「物理」2019年度京都大学個別試験分析

分析速報

■分量と難度の変化
・分量は増加
・難易度は難化。2018年度までの2年間は易しい出題が続いたが,2019年度は2016年度以前のような難度の高い出題に戻った。

■今年度入試の特記事項
・2019年度は,過去2年と傾向が異なり,難度の高い問題が出題された。
・複雑な計算処理が必要となる設問が多く,時間内に全てを解ききるのは難しい。
・例年に比べて空欄補充問題が減り,論述問題が増えた(今年度は6題)。

■合否の分かれ目
・計算量が非常に多いので,すばやく解けそうな問題を見極め,ミスなく答までたどり着けたかが鍵。論述問題で時間がかかりそうであれば,先に空欄補充問題を解いてしまうのも一つの戦略である。
・物理問題Iでは,(1)カ,キ,(2)で計算ミスをせず,正答が得ることが重要だった。
・物理問題IIでは,(3)へ,トの出来で点差が開いただろう。
・物理問題IIIは,あ~え,か,く,こなどの基本的な問題を確実に得点することが,合格点を越えるための必須条件だったと考えられる。

 

■大問別ポイント
 物理問題 I  
地球のまわりを運動する人工衛星に関する問題
・(1)は,人工衛星にひもで小物体を取りつけて,円軌道上を運動させる問題。比較的易しいので,ここで得点しておきたい。は与えられた近似式を的確に用いることがポイント。
・(2)は目新しい設定で計算量が多く,数学的な要素が強いが,問題文の誘導にのることができれば,考え方自体はそう難しくはない。
・全体的に近似を使って計算する設問が多く,処理に時間がかかる。ケプラーの第3法則など,対策が手薄になりがちな分野からの出題もあり,漏れのない知識が必要であった。

 物理問題 II  
一様でない磁場中における電子の運動に関する問題
・(2)のまでは比較的計算が少ないので,すばやく完答したい。は,設問文中で与えられた面積(積分)の式を使うために,式変形を行えばよい。
問1では,与えられたφRが円錐の体積で表されていることに気づけるかがポイントであった。
・(3)は,空間的・時間的に磁場が変化する設定であり,難度が高い。は,電子が等加速度運動していることより導く。京大では本問のベータトロンのような設定は頻出なので,対策は必須である。

 物理問題 III  
薄膜による光の干渉を電磁波の式から考察する問題
・薄膜による光の干渉を,波の式(位相)で考察する目新しい設定であり,問題文中で与えられている文字が多いため,勘違いや計算ミスをしないよう,丁寧に読み進めることが大切である。例えば,では,波がz軸負の向きに進むことに注意が必要であった。か,く,けは基本問題なので確実に得点したいが,薄膜中の光の波長(もしくは光路差)を用いて考えることに注意したい。
問1は,合成波の光の強度を,三角関数の合成から求める問題で,難度が高い。
・解ける問題を確実に落とさないことが重要な大問であった。

 

 

 

攻略のためのアドバイス

京大物理を攻略するには,次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 問題文を読解する力
京大物理の問題文は分量が多く題材が目新しい場合が多い。設定を的確に把握するためには,相当の読解力が必要である。また,問題文にはヒントが含まれていることが多く,この読み取りが合否を分ける。

●要求2● 正確かつ迅速に計算する力
京大物理では各設問で与えられる記号(物理量)が多く,設問数も多い。また,2019年度はとくに高度な計算力が求められた。煩雑な計算をミスなく行い,かつ,速く解く必要がある。

●要求3● 解くべき問題を見極める力
例年の京大物理では,問題文が長く,計算量も多いため,時間内にすべて解くのは厳しい。このため,試験開始直後に問題全体にざっと目を通して解くべき問題を見極めること,および,その解答に必要な時間を適切に配分することが,合格点(ひいては高得点)の確保に向けて重要となる。大問の途中で解けない設問があっても,大問の最後の方で独立して解ける設問がある場合が多いので,諦めず全体に目を通し,「解ける設問を確実に解く」姿勢が,合格には必須である。

まずは,●要求2●を意識して,ミスなく要領よく解答できる力をつけよう。基礎力がある程度ついたら,京大レベルの問題に慣れていこう。Z会の通信教育では,読解力向上や重量級の計算にも対処する力の養成を念頭においた出題を行っている。
●要求1●や●要求3●は実戦演習の中で培われる力である。京大物理は,早めに基礎を固め,徐々に長い問題文に慣れていかないと,太刀打ちできない。自分の得意不得意,問題の難易度を意識し,試験時間をめいっぱい活用して得点を最大化できるような解き方を身につけてほしい。

 

▼「京大コース」物理担当者からのメッセージ
京大物理の特徴であった,「問題文長い! 計算多い! 難しい!」の三重苦が3年ぶりに戻ってきました。過去2年間の比較的易しい傾向が続くと期待して今年度の入試に臨んだ人は,骨の折れる高度な計算や設定理解に手こずったことでしょう。とはいえ,入試では受験生全員が同じ問題を解くので,「問題の難易度に左右されず,どんな出題でも合格点が取れる」状態にもっていくことが重要です。

京大物理の出題をみると,最初は面食らうかもしれませんが,目新しい題材ほど誘導が親切で,解きやすいことが多いです。大切なことは2回書いてくれたり,途中で検算になるヒントを散りばめたりしてくれていますので,ヒントを見落とさず,確信をもって解き進められるようになってほしいです。Z会の[本科]京大コースでは,3月号~8月号で,問題文から状況を正しく読み解き,立式する力を養います。この演習を繰り返すことで,京大で頻出の目新しい設定の問題に出会っても,最後まで解ききる力が身につきます。粘り強い演習を積み重ねて,京大合格を勝ち取りましょう!

■[本科]京大コース物理の詳細はこちら