→考察→仮説という一連の流れを自分なりに整理する癖を身につけ,論述に必要なキーワードを集めることから始めよう。
書き上げた後は,独りよがりな答案になっていないか,添削をしてもらうとよい。

■知識力の完成
なるべく早く●要求1●の完成を目指すこと(遅くとも高3の夏をめざそう)。とくに,「生態と環境」,「生物の進化と系統」は対策が遅れがちになるので,計画的に学習を進めよう。Z会の本『生物 知識の焦点』は,高校生物の全範囲について,教科書だけでは学べない入試頻出事項を解説しているので,知識力の向上に最適である。

■演習量の確保
入試形式の演習問題になるべく数多くあたり,●要求2・3●のレベルUPを図ろう。典型・頻出問題は一通りこなしておくこと。Z会の通信教育でも,京大の出題レベルに合わせて典型・頻出問題を出題していく。

■速読・速解の習得
問題の分量が多い京大生物では,なるべく全部の設問に手をつけられるよう,問題を解くスピードも重要になってくる。本番の入試を意識して,時間配分にも気を配った演習を積もう。

▼「京大コース」文系数学担当者からのメッセージ
文系としては難易度の高い問題を出題する京大とはいえ,解ける問題も出題されている。今年であれば,大問1であろう。このような問題を確実に得点することが必要である。
また,ごまかしの論証も認めてもらえない。大問3は求値問題で,具体的に実験すれば値の予想はつくが,どうしてその値しかとらないのかを示す必要がある。ただ値が求まればよいということではないことに注意したい。大問4は文系には少々酷な論証問だが,論証の京大らしい問題ともいえ,このレベルの論証力を目標に取り組みたいところだ。
微積分,確率,図形,整数といった分野は京大では頻出分野である。これらの分野は計算力,発想力,論証力をみるのに適しているといえる。Z会の教材は,これらの力を鍛えるためであることはもちろん,論証力といった人に説明する力も添削で養うことができる。数学は短期間で鍛えることができる力ではない。少しでも早く対策ができるように学習をスタートさせてほしい。