2024年度「東大日本史」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2024年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

Z会日本史担当者からのメッセージ

東大頻出テーマへの理解を深めておくだけでなく、すべての時代において分野の偏りなく学習していることを前提とした試験でした。東大頻出テーマに関連した出題であった第1問や、提示文の読み取りと基本的な知識で対応できる第2問は、しっかりと過去問研究をしてきた受験生にとっては取り組みやすい問題でした。これらの大問で確実に高得点を取り、さらに、解答がまとめづらい問題が見られた第3問・第4問で失点を最小限に抑えることが重要です。

東大日本史は特徴的な出題形式であり、一般的な論述問題の演習を積むだけでは対応しきれません。東大日本史の出題に慣れること、さらに頻出テーマについて理解を深めておくことが、合格への近道です。また、各設問での少しずつの失点を防ぐことが、高得点を取るためのカギになります。教科書を精読するなどして、基本的な知識・理解の習得を怠らないことも重要です。

Z会の通信教育 本科「東大講座 日本史」では、東大日本史を解けるようになるために取り組んでほしい問題や、東大日本史の出題形式や設問の傾向、頻出テーマを踏まえた問題を豊富に出題しています。Z会オリジナルの、東大日本史に即した問題演習を積み、個々の解答に応じた添削指導を受けることで、東大日本史への対応力を着実に養っていきましょう!

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今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (地歴…時間:2科目150分)

  • 例年通り、第1問-古代、第2問-中世、第3問-近世、第4問-近・現代という出題構成であった。
  • 全大問が小問2問構成となり、小問数は2023年度から2問増えて8問であった。
  • 論述総字数は2023年度と同様に660字。小問の最小字数は60字、最大字数は120字であった。
  • 全体的な難易度は、2023年度同様に標準的であった。

2024年度入試の特記事項

  • 第1問〜第3問は従来通りの提示文型である。近年、史・資料の提示が多い第4問は、2024年度は提示文がなく、史料の大意とグラフが提示された。
  • 昭和戦後史からの出題はなかった。

合否の分かれ目はここだ!

  • 見慣れない切り口から問うた問題も見られたが、全体としては解答の方向性を見出しやすい出題であった。とくに、頻出テーマであった第1問や、提示文の読み取りと基本的な知識で対応できる第2問は高得点をねらいたい。その上で、解答をまとめづらい出題が見られる第3問・第4問で、設問要求に答えること、論理的な文章に組み立てることを意識して解答を作成し、どれだけ得点を積み重ねられたかが、合格へのカギになる。
  • 第2問では鎌倉時代の文化が出題された。確実に得点を積むためには、東大の過去問研究を深めるだけでなく、いずれの時代も分野の偏りなく学習していることが大前提になる。

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大問別のポイント

 第1問  

A:9世紀前半における太上天皇の政治的立場の変化(2行:60字)

  • 「太上天皇の政治的立場」という見慣れない切り口であるが、東大日本史第1問で頻出の奈良~平安時代の政治体制が問われている。
  • 提示文⑵⑶を踏まえて、天皇と太上天皇の関係性を軸に解答をまとめていく。60字と字数が限られているが、9世紀前半までの太上天皇の政治的立場にも言及したい。

B:9世紀前半における天皇と官人の関係の変化(4行:120字)

  • 「奈良時代までとの違い」に留意することが求められている。9世紀前半における官人の説明に終始せず、天皇と官人との関係がどのように変化したかが明確になるように解答をまとめたい。
  • 第1問A同様、東大日本史で頻出のテーマであり、しっかり過去問研究をしてきた受験生にとっては取り組みやすかっただろう

 第2問  

A:東大寺再建の技術の特徴(2行:60字)

  • 東大寺再建に際して用いられた大仏様の特徴を、その「背景」に触れながら述べることが求められた。
  • 大仏様の特徴は基本的な知識であり、確実に解答したい。「背景」については、登用された陳和卿が宋の商人であることから、日宋貿易を想起できたかどうかで差がついただろう。

B:東大寺再建への源頼朝の協力(3行:90字)

  • 源頼朝の東大寺再建への協力を、「頼朝の権力のあり方」を踏まえて述べることが求められている。
  • 「源頼朝の東大寺再建への協力」という切り口に戸惑うだろうが、提示文から読み取れる頼朝の「協力」について、⑵の頼朝の寄付と、⑷の「西国の地頭」「有力御家人」の2つの事例を、頼朝の権力が確立される過程と関連付けながら述べていきたい。

 第3問  

A:長崎やポルトガル船に対する江戸幕府の政策の転換(3行:90字)

  • いわゆる「鎖国」政策が進められた1630年代における江戸幕府の対ポルトガル政策の転換を、島原の乱の影響と関連付けて述べることが求められた。
  • 提示文⑴~⑶から「ポルトガル船との貿易の維持」に注目して解答をまとめていく。提示文⑷を使いきれるかどうかで、解答の出来に差がついただろう。

B:江戸幕府が対ポルトガル船政策を大名に知らせた意図(2行:60字)

  • ポルトガル船の来航禁止を諸大名に広く知らせた江戸幕府の意図を考える。知識や提示文から引き出すことができず、何を書くべきか迷っただろう。
  • 提示文⑸の「警戒を呼びかけた」を踏まえて、幕府が諸大名に何に対する警戒を求めたかを推察したい。

 第4問  

A:明治・大正期における小作地比率変化の要因(3行:90字)

  • 1873~1916年における小作地と自作地の比率の変化を図1から読み取り、その要因を述べることが求められた。
  • 小作地の比率が増加した要因として、松方デフレや増税を想起したい。なお、提示されたグラフのすべての時期について要因を述べる必要があるか、判断に迷っただろう。

B:1940年代前半における地主・小作農の収益配分変化の要因(3行:90字)

  • 1940年代前半に見られる収益配分の変化を図2から読み取った上で、それがどのような政策的意図によるものであったかを述べる。
  • 90字という字数設定を踏まえて、地主と小作農の間の収益配分がどのように変化したかを解答に盛り込みたい。この時期が戦時中であることに着目すれば、資料3で述べられている「食料増産のため」が「政策的意図」であることに気づけただろう。

 攻略のためのアドバイス

東大日本史を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 全時代・全分野についての正確な知識・理解

当然だが、日本史についての知識・理解があることが問題を解く上での前提となる。学習の際には、歴史事項の正確な意味内容や、事項の流れに加えて、律令制や幕藩体制といった、各時代を考える際の本質的な事項の理解の両方を身につけることを心掛けよう。

●要求2●提示文・設問文の把握

東大日本史では、与えられた提示文や史・資料すべてをうまく活用すること、設問文の要求や意図を読み取ることが重要になる。東大型の問題演習を通じて、提示文を利用し、設問の趣旨にあった解答を作成する力をつけていこう

●要求3● 要求された字数に応じて論をまとめる記述力

東大日本史で出題される字数は30字~180字と幅広い。そのため、設問の要求だけでなく、各設問で指定された字数に合わせて、情報を取捨選択し、論旨をまとめる高度な記述力が必要である。定期的な論述演習で、設問の要求を満たした解答を作成する力を養っていこう。

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