Column 22年9月 画像生成AIの可能性と問題点

このところ、画像生成AIが大きな話題を呼んでいます。このコラムをお読みの方の中にも試してみたという方がいらっしゃるかもしれません。

画像生成AIとは?

画像生成AIにもさまざまな種類がありますが、おもにユーザーがキーワードをテキストで入力すると、膨大な画像を学習したAIがキーワードをもとに短時間で画像を自動生成するサービスのことです。今年(2022年)に入ってから画像生成AIが立て続けに公開され、特にこの夏に発表された「Midjourney」はSNSを中心に大きな注目を集めました。

「神絵が1分で生成される」 画像生成AI「Midjourney」が話題
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2208/02/news124.html

その後、「Midjourney」よりも高性能な「Stable Diffusion」がオープンソース(※)で提供され、これを基にしたサービスやアプリが次々と発表されています。これらのAIを活用することで、イラストが苦手な人間でも短時間で簡単にハイクオリティな画像を生成することができるようになりました。
※オープンソース…プログラムの設計図であるソースコードをインターネットなどで無料で公開し、誰でも自由に利用、改変、再配布などができるようにすること

画像生成AI「Stable Diffusion」がオープンソース化 商用利用もOK
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2208/23/news160.html

画像生成AIにまつわる問題点

その一方で、いくつかの問題も顕在化しています。
先日アメリカで行われたアートコンテストのデジタル部門で、「Midjourney」が生成した絵が1位を取ったことが物議を醸しました。プロのアーティストなどから、人間の高度でクリエイティブな仕事がAIに奪われることを危惧する声も上がっています。

画像生成AI「Midjourney」の描いた絵が美術品評会で1位を取ってしまい人間のアーティストが激怒
https://gigazine.net/news/20220901-midjourney-win-fine-arts-competition/

また、AIが生成した画像の著作権が誰に帰属するかという点も議論の的となっています。現状ではAIが自律的に創作した生成物には著作権が認められないようですが、人間がAIに具体的で詳細な指示をした場合には著作権の対象となる可能性もあるようです。

AIが描いた絵の著作権は、誰が持つのか Midjourney画像の扱いを考える
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2208/09/news162.html

ほかにも、AIが出力した画像が何らかの既存作品に酷似してしまった場合に権利の侵害にあたるかなど、画像生成AIが発達する前には存在しなかった問題が次々と発生しつつあります。AIの発展にともなって、新たなルールや制度がこの先整備されていくことでしょう。

人間とAIのこれから

画像生成以外にも、音楽や映像などさまざまな分野でAIがさらなる進歩を遂げていくことと思います。「AIが人間の仕事を奪う」と昔からよく言われますが、どんなAIも使い方次第で人間の敵にも味方にもなりえます。AIと上手に共存できる未来を目指していきたいですね。