Column 22年8月 VRの世界

リモートワークやオンライン授業など、VR(Virtual Reality=仮想現実)コミュニケーションが一気に身近になりました。聴覚だけでなく視覚から、画面を通して相手の表情や仕草、背景など複合的に情報を受け取れるVRコミュニケーションは、音声のみのそれとは一味違う利便性があります。今回はVRの可能性についてまとめてみました。

VRの基礎知識
https://www.elecom.co.jp/pickup/column/vr_column/00001/

さまざまな分野でひろがるVRの可能性

VRの技術は、ゲーム、教育、医療、宣伝など、さまざまな分野で応用されています。

  • 観光
    日本政府観光局は、YoutubeチャンネルでVRを活用した外国人向け動画コンテンツ【[360°VR] JAPAN 】を配信しています。この動画では、人力車の上から眺める古い町並みや京都嵐山の竹林などのVR映像を360°見ることができます。臨場感あるVR映像により日本の魅力を伝えることで、外国人観光客の増加を狙っています。
    https://www.youtube.com/watch?v=OR_Y7vj66PU
  • 不動産
    不動産会社では、入居希望者がVRゴーグルを装着して行う「VR内見サービス」が始まっています。この方法であれば、実際に物件を訪れなくても部屋の様子や窓からの眺望などを自分の好きな角度で確認できます。
    https://www.art-tribe.com/vr_realestate/

におい、味、手触り――五感を伝えるVR

人間の感覚は五感と呼ばれ、「視覚」「聴覚」「触覚」「嗅覚」「味覚」の5つがあります。この5つの感覚を再現できれば、VRはより没入感の高い、まさにもう一つの現実として体験することが可能です。現在、五感に訴える技術が、次々と開発されており、スイスのEricsson ConsumerLabのレポートによると「2030年までに五感で体験するインターネットが主流になる」ともいわれています。

五感のうち、最も難しいと言われているのは「味覚」です。「味覚」は舌の上で感じる性質上、口の中にデバイスを入れることになるため、「不快感が大きい」「衛生的でない」などの大きい課題があるようです。ただし、ものの味は「味覚」だけで感じているのではなく、香りは「嗅覚」で、辛さは「痛覚(触覚と同じ、皮膚感覚の一種)」で、食感は「触覚」や「聴覚」で……といったように、複数の感覚で感じ取っています。そのため、味覚以外の色々な感覚を組み合わせて、疑似的に味覚を再現するための研究も進められているようです。

まとめ

今回はVRが活躍する領域と五感を再現するという技術的な進歩を紹介していきました。VRは、私たちがいろいろな事情でできないことの疑似体験を通して、生活の質や満足感を高めることが期待されています。そのうち、再現できる感覚が現実のものと近づきすぎて、何が現実で何がVRなのかわからなくなってしまうかもしれませんね。