2024年度「京大理系国語」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2024年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

Z会国語担当者からのメッセージ

2024年度の京大理系国語は、難度としては概ね標準的な範囲内ですが、随筆・大正時代に書かれた芸術論・和歌についての注釈書と、いずれも京大独特といえる文章ジャンルからの出題でした。受験生がなかなか読み慣れないような文章から出題され、さらに広い解答欄に自分なりの言葉でわかりやすく解答をまとめることが要求される点で、例年の京大国語と同じ出題傾向が踏襲されています。合格水準に達するためには単に問題文中の表現を切り貼りするだけでは対応できず、筆者の考え・問題文の主題を読み取って自分なりの表現でまとめ直す必要があります。このように理系に対しても高い国語の読解力・記述力を要求するのが京大の大きな特徴であり、合格のためには京大国語についても十分な対策が必須です。

京大入試本番で要求されるこうした力を養うには、京大国語に対応したジャンル・出題形式で問題演習の経験を数多く積み、作成した答案について、プロの添削者の目線からフィードバックを受けることが何より重要。そのために最適な講座として、Z会では長年の入試分析をもとに、本科「京大講座」をはじめとする京大合格までの道筋を支える講座を用意しています。良質な問題と添削指導を通じて盤石の実力を養成し、京大合格をつかみ取りましょう!

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今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化(時間:理系90分)

第二問は2023年度より1ページほど分量が増加した。各大問ごとに難度のばらつきはあるものの、全体としては京大入試として標準的な難度の出題であると言える。

2024年度入試の特記事項

  • 例年通り、現代文・現代文・古文の3題の出題。第一問に時間をかけすぎないよう、トータルの時間配分に留意が必要である。
  • 大正時代の芸術論が出題され、なじみのない表現を読まなければならない負担感があった。また、古文で解答欄5行の問題が出題された。古い時代の文章や文化論の出題、広い解答欄は京大入試の特徴なので、京大に対応した演習を積むことが求められる

合否の分かれ目はここだ!

どの大問も読みづらさや解きづらさなど特有の難しさはあるが、出典や解答量などを見て慌てる必要はない。落ち着いて得点できる所を確実に押さえ、トータルで合格点を確保するという意識を持つことが重要である。
第一問は全体的に難度が高いため、大正時代の古い文章ではあるものの論旨が明確で解答の方向性を掴みやすい第二問で確実に得点できたかどうかで差がつくだろう。また、第三問の問二は、5行という解答欄の広さに怯むことなくあきらめずに記述すること。出題傾向は一貫しているため、京大に照準をあわせて読解・記述演習をしっかり積んできた受験生であれば、実力を発揮できただろう。

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大問別のポイント

 (一):現代文  出典:奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を――文学を探しにロシアに行く』

言語学習に関する随筆からの出題。リード文には「ロシア語学習歴」とあるが、内容は言語論に通じるところが多くある。出典は2021年に発刊された作品。テーマも受験生にとって親しみやすいもので、読解そのものに苦労することはあまりないだろう。しかし、解答欄に合わせ解答をまとめるのは一筋縄ではいかない。限られた時間の中で、どれだけ解答要素を吟味できたかがポイントである。

  • 問一は傍線部直前、問二は傍線部の前後の内容をまとめる。比較的解答要素が見つけやすく、取り組みやすい設問。時間をかけ過ぎずに得点を稼ぎたい。
  • 問三・問四は1つの段落に傍線が2本引かれている。各設問で解答要素が重複しすぎないよう、解答の書き分けに注意する必要がある。解答を作成する前に、問題文全体と設問文から各解答の方向性を吟味していればスムーズに解答することができただろう。

(二):現代文  出典:石原純『永遠への理想』

出典は石原純の随筆。芸術の永遠性は科学の助けによって保たれるという、物理学者で歌人でもある筆者らしい内容である。2023年度は歌人への追悼文であったが、それと比較すると評論寄りの文章で、やや難しい。大正時代に書かれたものなので、「しからば」「かような」「頗る」「けだし」などの古めかしい言い方が見られ、この点からは読みにくさを感じるかもしれない

  • 問一は傍線部までの内容をまとめる。傍線部直前に「文芸音楽が永遠に伝え得られるのに反し」とあるので、この対比として〈永遠性がない〉点を押さえる。この設問は確実に得点したい
  • 問二は傍線部直後の「それが自然物を借りてはじめて芸術表現を行っている」もヒントになる。解答は第一~第三段落の内容を踏まえるが、主に第二段落の記述からまとめる。
  • 問三は問題文後半の内容を踏まえるが、直前の段落の記述を中心に、芸術と科学の関係をまとめればよい。

評論に近い文章なので、文学的文章に見られるような内容の飛躍はなく、理系の受験生にとっては内容を把握しやすいものだった。設問で問われていることも自分で要素を補うようなものはなく、問題文から根拠が得られるものばかりだったので、まとめ方で差がついただろう。第一問は取り組みにくい問題だったので、解答要素が把握しやすい第二問で確実に得点しておきたい

 (三):古文  出典:『草庵集玉箒』

江戸時代(近世)の和歌注釈書からの出題。リード文に記載がある通り、「諺解」という注釈書の解釈に対する筆者の意見を述べた文章である。
和歌が含まれる出典ではあるものの、近世以降の文章ということもあってそれほど読みづらさはないだろう。リード文もヒントにしつつ、丁寧に読解したい。

  • 問一は傍線部の説明問題。「里の遅き」が「里の(花の)遅き」である点を明示するとともに、解答欄の大きさを踏まえ、直前の「端山の花の遅きのみか、奥山も遅きなり」も解答内容に盛り込む必要がある。
  • 問二は解答欄が5行の説明問題。解答量の多さに驚いたかもしれないが、まずは傍線部の意味を押さえること。そのうえで、設問が求める「実の理」と「作者の見る心」という指示を踏まえ、傍線部直後の内容を丁寧にまとめればよい。解答欄の大きさに怯むことなく部分点を取れるようしっかりと解答したい
  • 問三は現代語訳。「ことわり」「よしなく」の意味をまったく同じ内容で訳してしまうと文意が通らないので、適切に訳し分ける必要がある。

京大古文では歌論の出題が多いので、よくある話の展開・議論の方向性を把握できていれば、今回の問題文でも読解の手助けになったと思われる。どのような文章が出題されても対応できるよう、過去問を用いた演習でしっかりと対策をしておくことが重要だ。

 攻略のためのアドバイス

京大理系国語を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 基本的な語彙力

文学的・抽象的な表現を含む文章からの出題が多い京大国語では、読解力・記述力ともに高いレベルが要求される。その水準に達するためには、基本語彙の意味を正確に把握し、記述する際にも適切な語を選ぶことができる語彙の運用力が必要不可欠。Z会の書籍『現代文 キーワード読解』『速読古文単語』などを活用して、語彙力の基礎を固めよう。

●要求2● 幅広いジャンルに対応できる読解力

京大国語では、普段受験生が読み慣れないであろうさまざまなジャンルの文章から出題されるため、京大で出題されそうな文章の読解経験の量がものをいう。問題文中に直接的に表現されていなくとも、文中の表現のニュアンスを汲み取り、筆者の主張や心情を正確に読み取る力が必要である。

要求3● 大意をまとめなおす記述力

京大国語の設問は、すべてが記述式問題であり、求められる記述の分量もかなり多い。解答に必要な要素を見極める力と、必要な要素を正確に伝わる形で解答にまとめなおす力が求められる。問題文中の記述の寄せ集めではなく、適宜自分の言葉で言い換えたりふくらませたりすることができる確かな記述力が必要である。

対策の進め方

まずは、土台となる●要求1・2●を満たすことを目指そう。Z会の通信教育の本科「京大講座」では、毎月さまざまなジャンルの問題文を通じて、京大入試に対応した読解・演習の経験を積むことができる。語彙・文法事項といった知識事項の抜け漏れをつぶしていくと同時に、記述演習にも取り組むことで、第三者に伝わる解答の作成法を身につけよう。
その後は、さらに●要求2・3●を磨いていこう。9月以降のZ会「京大講座」では京大入試本番と同様、大問3題セットのオリジナル問題を出題する。第三者の客観的な視点からの添削指導を受けて、自分の解答に足りない要素やまとめ方のコツを把握し、解答の質を高めていこう。
入試直前期には、本番前の最終調整として過去問や予想問題を活用しながら、より本番に近い形での演習をするとよい。読解量・記述量ともに負担が重い京大国語に対応するために、制限時間内でうまく解答をまとめることを意識して問題演習を行おう。

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