「世界史」2019年度東京大学個別試験分析

分析速報

■分量と難度の変化(地歴…時間:2科目150分)
・大問3題の構成で,論述問題が中心。
・第1問の論述字数が660字と増加した。一方で第2問の論述量が減少し,総論述字数としては990字と,2018年度の1080字からやや減少した。
・全体的な難易度は,2018年度よりもやや易化した。

■今年度入試の特記事項
・第1問は制限字数が660字であった。例年以上に分量が多いが,本問の題意に沿って記述するためには,660字でも解答をおさめるのに苦労した受験生も多いだろう。
・第3問は,2018年度に見られた写真・史料・地図などの資料を用いた出題はなく,従来の単答集合に戻った。
・地域としては,西アジア・インド・オセアニア・朝鮮半島などを中心とする出題がなされ,欧米史・中国史を扱った問題は少なかった。
・時代としては,第1問・第2問で近・現代史の比重が高く,第3問は古代~近世からの出題であった。また,第二次世界大戦以降を扱う問題は出題されなかった。

■合否の分かれ目
・第1問の大論述は,正確かつ多角的な知識と,設問の要求に沿って論旨が通った解答にまとめあげる論理的思考力・文章表現力が不可欠であった。
・第2問の小論述集合は,学習が手薄になりやすい地域からの出題も見られ,教科書の全範囲の磐石な知識が求められた。
・第3問の単答集合は,概ね易しい出題であったため,確実に得点すべきである。

 

■大問別ポイント
 第1問  
・オスマン帝国の解体過程についての論述問題であった。制限字数は660字。
・設問の要求は読み取りやすく,想起できる事項も多いが,それゆえに制限字数内に解答をおさめるのが難しい。「帝国内の民族運動や帝国の維持を目指す動きに注目しつつ」という設問の要求に沿って,適切に事項を取捨選択する必要があった。時系列に沿って事項を列挙するだけでなく,全体として論旨が通った解答にまとめることができたかがポイントである。
・指定語句はいずれも基本的な用語であった。一方で,指定語句には挙がっていない事項を取りこぼすことのないよう注意したい。

 第2問  
・国家の歴史と境界線をめぐる争いをテーマに出題された。論述字数は合計で330字(90字×1問,60字×4問)と2018年度よりも減少し,単答問題は出題されなかった。
・問(1)は基本事項であった。制限字数に応じて表現を工夫したい。
・問(2)では,学習が手薄になりやすいオセアニアから出題された。(a)については,まずは地図中で示された領域がどこで,どの国により支配されていたのかを特定できるかがポイントであった。(b)は「政治的な地位の変化」の転機と,その変化により何がどう変わったのかが明確になるように解答をまとめたい。
・問(3)は中国と朝鮮半島の関係について出題された。(a)は,「韓国史は『満州と韓半島』を舞台に展開した」という考え方の根拠が明示できるよう,解答に含める事項を精査する必要があった。(b)は基本事項であり,字数内で適切に解答をまとめたい。

 第3問 
・人の移動による文化交流とそれによる人々の生活・意識の変化をテーマに出題された。
・2018年度に見られた写真・史料・地図などの資料を用いた出題は見られなかった。各小問の問題文は例年に比して読み取りやすく,取り組みやすい出題であった。
・問⑻は,設問文中の条件を見落とさないよう注意したい。
・問⑽では細かい知識が問われた。

 

 

 

 

攻略のためのアドバイス

東大世界史を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 第3問は磐石な知識力が必須!9割以上をめざせ!
ほとんどが基本的な知識に関する出題であるため,合格のためには9割以上の得点をめざしたい。但し,文化史や現代史など学習が手薄になりやすい範囲からの出題も見られるので,注意が必要である。

●要求2● 第2問は「知識の正確さ」「設問の要求に応じた記述ができているか」に注意!
概ね基本的な内容から問われるが,その分知識が不正確だったり設問の要求を意識できていない解答を書いたりすると,大きく減点されてしまう。日頃から,知識が正確に定着しているか,年代や“意義”・“影響”などの設問の要求に正しく応えているかを意識して,解答を作成する練習を積みたい。

●要求3● 第1問は「読解力」「論理的思考力」「文章表現力」を鍛えよ!
東大世界史第1問は,制限字数が600字前後と非常に長く,時代・地域を越えた広い視野で世界史を考察することが求められるので,難度は高い。知識に不足がないことはもちろんだが,問題文から要求を読み取る「読解力」,解答を組み立てるための「論理的思考力」,長い字数であっても筋の通った解答を作成する「文章表現力」が必要となる。こうした力は一朝一夕で身につくものではないので,ほかの受験生に差をつける完成度の高い答案を書くためにも,早いうちから論述対策を始めよう。第三者に添削してもらうことにより,表現力を磨き,文法的にも正しい文章を書けるようにしておきたい。

 

▼「東大コース」生物担当者からのメッセージ
・第1問・第2問ではともに,今日における国土をめぐる対立・紛争の歴史的要因を探る視点からの出題がされました。ぜひ,現在の世界が抱える課題について考えるための手掛かりの1つとして世界史の学習を捉えてほしいと思います。
・2019年度の第1問は,制限字数の増加に驚きを感じたかもしれませんが,解答に必要な力は600字でも660字でも変わりません。多少の出題傾向の変化があっても動じることがないよう,問題演習を通じて「読解力」「論理的思考力」「文章表現力」をしっかりと鍛えておきましょう。Z会の通信教育 本科「東大コース 世界史」では,入試問題と同じ大論述を含む演習問題を豊富に出題しています。さらに,一人一人の解答に応じたきめ細やかな添削指導で,着実に実力をアップすることができます。豊富な問題演習と適切な添削指導で,合格をつかみ取りましょう!

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