「世界史」2019年度京都大学個別試験分析

分析速報

■分量と難度の変化(地歴…時間:90分) 
・例年通り大問I・IIIは300字論述(各20点),大問II・IVは長文下線部・空欄補充(各30点)の大問4題構成。
・全体的な難易度は昨年並みであった。

■今年度入試の特記事項
・例年同様,大問I・IIがアジア史中心,大問III・IVが欧米史中心の出題であった。
・大問IVで小論述が6問出題された。2017年度は大問IIでも小論述が出題されたが,2019年度は2018年度に引き続き,出題されなかった。
・戦後史からの出題が少なかった。

■合否の分かれ目
・90分という制限時間に比してかなり問題量が多いのが特徴である。大問II・IVでそれぞれ30問程度の小問が課される上に,大問I・IIIで300字の論述問題が課されるため,時間配分が重要となる。
・2019年度は全体的に基本的な知識を問う問題が大半を占めた。教科書の全範囲を丁寧に対策し,苦手な分野や学習が手薄な範囲を残さないことがポイントである。
・大問II・IVが比較的平易で取り組みやすかったため,大問I・IIIの論述問題に十分時間をかけ,質の高い解答を仕上げることができたかどうかで差がついただろう。

 

■大問別ポイント
 大問 I  
・マンチュリア(今日の中国東北地方およびロシア極東の一部)の歴史に関する論述問題であった。
・必要となる知識は教科書レベルの基本的なものだが,正確な時系列・因果関係の把握や,地理的理解を伴っている必要があった。中国の周辺地域の学習が手薄だと,苦戦したかもしれない。
・マンチュリアにおける諸民族・諸国家の興亡を順に説明していくだけでなく,「周辺諸地域に進出することもあれば,逆に周辺諸地域の国家による支配を被る場合もあった」という記述を受けて,これらの諸民族・諸国家の地理的な広がりにも目を向けることが求められた。
・一方で,主題とは関係のない事柄に触れてしまうと字数が足りなくなり,必須の事項に言及できなくなってしまう恐れがある。問題の要求をしっかり把握し,事項の取捨選択を慎重に行うことがポイントである。

 大問II  
・Aは西アジアの文字をテーマに,古代から現代まで幅広く出題された。基本的な出題であり,手堅く得点したい。リード文の下線部や,設問文の条件をしっかり確認し,紛らわしい事項と混同しないように注意しよう。
・Bは明末~清代の中国に関する問題であった。(17)は2000年代の台湾に関する問題であり,対策が及んでいなかった受験生もいただろう。(21)や(25)での漢字の書き間違いには注意したい。

 大問III  
・16~18世紀のヨーロッパ諸国のインド進出について説明する論述問題であった。「交易品目」への言及や,「ヨーロッパ諸国の勢力争い」との関連づけなど,複数の要求に的確に応えていきたい。
・「16世紀から18世紀における」という年代の指定から,論述の書き始めと終わりに当たる事項をしっかりと見極めること。指定の年代から外れた事項を書いても,得点には結びつかないので注意しよう。
・オーソドックスなテーマであるが,300字を満たすには,出来事の詳細や,背景・結果などにも触れる必要があり,知識の正確さが求められた。
・多くの受験生にとって書きやすい内容であるため,史実に誤りなく,問題の要求に的確に応じた質の高い解答が求められるだろう。

 大問IV  
・Aは財産・権利の継承をテーマに,ヨーロッパの古代・中世を中心に問われた。空欄bは,高校世界史の知識としては細かい。小論述の(9)は盲点だったかもしれないが,押さえておきたい事項である。その他は概ね基本的な事項からの出題であり,失点は最小限に抑えたい。
・Bは19世紀以降の人の移動をテーマに,近・現代史から出題された。小論述の(13)・(22)は,出来事の背景・事情を考察する問題であったが,基本的な内容であり,手早く処理したい。(14)は正確な知識が求められた。(19)は教科書的な切り口とは異なる出題であり,とまどったかもしれないが,年代を手掛かりに教科書レベルの基本的知識を活用すれば,十分正答にたどり着ける。

 

 

攻略のためのアドバイス

京大世界史を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 教科書全範囲の基礎的知識を網羅する「知識力」
まずは,「知識力」の養成を。遅くとも受験生の夏休み終了までには,全時代の概略と,教科書の太字語句の意味を押さえることを目標にしよう。語句はただ覚えただけでは力にならない。既習範囲は問題演習を行い,自分が理解したはずの知識が,本当に得点につながる力になり得ているかを,確認しながら学習を進めよう。並行して論述問題にも取り組み,「知識を文章でまとめる」ことにも慣れていきたい。

●要求2● 問題の要求を的確に捉える「読解力」
京大世界史攻略のためには,上述のように,知識力の養成と並行して既習範囲については論述問題にも取り組み,本番まで定期的に問題演習を行う習慣をつけてほしい。問題の要求を的確に捉える「読解力」を身につけるためには,問題文を丁寧に読むことが重要である。何となく知っていることを羅列するのではなく,問題文中の時代・地域の指定,「意義」「背景」「経緯」「変化」「特徴」などといった問いかけに対して,最も適した解答が提示できているか,常に意識しながら解答を作成しよう。復習時に自分の解答作成の過程を確認するために,草稿メモをノートに記録しておくことも有効である。

●要求3● 短い時間の中で最大限の結果を出す「処理力」
時間に比して分量の多い京大世界史で確実に得点するためには,時間の使い方も重要である。模試を受験する際に,問題に取り組む順番を工夫したり,既習範囲の出題ではより高得点を獲得するべくとくに注力して解いたりするなど,限られた時間内で最大限の成果に結びつける訓練を積むとよい。センター試験終了後は,京大入試と同じ分量・構成の問題セットを時間を計って解き,「知識力」・「読解力」を土台とした表現力に磨きをかけつつ,本番での時間配分を想定して,「処理力」を鍛えていこう。

 

▼「京大コース」世界史担当者からのメッセージ
・京都大学の世界史入試は,教科書の流れに沿って用語の内容,因果関係,世界史上の意味・意義などを丁寧に学習していれば,ほぼ対応可能な問題です。出題傾向の変化が少ないので,大問II・IVでは取りこぼしを最小限にするように,大問I・IIIでは問題の要求に的確に応えた解答を書き上げられるように,着実に対策を行っていきましょう。
・2019年度の出題の中では,大問Iの論述問題で苦戦した受験生が多かったのではないでしょうか。この問題に関しては,歴史的事項を思い出すより前に,「マンチュリア」という地域を具体的に地図上でイメージできたかどうかが,最初の関門となっていたのではないかと思います。地図を把握することは,世界史学習で欠かせないポイントですので,十分に理解しておきたいところです。Z会の通信教育 本科「京大コース 世界史」の3~8月では,世界史上の重要ポイントを整理した解説テキスト「必修テーマ」を用意しています。豊富な地図や図・表,年表などを用いて,知識だけでなく入試で問われる視点も学ぶことができますので,京大世界史で必要な各時代・地域の“理解の核”を習得することができます。また,秋以降は,入試問題と同じ300字の論述問題など実戦的な問題演習に毎回取り組み,添削指導を受けることで,論述力のアップをはかります。答案作成力を磨いて,京大合格をめざしましょう!

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