実は1970年代から? 高等学校でのプログラミング教育

高等学校の学習指導要領には、1970年代より「プログラミング」の文言がありました。しかしこれまで「プログラミング教育」が行われてきたのかと言われると、必ずしもそうとは言えないのが実態です。2022年度よりプログラミングを含む「情報I」が必修となる高等学校。これまで高等学校の教育課程ではどのように「プログラミング」が扱われ、今後どのように扱われていくのかを考えます。

 

 

「私は大学受験でプログラミングを使いました」

現在20代~30代の方の中には、「私、大学入試でプログラミングを使いました」という方が一定数いらっしゃいます。ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、大学進学を希望する多くの受験生が受験する「大学入試センター試験」では1997年から2015年までの間、数学の選択問題として「プログラミング」を選択することができました。年度によっては他の選択問題よりも難易度が低く、「センター試験の数学で高得点を狙うためにはプログラミングの問題を選択するのも手だ」という指導をする学校や予備校もあったほどです。これだけ見れば「高校ではずいぶん以前からプログラミング教育が行われていた」ように感じるかもしれません。その答えはYesであり、Noでもあります。

高等学校の「学習指導要領」にプログラミングが登場したのは意外と古く、昭和48年度(1973年度)より施行されたものにはすでに「プログラミング」の文字がありました。「工業科」のカリキュラムや数学の一部に導入されたのを初めとし、2003年度からは「情報」という名称の教科も新設されました。

しかし、1973年から現在に至るまで、普通科の高校では授業の中で「プログラミング」があまり取り上げられてきませんでした。一番大きな原因は、数学の一部としてのプログラミングも、教科「情報」のプログラミングも、大学入試ではほとんど取り上げられないところにあるでしょう。そのためか、教科「情報」を担当する先生のおよそ半数が他教科との兼任、およそ3割が免許外教科担任(教科『情報』の免許状を持っていない教員)であるという調査結果もあります。上級学校への進学者が多い学校であればあるほど、プログラミングに限らず、「情報」関係の指導に力を入れられていないのが現状です。

 

 

高校での「プログラミング教育」

そうした風潮を変えていこうと、新学習指導要領では高等学校でも「プログラミング」が必修となりました。とはいうものの、教科「情報」で学ぶものは「プログラミング」だけではありません。そもそも「情報=コンピュータ」という認識が誤解なのであり、教科「情報」で身につけなければならないものは「情報活用能力」です。「情報活用能力」の中には、コンピュータの使い方などの「情報活用の実践力」、コンピュータやネットワークの仕組みに関する理解を問う「情報の科学的理解」、そしてコンピュータと社会とのつながりを知り、モラルなどを守り、コンピュータをよりよく活用する「情報社会に参画する態度」といった内容も含まれています。

文科省が数年前に発表した「情報活用能力調査(高等学校)」では、「基本的な情報モラルは理解しているが、情報の発信・伝達の際に、他者の権利(肖像権や著作権)を踏まえて適切に対処することや、不正請求のメールやサイト等の対処に課題がある」と記されています。こうした現状を踏まえ、教科「情報」では「機器の使用法」と「情報モラル」を教えることからスタートします。

2022年度から高等学校の教科「情報」では、「情報I」と「情報II」の2科目が設置されます。「情報I」が必修で、「情報II」は学校の裁量で設置するかしないかが決まります(設置された場合、高校2年か3年での選択科目となることでしょう)。「情報I」では、これまでの教科「情報」でも教えられていた、情報モラルやコンピュータの基本的な仕組みに加え、「コンピュータで情報が処理される仕組みに着目し、プログラミングやシミュレーションによって問題を発見・解決する活動」をすることが盛り込まれています。ただしここでも、「コンピュータを使う場合と使わない場合の双方を体験」させるとあることから、「プログラミングのスキルを教える」だけではなく、「プログラミング」というものを体験することが目的です。

「情報II」では、「情報I」で学んだことをベースに「情報」をいかに扱うのか――例えば、大量で多様なデータを活用する「データサイエンス」、コミュニケーションとコンテンツ、そしてプログラミングについて学びます。ここでも、特定のプログラミング言語について深く技術を学ぶのではなく、「情報システム」や「システムを設計する流れ」について理解することがねらいとされています。

こうしたことを総合するに、高等学校でもプログラミングの「スキル」ではなく、プログラミングを「する」ために必要な「基礎体力」を身につけることが求められていると考えられます。小学校での「プログラミング的思考」から始まり、中学校の技術家庭科、高校の教科「情報」でのプログラミング教育。12年間を通して、プログラミングの「技術」「スキル」だけではなく、プログラミングのベースとなる考え方を身につけさせ、技術への理解を深め、活用することを学ぶこと、興味を持つ層を広げることを目的に指導要領が組み立てられています。こうした取り組みが、児童・生徒の「情報活用能力」を高め、情報社会に必要な基本的な知識・思考力や活用力を身につけるとともに、将来の「IT人材」育成ににつながっていくことは間違いないことでしょう。

 

 

「大学入試」における「プログラミング」

前回、中学校でのプログラミング教育は「高校入試、特に公立高校の入試が定着のポイント」と書きました。高校でのプログラミング教育と大学入試の関係はどのようになっているのでしょうか。

先述の通り、数学における「プログラミング」も教科「情報」も、「大学入試で問われることがない(少ない)から」という理由で行われなかったり、扱いが小さかったりという経緯があります。ここ数年だけを見れば大学入試での扱いは大きくは変わりませんが、もう5年、10年先には、潮目が大きく変わるかもしれません。2018年5月には安倍首相が「プログラミングなどを含む情報科目を大学入学試験に追加する方針」があることを明らかにしています。また、大学入試センターも教科「情報」の問題作成に関する研究を始めています。そう遠くない将来、「入試科目」に「情報」が入る日が来るのかもしれません。今後議論がどのように進んでいくのか、注意深く見ていく必要があるでしょう。

 

 

【次回予告】

現在でも、一部の大学では「プログラミング」が入試で問われています。そうしたいくつかの例を見ながら、現状と将来の「大学入試におけるプログラミング」について考えます。

 

 

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