「生物」2019年度京都大学個別試験分析

分析速報

■分量と難度の変化(理科…1科目90分,2科目180分) 
・分量:設問数,論述問題数が減ったことなどからやや減少。
・難易度:昨年度ほど時間をとられる設問が多くないのでやや易化。
・各分野から出題されるが,「遺伝情報の発現」および「生態と環境」からの出題頻度が比較的高い。また,教科書に掲載のない初見の題材をもとにした出題が基本となる。
・知識問題も出題されるが,考察問題が出題の中心である。論述問題は,解答欄の範囲内で答える。

■今年度入試の特記事項
・2017年度は論述の題数が多く個々の記述量が少なかったが,2018・2019年度は例年並みの題数・記述量である。
・2016・2018年度にみられたような,教科書でまったくもしくはほとんど扱いのない知識問題は,2019年度にはみられなかった。

■合否の分かれ目
・例年だといずれの大問も完答は難しいのだが,2019年度は,多くの受験生が解きあぐねるような設問がなかったため,解ける設問で失点せずに確実に得点することが重要になったと思われる。
・生物問題II問2・3・5,生物問題III問1~3,生物問題IV問1などの,教科書レベルの知識で解答できる用語問題・論述問題は,時間をかけずに解き進められるようにしておいてほしい。
・生物問題I問のような問いは,思いつかなかったら,消去法でとりあえず選んだ記号を書いて先に進みたい。
・生物問題II問4,生物問題IV問6などは,題材は初見でも,設問文などから教科書や図説,問題演習でみた類似の現象と結びつけて理解したい。これらの論述問題や,また,生物問題II問6(2),生物問題IV問3などの検討や論述に時間のかかる考察問題に,落ち着いて取り組む時間を取れたかどうかが,合否の分かれ目になった。

 

■大問別ポイント
 生物問題I  
・中問に分かれていない大問である。
・問1は,掲載している教科書もあるが扱いはそれほど大きくなく,化学生物選択でないと面食らったかもしれない。(い)・(う)はアミノ酸でないなど,消去法で考える。
・問2~4は,タンパク質の性質を踏まえて丁寧に考えれば解けるので,解答したい設問。

 生物問題II  
(A)
・問1はリード文をふまえて丁寧に考えたい。
・問2・3は教科書での扱いが薄くなった昆虫に関する出題。
・問4はノックアウト生物の作出法を知っていると取り組みやすい。

(B)
・ニワトリ前肢のZPAから分泌されるSHHの濃度変化とその影響を定量的に考える問題。
・問6(2)の論述は,計算の過程・結果を含めて論述する形式。
・問6(1)(2)は対数を使うが,計算自体は単純なので落ち着いて取り組みたい。

 生物問題III  
・中問に分かれていない大問である。
・問1は種子の休眠,問2・3は植物の光応答に関するそれぞれ基本的な設問なので,確実に解答したい。

 生物問題IV  
(A)
・問2は小集団では遺伝的浮動の影響が大きいことを述べればよい。
・問3では設問文より被子植物と陸産貝類(カタツムリなど)の繁殖法の違いに注目する。

(B)
・問4は初期進化の基本的な設問なので,確実に解答したい。
・問6は,ミトコンドリアや葉緑体の機能や分裂に関与する遺伝子が植物の核に存在することを,共生細菌とシロウリガイに引き比べて考える。

 

 

 

攻略のためのアドバイス

京大生物を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 関連分野と連動した知識
ハイレベルな勝負になる京大生物では,教科書レベルの知識でカバーできる用語問題や論述問題での失点は許されない。教科書と図説を参照する習慣を身につけよう。
教科書で太字になっている語については単純に暗記するだけでなく,関連する生命現象と合わせて,自分の言葉で説明できるようにしておくこと。

●要求2● 実験データの読解力
問題の分量が多いので,見慣れない実験の手法やデータをすばやく的確に読み解く必要がある。
そのためには,条件や結論を箇条書きにして整理する訓練が有効。まずは標準レベルの実験考察問題に取り組むところから始め,徐々に京大レベルに近づけていこう。

●要求3● 解くべき問題を見極める力
論述力は自分の手を動かして答案を書き上げることが何よりも大切。
実戦演習を重ねる中で,仮説→実験→結果→考察→仮説という一連の流れを自分なりに整理する癖を身につけ,論述に必要なキーワードを集めることから始めよう。
書き上げた後は,独りよがりな答案になっていないか,添削をしてもらうとよい。

■知識力の完成
なるべく早く●要求1●の完成を目指すこと(遅くとも高3の夏をめざそう)。とくに,「生態と環境」,「生物の進化と系統」は対策が遅れがちになるので,計画的に学習を進めよう。Z会の本『生物 知識の焦点』は,高校生物の全範囲について,教科書だけでは学べない入試頻出事項を解説しているので,知識力の向上に最適である。

■演習量の確保
入試形式の演習問題になるべく数多くあたり,●要求2・3●のレベルUPを図ろう。典型・頻出問題は一通りこなしておくこと。Z会の通信教育でも,京大の出題レベルに合わせて典型・頻出問題を出題していく。

■速読・速解の習得
問題の分量が多い京大生物では,なるべく全部の設問に手をつけられるよう,問題を解くスピードも重要になってくる。本番の入試を意識して,時間配分にも気を配った演習を積もう。

 

▼「京大コース」生物担当者からのメッセージ
今年は基礎的な知識を問う用語問題や論述問題が比較的多かったので(それはそれで誤字やケアレスミスがこわいけれど),すべての問題に目を通すことができた人が多いのではないでしょうか。それだけに,考察問題や論述問題では設問の要求を正しく理解し,それを的確に論述できたかどうかの差が明確になったものと思います。
時間がなくなると,生物の問題演習では考察問題なども要素だけ挙げて答え合わせ・・・となりがちですが,個別試験に向けては実際に手を動かし,文どうしのつながりも意識して論述する演習も取り入れるようにしてほしいです。そして,それにはZ会の添削問題が最適だと,自信をもっておすすめします。

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