2024年度「京大物理」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2024年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

Z会物理担当者からのメッセージ

2024年度の京大物理は、きちんと対策してきた受験生にとっては、標準的な難易度の問題でした。時間の割に分量が多いのは例年通りですので、自分の得意不得意分野を考慮して、上手に時間配分して得点を積み上げることが肝要だったと思います。
京大物理では、各大問の前半部分は基本〜標準的な問題が多いため、基本〜標準問題をいかにすばやく確実に解答できるかが重要です。また、他の受験生と差がつく「やや難」レベルの問題や、作図問題、目新しい題材の問題について、諦めずにどこまでくらいついていけるかが合否を分けると言えるでしょう。
京大を目指す方にとっては、初めて問題を見たときには面食らうかもしれませんが、目新しい題材ほど誘導が親切で、解きやすいことが多いです。大切なことは2回書いてくれたり、途中で検算になるヒントを散りばめたりしてくれていますので、ヒントを見落とさず、確信をもって解き進められるようになってほしいです。
Z会の通信教育[本科]「京大講座」では、問題文から状況を正しく読み解き立式する練習を通して、難易度の高い京大物理にも対応できる力を養います。演習を繰り返すことで、京大で頻出の目新しい設定の問題に出会っても、最後まで解ききる力が身につきます。粘り強い演習を積み重ねて、京大合格を勝ち取りましょう!

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今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化(理科…2科目180分)

  • 難易度は、2023年度と同程度。
  • 分量は2023年度並で、大きな変化はないものの、制限時間に対する分量は多い

2024年度入試の特記事項

  • 各大問の冒頭には、かなり基本的な設問が並んだ。
  • 問題のページ数(18ページ)は、2023年度から変化はないものの、例年と比べると多かった。
  • 問題Ⅱは、計算量が少なく、最後まで比較的易しい設問が続いたため、取り組みやすかった。

合否の分かれ目はここだ!

  • 問題Ⅰの(1)は「オ」まで完答し、「ク」まで解き切りたい。問1は、2つのおもりが弾性衝突するたびに速度が入れ替わるので、状況はそれほど複雑ではない。グラフがきちんと描けたかどうかで差がついただろう。(2)は、「サ」までミスなく解き進められたかどうかで差が開いただろう。
  • 問題Ⅱの(1)は基本問題なので完答したい。(2)も典型問題のため、問1の作図、問2の図選択を含め、すべて解きたい。(3)で、状況を正しく把握して、どこまで解き進められたかで差が開いただろう。問3を含め、問題Ⅱは時間さえ許せば最後まで解き切ることが可能な内容だった。
  • 問題Ⅲの(1)は基本問題なので完答したい。(2)も典型問題だが、幾何的関係をミスなく立式できたかどうかで差がつく。(3)は「モード」の解釈が難解なので、時間がかかりそうなら「け」や「こ」は飛ばした方がよい。(4)や(5)では、どこまで諦めずに解き進められたかで差が開いただろう。

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大問別のポイント

 物理問題 I  力学 [標準]
棒におもりを取りつけた振り子の運動、ばねでつながれた2つの振り子の運動(連成振動)

  • 問題Ⅰでは、棒におもりを取りつけた振り子の運動について考える。途中から、おもりや棒にばねを取りつけるが、堅実に運動方程式を立てて、単振動の周期や振幅を求めていけば難しくはない。問1のおもりの変位の時間変化のグラフは複雑ではないが、主要値の導出が少し手間なので、時間がなければいったん飛ばすのも手である。
  • 「キ」では、棒の力のモーメントのつりあいを考えることにひっかかる人もいるかもしれないが、誘導に素直に従えば、「サ」までは解き進められる。(2)で運動方程式を立てる際は、棒から受ける力の向きに注意が必要である。
  • 「シ」以降は急に難しくなる。ばねでつながれた2つの振り子が同じ角振動数でゆれる「特別な状態」が、2つが同じように右へ左へゆれる場合と、片方が右のときは他方は左というようにお互い対称にゆれる場合だと想像できたならば、「ス」と「セ」は計算せずに答えることも可能である。問2は状況の把握がかなり難しいので、方針が見えなければ飛ばした方がよい。

 物理問題 II  電磁気 [やや易]
磁場中での荷電粒子のドリフト

  • (1)は直流電流がつくる磁場についての基本問題であり、(2)以降には影響しない。
  • (2)以降は、磁場中での荷電粒子の運動について考える。磁束密度の大きさが異なる2つの領域に分かれているものの、典型問題なので取り組みやすい。問1の軌道の作図も時間はかからないので取り組みたい。「ドリフト」の意味(時間平均すれば、粒子は次第に図の上のほうへと流れていくこと)さえ捉えられれば、問2を含め、難しくはない。
  • (3)では、荷電粒子に外力がはたらくが、途中で導入される単純化したモデルで考えると、やっていることは(2)とほぼ同じである。計算も少ないので、問3を含め、時間さえ許せば解き切りたい内容だった。

 物理問題 III  波動 [標準]
光ファイバーの原理

  • (1)は教科書の確認のような反射・屈折についての基本問題。
  • (2)からは、光ファイバーのモデルが登場する。光の反射・屈折の問題では、幾何的関係を正しく捉えることが大切である。
  • (3)では、光ファイバーのコア中で、径方向に定在波ができないと、光が進めないことが紹介される。特に後半の「モード」の概念は解釈が難しい。
  • (4)は、光ファイバーの軸方向に、光を散乱する構造を周期的に導入したものを考える。この構造は、回折格子のようにはたらく。
  • (5)では、光ファイバーが伸縮する状況について考える。光ファイバーを他の物質に貼りつけることで、物質の熱による線膨張率を測定する状況についても考察する。ここでは、与えられた図やグラフから、光の波長変化などの必要な数値を読み取り、論理立てて考える力が問われた

 攻略のためのアドバイス

京大物理を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 問題文を読解する力

京大物理は問題文が長く、問題の設定を理解することに時間がかかる場合が多い。設定をきちんと把握するためには、相当の読解力が必要である。問題文にはヒントが含まれていることも多く、この読み取りが合否を分ける。

●要求2●正確かつ迅速に計算する力

京大物理では、例年、設問で与えられる記号(物理量)が多く、設問数も計算量も多い。このため、煩雑な計算をミスなく、かつ速く行う必要がある

●要求3● 解くべき問題を見極める力

京大物理は、問題文が長く計算量も多いため、時間内にすべて解くのは厳しい。このため、試験開始直後に問題全体にざっと目を通して解くべき問題を見極め、解答に必要な時間を適切に配分することが、合格点の確保に向けて重要となる。大問の途中で解けない設問があっても、最後の方に独立して解ける設問がある場合が多いので、諦めず全体に目を通し、「解ける設問を確実に解く」姿勢が、合格には必須である。
 

対策の進め方

まずは、●要求2●を意識して、ミスなく要領よく解答できる力をつけよう。次に、基礎力がある程度ついたら、京大レベルの問題に慣れていこう。Z会の通信教育[本科]「京大講座」では、読解力向上や重量級の計算にも対処する力の養成を念頭においた出題を行っている。

また、●要求1●●要求3●は実戦演習の中で培われる力である。京大物理は、早めに基礎を固め、徐々に長い問題文に慣れていかないと、太刀打ちできない。自分の得意不得意、問題の難易度を意識し、試験時間をめいっぱい活用して得点を最大化できるような解き方を身につけてほしい。

Z会でできる京大対策

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