Column 22年6月 コンピュータに関する偉人たち

コンピュータがつくられてから、人々の仕事や生活は劇的な変化をとげました。現代では、コンピュータなしでは「仕事や生活ができない」といっても過言ではありません。今回は、そのコンピュータの発明に携わった3人の天才を紹介します。

①アラン・チューリング(Alan Mathison Turing 1912-1954)

「コンピュータの父」や「人工知能の父」と呼ばれるアラン・チューリングは、コンピュータの原型といわれるチューリングマシンを考案した人物です。チューリングマシンは、実機ではなく、自動で計算を進める数学的なモデル(仮想的なマシン)のことを指します。1本のテープと1つの読み取りヘッドを利用すれば、単純な装置と操作のみであらゆる計算を行うことができるとされ、同時にその計算には理論的な限界があることを示しました。この理論こそが、現代のアルゴリズム、ひいてはコンピュータのソフトウェアの発明につながったといわれています。そのほか、第二次世界大戦中「エニグマ」と呼ばれる敵国の難解な暗号解読に携わったことや、チューリングテストといわれる人工知能についての研究を進めたことで有名です。

参考:Alan Turing(Britanica)
https://www.britannica.com/biography/Alan-Turing

②ジョン・フォン・ノイマン(John von Neumann 1903-1957)

「現代コンピュータの父」と呼ばれるジョン・フォン・ノイマンは、チューリングマシンを具体化し、プログラム内蔵方式(記憶部にプログラムが内蔵され順次処理が行われる方式)のコンピュータの概念と構造を示した人物です。このコンピュータを「ノイマン型コンピュータ」といい、現代の一般的なコンピュータもノイマン型を採用しています(ちなみに、量子コンピュータやニューロコンピュータなど、ノイマン型にない機能を持つコンピュータは「非ノイマン型コンピュータ」といわれています)。ジョン・フォン・ノイマンは、子どもの頃から計算力や記憶力が抜群で、語学については7か国語を扱うことができたなどの逸話が多数残っており、数学のモンテカルロ法の命名やゲーム理論の経済学への応用、原子爆弾の開発など、活動は非常に多岐にわたりました。

参考:John von Neumann(Britanica)
https://www.britannica.com/biography/John-von-Neumann

③クロード・シャノン(Claude Elwood Shannon 1916-2001)

「情報理論の父」と呼ばれるクロード・シャノンは、電流のON・OFFでコンピュータの論理回路が設計できることを示したのち、エントロピー(情報量)と呼ばれる概念を発表した人物です。さまざまな意味を持つ情報は「0」と「1」の2値で表すことができるとし、情報量の単位をビットと定義しました。これにより、当時文書や音声・画像など情報ごとに効率の良い通信方式は違うと考えられていたものが、同じ情報量の単位に変換することで効率よく通信できるとされたのです。そのほか、データ圧縮や暗号化についてなど、現代のデジタル技術の基礎をつくり上げた研究を多数行ったことから、その影響力はアインシュタイン以上ともいわれています。

参考:Claude Shannon(Britanica)
https://www.britannica.com/biography/Claude-Shannon

そのほかにも…!

今回は3人の天才(偉人)を紹介しましたが、そのほかにも
・「インターネットの父」と呼ばれるヴィントン・サーフ
・「Webの父」と呼ばれるティム・バーナーズ=リー
・「ポケットに1000曲」のメッセージでも有名なスティーブ・ジョブズ
など、今の便利な生活は、たくさんの偉人達の研究とその成果によって生み出されました。コンピュータに限らず、新しいことの創出には、先駆者的なアイデアとそれを実現するだけの知識・技能、血のにじむような努力に加え、いつまでも色あせることのない情熱が必要です。興味があれば、コンピュータに限らず、さまざまな分野の偉人たちについて調べてみてください。