「物理」2019年度東京大学個別試験分析

分析速報

■分量と難度の変化(理科…時間:2 科目150 分) 
・全体的に,分量が増加,難易度はやや難化した(昨年度比)。
・見慣れない問題が多く状況の理解に時間を要する上,基本事項の深い理解を前提とした難度の高い設問が増えたため,分量感(解答の負担感)はやや増加した。
・力学,電磁気分野から各1題,その他の分野から1題(2019年度は波動)の,計3題の出題という傾向に変化はなかった。

■今年度入試の特記事項
・第1問,第2問の最後に,穴埋め形式による解法誘導タイプの問題が出題された。本格的な誘導タイプの穴埋め問題は東大としては初の試みかと思われる。
・「非慣性系での単振動」に関する問題が2年連続で出題された。
・2018年度まで続いて出題されていた図,グラフの作図,選択問題が2019年度はなかった。

■合否の分かれ目
・基本事項の十分な理解を前提として,その場で掘り下げて考察をさせる問題が多く出題された。自分にとって状況把握がしやすく解きやすそうな問題から手をつけていくのが得策である。2019年度は難化した2018年度以上に問題の難度が高かったので,思うように解き進められなかった受験生も数多くいただろう。
・第1問I,II(1),第2問I,II(1),第3問Iは問題全体の中では比較的解きやすいので,ミスなく素早く解いておきたい。第1問II(2),第2問IIIをできた人はそう多くないと思われるので,第3問II の出来で差がついただろう。
・2019年度は例年より低めの5割強の得点を目指したい試験であった。第1問,第2問の最後の設問は,通常の設問形式では難度が高いとの判断から穴埋め形式で出題されたと推察されるが,物理的な深い理解が試されており,出来た人はかなり有利になったと思われる。

 

■大問別ポイント
 第1問  
加速度が変化する台車上の単振動
・Iは加速度が変化する台車上のばね振り子の問題。加速度変化のタイミングがばね振り子の周期と連動しており,ばね振り子の振動の様子がきちんと把握できれば,そう難しくはない。単振動の振動中心,振幅などの基本事項の理解が問われた。
・IIは台車上の倒立振り子が倒れないようにするための,台車の運動に関する考察。見慣れない設定の上に,倒立振り子の運動の様子を変位ではなく角度θを用いて考察していることに,戸惑った人も多かっただろう。(2)は穴埋め問題なので,一見すると取り組みやすそうではあるが,単振動する物体の変位,加速度,力についての確実な理解ができていないと難しい。
・単振動と慣性力がテーマとなっているが,これらは東大物理頻出の項目である。

 第2問  
並列接続したコンデンサーと抵抗に等価な素子を多数つないだ回路の問題
・Iは基本問題なので確実に得点しておきたい。
・IIは抵抗とコンデンサーを含むやや複雑な回路の問題。(1)は直流回路の,(3)は交流回路の基本問題である。(2)は過渡現象を扱っているが,N個の素子の抵抗とR 0の電圧が等しいことがポイントになる。
・IIIは交流ブリッジ回路の問題で穴埋め形式。交流回路の基本事項をもとに,流れに沿って解答していけばよいが,コンデンサー,抵抗の直列,並列接続の違いや,三角関数を使った扱いに慣れていないと難しかっただろう。

 第3問  
球面で屈折する光線の進み方(幾何光学)
・本問は大問3題中では最も計算量が少ないが,角度の近似計算に慣れていないと処理が大変になる。
・Iは屈折の法則から写像公式を導く問題を解いたことがあれば有利だったと思われる。
・IIは,Iで求めた関係式をもとに丁寧に解き進めればよい。(3),(4)で数値計算が必要だが,計算は面倒ではない。
・全体的に処理量もそう多くなく,込み入った考察もないので,得点源にしたい問題である。

 

 

 

攻略のためのアドバイス

東大物理を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 読解力
丁寧な説明や誘導が東大物理の特徴の一つ。現象や原理の説明が長い文章で示されることがある。長い文章の中には,解答のヒントが含まれているものである。したがって,東大物理の攻略には,限られた時間で文章から現象を正確に読み取る力が不可欠である。

●要求2● 現象を説明する力
答案を作成するためには,問題文から読み取った現象を教科書レベルの原理,法則を用いて説明する力が必要である。まずは,基本事項の理解を深めることを目指そう。

●要求3● 適切に記述する力
東大物理では解答の自由度が高い解答用紙に,設問ごとに適切な解答を記述する必要がある。適切に解答する力は,答案を書く訓練を繰り返しながら身につけるしかない。

まずは,●要求2●を満たすことを目指そう。独学が困難な物理は,授業を大事にしたい。高校3年の夏までには,基礎事項を完成させたい。Z会の本『物理 解法の焦点』は,高校物理の全範囲について,教科書だけでは学べない実戦的な解法を身につけることができるので,早い時期から取り組むことをおすすめする。

次の段階として,基本事項を東大レベルの問題に応用できる力を高めよう。そのためには,問題の意図を的確につかむこと,つまり,●要求1●を満たす必要がある。このためには,良質な問題を数多く解いておきたい。Z会の通信教育では,読解力を養うのに最適な良問を提供している。

ここまでの学習が順調であれば,●要求3●もある程度は満たされているはずである。最後は,東大型の問題演習に取り組もう。即応した問題を解くことで,さらに数点の上乗せを期待できる。

 

▼「東大コース」物理担当者からのメッセージ
2019年度は,難化したとされる2018年度以上に骨の折れる問題が出題されました。例年,各大問とも前半部分は比較的易しめの設問が並びますが,2019年度は最初に基本問題があるだけで,後はいきなり標準~難レベルの設問で,また,難度の高い順に第1問から並んだこともあり,解ける問題を上手に選択できたかどうかで差がついたのではと思われます。
とはいえ,東大物理の問題は,難問であっても高校物理の基礎的な理解を土台として考察できるように工夫された問題ですので,まずは基本事項に対する理解を深めておくことが肝要です。その上で理解した基本事項をどうつなげて問題を解くのかを,良質な問題を解くことで養成していきましょう。良質な問題は,基本の理解が不十分であったことを気づかせてくれるはずで,その気づきによってさらに問題への対応力も身についていきます。
そのための演習問題として,東大の過去の出題傾向を十分に研究したZ会の通信教育,本科「東大コース」が非常に有効です。本科「東大コース」では,無理なくステップを踏みつつ合格のための力を身につけることができるように構成されています。また,特講「過去問添削 東大物理」では,本番のシミュレーションとして実際の東大物理の問題を演習できます。演習を繰り返すことで,本番であわてることなく取り組んで,合格を勝ち取りましょう。

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