「英語」2018年度京都大学個別試験分析

2018年度京都大学個別試験 分析速報

■分量と難度の変化
・分量:昨年並み / 難易度:変化なし
2017年度と同様に,大問4題の構成。IとIIは長文読解問題で,昨年同様,下線部和訳に加えて内容説明や記号選択式の空所補充問題が出題された。IIIの英作文問題では,これまでは与えられた和文を英訳するだけであったが,今年度は和文の中に空所があり,その空所に当てはまるように内容を考える条件英作文の要素も加わった全訳形式での出題となった。IVは会話文空所補充型の自由英作文が今年も出題された。

■今年度入試の特記事項
・I,IIで字数指定のない内容説明問題が出題された。
・IIIでは和文英訳の中に空所が設けられ,その空所を埋める内容も考えながら,全文を英訳する形式で出題された。
・IVは空所の数が4つの空所補充型自由英作文の出題であった。

■合否の分かれ目
近年,京大入試では日本語での内容説明問題が出題される傾向にあるが,今年度はI,IIの(1)で字数制限がなかったため,どこまでを解答に含めればよいか戸惑いを感じた受験生もいたかもしれない。
またIIIの和文英訳内の条件英作文は新傾向であるが,基本はIVと同じで空所に入る内容を空所前後から正しく推測しないと,内容面で外した,得点の低い解答になってしまう。

■大問別ポイント
 I 【長文読解】
・論説「人を助ける際の姿勢」についての約540語の英文。小問3題から成り,(1)は下線部の内容を解答欄におさまる長さで説明する問題,(2)は下線部和訳,(3)は本文の5つの空所に与えられた選択肢から語句を補充するという設問であった。文章は ‘savior complex’ をキーワードに人を助ける時の姿勢や態度について述べている。下線部和訳では,難語や取りにくい構造は見られなかった。
・(1)「解答欄におさまる長さにすること」という条件が付いているが,基本的には下線部直後の2文の内容をまとめることになる。
・(2)昨年度よりも若干和訳する部分は長くなっている。1文目は,動詞 matter は「重要である」という意味。as much as で how you help の節と that you do help の節を比較している。2文目は,with humility が入り込んでいるが,ask for には気づいただろう。3文目の afford は afford ~ …の形で「~に…を与える」という意味。
・(3)本文の空所に合うように選択肢にある動詞を入れる問題。選択肢は動詞でそろっていたのだが,1語だけではなく,熟語も混じっていた。選択肢は文脈ですぐに決まるものばかりで, to begin with など基本的な知識で解けるものもあった。

 II 【長文読解】
・論説「小惑星や彗星の探査」についての約530語の英文。小問3問から成り,(1)は 下線部の内容を解答欄におさまる長さで説明する問題,(2),(3)は下線部和訳という設問であった。
・昨年度は大問IIの(1)は記号選択式の空所補充問題であったが,今年度は全問記述式であった。
・(1)は下線部の後に出てくる First と Second という目印となる単語があり,複数挙げるべき内容がわかりやすく列挙されている。該当箇所の説明が長いので,「解答欄におさまる長さ」にするために,どの部分を削るのかの判断が難しかったかもしれない。第3段落の第1文で下線部の内容がまとめられているので,この文を軸にしてまとめるのも一案だろう。
・(2)は文構造自体はそれほど複雑ではないが plane の意味や rendezvous with ~,trajectory などの訳出が難しい。文脈から意味は推測できても適切な日本語で表すのは至難のわざと思われる。
・(3)は underutilized という単語が難しかった。文構造はそれほど複雑なものは含まれていない。
・(2)と(3)の和訳問題は,文構造はそれほど複雑ではないが,難しい単語が含まれ,文脈把握力のほか,テーマについての知識によって訳の精度に影響が出る問題だったと思われる。

 III 【条件英作文】
・昨年度同様,分量は1問。
・例年,エッセイ調の和文を英訳する問題が出題されていたが,2018年度は,その形式を踏襲した上で,さらに和文の中に空所が設けられ,前後の文脈からその空所にふさわしい内容を補う空所補充型の自由英作文の要素も加わった。
・空所補充の内容については,空所の前の「海外の人は文化が異なるため和食の味がわからない」という意見に対して「はたしてそうだろうか」と続いて空所があることから,それに対する反論の根拠を述べることが求められている。空所の直後には,「さらに言うならば」に続けて「日本人であっても育った環境によって違う」という内容が補足されているので,そこにも自然につながる内容を考える必要があった。
・和文英訳の内容については,昨年度は「生兵法は大怪我のもと」や「油断は禁物」など日本語独特のフレーズが多く,和文和訳の工夫が求められたが,今年度は比較的平易な言い回しで,基本的な構文や表現を用いて表せる内容であった。空所補充で戸惑ったとしても,和文英訳のところで確実に得点したい。

 IV 【自由英作文】
・3年連続で会話の空所補充型の自由英作文が出題された。話の展開に合うような内容を考える点および語数が明示されていない点は昨年同様。
・ただし,昨年度は二者による4回の発言に対して2箇所の空所を埋める指示だったのが,今回は発言数が13に増えて会話が長くなり,空所も4箇所に増えた。
・また,空所に入れるべき内容も,2017年度までは論理的な説明を要する意見論述型の内容で説得力も求められたが,今年度は「レポートの提出に関する教師と生徒のやりとり」において,空所の前後の内容に合う質問や返答を答えればよい点で,昨年度より書きやすくなったと言える。平易な内容でも条件に十分合うため,内容面をきちんと押さえられれば大きな失点にはつながらなかっただろう。
・各空所で求められる内容は次のとおり。(1)知らない人物の名前の綴りを尋ねる質問,(2)レポートの書き方の詳細を尋ねる質問,(3)過去にレポートやエッセイを書いた時のエピソードの説明,(4)期末試験に向けてのアドバイスを求める質問。空所はすべて生徒の発言なので,質問では目上の人物に対する敬意を Would〔Could〕you …? などの表現で示せるとなおよい。

 

京大英語攻略のためのアドバイス

京大英語を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 単語力,文法・構文力
京大入試においては,まず相応の単語力が大前提となる。純粋な語彙の量だけでなく,複数の語義やイディオムなど,1つ1つの語彙に対する深い理解が求められ,日々の英語学習の中で意識的に身に付けていく必要がある。そのためには必ず単語集による学習を行い,日本語と英語のどちらからでも適訳を思い浮かべられるようにしよう。「文法・構文力」も同様に必須である。これも自分に合った問題集・参考書を見つけ,早めに苦手分野をなくしておくこと。また,知識の定着だけでなく,実際の英文の読解に取り組む中で実戦的に構文を見抜く練習や英作文に組み込む練習も並行して行いたい。

●要求2● 精読力
京大の場合,まずは1文ずつ,英文の文構造を把握しながら正確に読む「精読力」の養成から始めよう。難関大の入試を見据えた長文読解の参考書に取り組むことが望ましい。しばらくは,時間がかかっても構わないので,英文を読む際には,辞書を引きつつも単語の意味を文脈から推測して読む練習をしよう。

●要求3●表現力
近年の京大入試は変化が見られる。長文読解では,内容説明問題が加わった。和訳できるだけでなく,解答の該当箇所を見つけ,字数制限や解答欄におさまるように解答をまとめる力が必要だ。英作文では,これまでとは違い「コミュニケーション」の側面も重要視される傾向にある。日本語の難しい表現を英語に変換できるだけでなく,会話文や文の展開に合うように文脈,状況を把握し,自分の言葉で解答を作成する訓練が必要になる。
まずは,●要求1●の基礎的な部分を満たすことを目指そう。単語にしろ,文法・構文にしろ,覚えては忘れ,忘れては覚えていく地道な努力は確実に実を結ぶ。また辞書を引きながら長文読解問題や英作文問題に取り組み,精読力と実戦的な文法・構文力を同時に高めていこう。
次に,辞書の利用を徐々に少なくしていきながら,制限時間内の解答を意識しつつ京大レベルの問題に取り組もう。長文読解問題では,英文全体の論理展開を意識して取り組むとよい。また,日本語独特の表現をうまく英語で表せるような表現力も身に付けていきたい。
最後に,京大レベルの演習に精力的に取り組み,第三者の添削を受けるようにしよう。英訳・和訳の比重は依然大きいが,近年の出題形式は流動的な部分があるので,自由英作文を含め,一般的な国公立大の記述型問題には対応できるよう練習を積んでおこう。Z会では,さまざまな問題形式を総合的に扱っていく。

▼「京大コース」英語担当者からのメッセージ
京大英語は,英文和訳と和文英訳の大きな2本柱で構成されたシンプルな出題で長年固定されていましたが,ここ数年で変化が現れています。長文読解では,内容説明問題や空所補充問題などの出題が含まれ,下線部和訳だけの出題ではなくなりました。英作文も,和文英訳と自由英作文の2題構成になりました。長文読解,英作文ともに共通するのは,難度の高い英文や英作文で解くのに時間がかかることです。単に空所や下線部の前後だけの確認にとどまらず,英文全体を俯瞰する必要があります。
さらに今年度の変化として,「使える英語」が求められている出題になっている点は外せません。京大が公表するアドミッション・ポリシーでは,「外国語運用能力を含むコミュニケーションに関する力」を掲げています。今年度のIIIの和文英訳は空所補充を含む形式に変化し,IVの自由英作文は今年度も会話の中に設けられた空所を埋める形式です。IVでは,ここ2年と違い,日常生活でありがちな状況での発言を入れる空所が与えられていました。文法・語法の正確な運用力はもちろんですが,両者の形式では,与えられた文中や会話の流れを逸脱しないようにまずは正確な読解力が求められます。その上で,答えるべき内容を表現するコミュニケーション能力が問われていると言えます。