「物理」2018年度東京大学個別試験分析

2018年度東京大学個別試験 分析速報

■分量と難度の変化
・全体的に,分量は増加,難易度は難化した(昨年度比)。
・設問数やページ数は昨年度と大きく変わらないものの,見慣れない問題が多く設定の理解に時間を要するうえ,計算量が大幅に増えたため,分量感(解答の負担感)は増加した。
・力学,電磁気分野から各1題,その他の分野から1題(本年度は熱力学)の,計3題の出題という傾向に変化はなかった。

■今年度入試の特記事項
・「見かけの重力」に関する問題が2年連続で出題された。
・3年ぶりに論述問題(説明問題)が出題された。

■合否の分かれ目
・昨年度の傾向を引き継ぎ,その場で物理的な考察をさせる物理のセンスを問うような問題が多く出題された。自分にとって状況把握がしやすく解きやすそうな問題から手をつけていくのが得策である。今年度は問題の難度が高かったうえ計算量も多かったので,思うように解き進められなかった受験生も多くいただろう。
・第1問II(4),第2問I(1)(2),第3問I,II(1) (3),III(1)は問題全体の中では比較的解きやすいので,ミスなく素早く解いておきたい。実際には第1問I(2),II,第2問I(3),第3問II(4)(5),III(2) の出来で合否が分かれただろう。
・2018年度は例年より低めの5割5分程度の得点を目指したい試験であった。前問の答や考え方を利用することでその後の問題が素早く解けるようになることが多いので,前後の設問のつながりを意識して解くとよいだろう。

■大問別ポイント
 第1問  
柱つきの台と,台につるされた小球の運動に関する問題
・Iでは系が静止した状態から小球を運動させる。台と小球を合わせた系全体の運動量の和が0であることを考えれば,この系の運動のイメージがつかみやすい。(2)は相対運動を考える必要があるが,ここで間違えると雪崩式に失点する可能性があるので,慎重に解きたい。(3)(4)は設問文にヒントがあるので,これを利用して解けばよい。
・IIは台から見たときの慣性力を含めて考える問題。見かけの重力の方向を中心として振り子運動するイメージをつかむことが大切である。このような問題は解いた経験がないと難しい。
・II(4)は大問最後の問題だが,状況が理解できていれば解きやすく計算も少ない。このような問題は取りこぼさないように注意したい。
・全体的に重心の運動や相対運動がテーマとなっているが,これらは東大物理頻出の項目である。

 第2問  
複数の金属板からなるコンデンサー回路と単振動に関する問題
・本問は全体的に計算量が多く,解くのに時間がかかるが,解き方としては一つずつ丁寧に電荷保存や電場と電位の関係(E=V/d)を考えていけばよい。
・Iでは,極板間引力の求め方を正確に理解している必要があった。(3)では運動方程式を立てる必要があるが,計算が複雑である。
・IIでは,各金属板が帯びている電荷を整理することがポイント。
・計算の工夫次第で効率的に解くこともできる。

 第3問  
円柱状の容器内における気体の状態変化に関する問題
・本問は大問3題中では計算量が少ないが,順を追って的確に状態を捉えていく必要がある。
・Iは,液面の高さが等しいところは圧力が等しいことに着目して解けばよい。
・IIとIIIは,気体のp-Vグラフを描いて整理すると,考察しやすくなる。なお,II(3)は基本問題なので,取りこぼさないこと。

 

東大物理攻略のためのアドバイス

東大物理を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 読解力
丁寧な説明や誘導が東大物理の特徴の一つ。2018年度はとくに設問文中で顕著であったが,現象や原理の説明が長い文章で示されることがある。長い文章の中には,解答のヒントが含まれているものである。したがって,東大物理の攻略には,限られた時間で文章から現象を正確に読み取る力が不可欠である。

●要求2● 現象を説明する力
答案を作成するためには,問題文から読み取った現象を教科書レベルの原理,法則を用いて説明する力が必要である。まずは,基本事項の理解を深めることを目指そう。

●要求3● 適切に記述する力
東大物理では解答の自由度が高い解答用紙に,設問ごとに適切な解答を記述する必要がある。適切に解答する力は,答案を書く訓練を繰り返しながら身につけるしかない。

まずは,●要求2●を満たすことを目指そう。独学が困難な物理は,授業を大事にしたい。高校3年の夏までには,基礎事項を完成させたい。Z会の本『物理 解法の焦点』は,高校物理の全範囲について,教科書だけでは学べない実戦的な解法を身につけることができるので,早い時期から取り組むことをおすすめする。

次の段階として,基本事項を東大レベルの問題に応用できる力を高めよう。そのためには,問題の意図を的確につかむこと,つまり,●要求1●を満たす必要がある。このためには,良質な問題を数多く解いておきたい。Z会の通信教育では,読解力を養うのに最適な良問を提供している。

ここまでの学習が順調であれば,●要求3●もある程度は満たされているはずである。最後は,東大型の問題演習に取り組もう。即応した問題を解くことで,さらに数点の上乗せを期待できる。

▼「東大コース」物理担当者からのメッセージ
今年度は,例年ならば大問の最初の方にある基本的な問題が減り,骨の折れる問題が並びました。物理の問題集を一通りさらっと解いた程度では太刀打ちできません。教科書や参考書,または問題を解く過程で「ふむふむなるほど,だからこういう現象が起こるのか」「この公式はこの関係から導かれるのか」というようにきちんと物理に対する理解を深めていくことが大切です。とくに東大物理は見慣れない設定や複雑な設定の問題が出題されるので,問題の状況を正しく把握するためにも深い理解が必要です。とはいえインプットだけでは十分ではないので,ある程度の力がついたら,「問題演習→ちょっとでもあやふやだったところを含めて徹底理解→問題演習(復習)→再度わからなかったところの理解」というように,アウトプットの中にインプットを含めていきましょう。これを繰り返すことで,段々と,東大で出題されるような難度の高い複雑な問題に対する対応力がついていきます。
なお,第1問Iと似た問題を,2017年度のZ会の通信教育,本科「東大コース」直前演習期1月号で出題していました!また,Z会の教室では,2017年度の「直前大学別実戦・東大前期対策実戦講座」(Z会東大進学教室),「錬成ゼミファイナル・東大前期」(Z会京大進学教室)にて扱っておりました!
これらの問題を丁寧に学習していれば,本番では余裕をもって取り組むことができ,得点につなげられたはずです。
問題演習の際には,ぜひZ会の良質な問題に取り組んでみてください!