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森谷 寛之教授 |
| (京都文教大学) |
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| 京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、京都大学大学院教育学研究科修士課程・博士課程に進学、博士号を取得。愛知医科大学医学部助教授、鳴門教育大学学校教育学部教授を経て、1998年より京都文教大学人間学部臨床心理学科教授。研究分野は臨床心理学。著書に『臨床心理学』(サイエンス社、近刊)、『ザ・臨床心理学−大学で何をどう学ぶか−』(共著、創元社)などがある。 |
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| 第1回│第2回 |
| ■ 取材日:2004.11.30 |
| 掲載内容は取材当時の情報となりますので、ご了承のうえご覧くださいますようお願いいたします。 |
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| 第2回 臨床心理学の発展のために、臨床心理士を志す人のために |
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| 医療分野から教育・産業に至るまでのあらゆる領域に関わって |
京都文教大学には1998年に来たのですが、それまでは精神科・医療分野のカウンセリングを行ったり、学校現場の臨床心理学的な研究を行ったりしていました。スクールカウンセラー制度は1995年から始まったのですが、これも最初から関わって、徳島や京都でスクールカウンセラーを行ったりしていましたね。現在は、産業領域のカウンセリングを重要だと考えていまして、その教育・研究をしようと思っています。産業領域では、臨床心理学に対するニーズはあるのだけれども、その一方で、臨床心理学とうまく結び付いていないんです。うまく行けば発展するはずですから、そのあたりを探っているところです。私は臨床心理学が未分化なところから出発していますから、必要性に迫られてその都度工夫しつつ、あらゆる領域にちょっとずつ関わってきたんですね。
カウンセリングの際は、患者さんが一番表現しやすいように苦労しています。患者さんとは自分の心の中で生じていることがよくわかっていない方なんです。それが形になれば何がしかの癒す効果になると私たちは気づいているわけですから、自分の心の中で起こっていることを患者さん自身がうまくつかめるように、いつも努力しています。仕事としては、大変やりがいのある仕事だと思いますよ。1人の人間が変化を遂げる、そのありさまを一番間近で見られるわけですから。夢や描画、箱庭作品などのイメージを通してそのありさまを見ることができます。人間の成長の素晴らしさを感じますし、そういう風にうまく変化してくださっている姿を見るのは本当に嬉しいことです。 |
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| 臨床心理学を根づかせるために作られた唯一の大学 |
京都文教大学の一番の特徴は、臨床心理学という学問を日本に根づかせる、また、作り出そうとして作られた唯一の大学だということです。他の大学では、他の学問体系が既にあって、その中に臨床心理学系の学部や研究科を設けているところがほとんどだと思うのですが、京都文教大学は、「臨床心理学を根づかせるためにはどうすればよいか」ということを一番の主眼にして作られたのです。ですから、カリキュラムは一番よいものにしようと、絶えず工夫していますね。カリキュラムなどを変更しようとすると、ほとんどの大学は制約があって思うようにできないと思うのですが、京都文教大学では、よいものがあったら取りいれて変えていくことができますし、実際にそうしています。例えば、学生から何かを変えたいという要望があり、教員もそれがいいなと思ったらすぐ実現できる体制にあるんですよ。ともかく学長も副学長も学部長も臨床心理士なのですから。
学生を見てみると、自分の内面の問題に対して感受性がある方が多いですね。人の気持ちがわかるような人が多いと思いますよ。大学は定員200名で、大半は臨床心理士を志望しています。大学院の定員は30名ですから、大学院入試はかなり倍率が高いですね。大学院には外部から入ってこられる方もいますから、競争になります。入学者の比率は外部進学・内部進学がそれぞれ半々くらいでしょうか。外部から来る人は、いろいろなところでこの学問分野の重要性に気づいた人たちですよね。そういう人は目的意識がはっきりしていますし、優秀です。
大学院は、クライアントを持ってケースを担当できる唯一の機会です。学部と大学院の違いは、知識の量ではなく実践の有無なんです。ですから、大学院では実践力を身に付けてほしいですね。また、クライアントと接する時には、謙虚な気持ちでクライアントの言うことに耳を傾け、クライアントから学ぶ。その姿勢を大切にしてほしいです。臨床心理学という学問はクライアントから学んだものばかりなんですよ。フロイトももちろんそうです。謙虚な姿勢と新鮮なまなざしで見つめたことは、将来、その人の一番の個性や業績になります。 |
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| 無駄なものは何もない。全てが活きてくる分野 |
臨床心理士を目指す人に対しては、「臨床心理学は興味深く、他の分野にはない面白さと豊かな可能性をもった分野ですから、ともかく歓迎する」とお伝えしたいですね。大変面白い仕事ですよ。ただし、人間の難しさも同時に覚悟してほしいですね。臨床心理学という領域は、誰も扱わなかった、扱うのが難しかった領域だからこそ、今まで存在していなかったわけです。臨床心理学を学ぶこと自体で身に付くことはたくさんありますから学んで損はないと思いますが、過大な期待をもつと失望してしまうだろうと思います。
それでも臨床心理士を目指したい・大学院を受験したいという方に対してアドバイスを申し上げるとするならば、まず受験勉強としては、英語はやはり大きなウェイトを占めますからしっかり勉強してほしい、ということでしょうか。また、一通りの心理学に関する基礎知識も身に付けてほしいですね。受験勉強以外のところでは、幅広い教養はどうしても必要となります。それは無視しないでいただきたいですね。すぐに役にたつものではありませんが、人間的な幅広さはクライアントに重要な影響をもつのです。
あとは、人間的なものに対して幅広く関心を持っている、いろいろな分野で活躍している人にこの分野を目指してほしいと思いますね。この学問分野にとっては、無駄なものは何もないですし、今までのキャリアや教養を無駄にすることはないんです。全て活きてくるんですよ。私自身、理科系の出身ですけれど、理科系の分野で身に付けたものを捨てた気はしていません。理科的なものと文科的なものを総合した分野を探した結果、この道に進んだわけですから。だからこそ、今の自分のキャリアを大事にして、きちんとこなしてほしいですね。それが後々活きてくるわけですから。 |
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