子どものココロジー

ゲームばかりやりたがる子

子どもの心のそのココロは? 子どもの行動の裏側にある心理を知るコーナーです。

イラスト・根岸麻衣子

 いまやゲームは、純粋に遊ぶためのものから学習や健康管理につながるものまでさまざまなタイプがあり、幼児からお年寄りまで楽しめます。電車の中でも、社会人や小さな子どもがゲームをしている姿を目にします。場所をとらず、周りを汚さないので、ほどよく楽しむ分にはよいのですが、ゲームが大好きな子どもは、毎日、長時間を費やしてしまいます。利便性や楽しさはわかっていても、ゲームばかりやっている姿は気になりますね。

ゲームの影響と問題点

 ゲームによる影響は、精神面や身体面で異なりますし、一概に良しあしをいうことはできません。たとえば暴力性のあるゲームで遊んだあとで、多少興奮しやすくなることはあるようですが、それ以上の深刻な影響は見いだされてはいません。しかし、幼い子どもが敵を暴力でやっつけるようなゲームをやることで、暴力が解決手段であると誤解してしまったり、暴力的なものを長年繰り返しやっていることで、暴力に寛容になったり、そうしたやり方を当然だと思ったりする危険性は気になるところです。いずれにしても、暴力が肯定的に描かれた内容のソフトは避けるべきですので、ゲームを購入する際には内容を吟味したほうがよいでしょう。年齢的にふさわしく、知的なものや、敏捷性やスピード感を養うものなどが好ましいのかもしれません。子どもにはやらせたくないと思うゲームを子どもの前で親がやらない配慮も大事です。
 また、ゲームは、やっているときだけがおもしろいばかりではなく、攻略本を読んだり、キャラクター関連グッズを集めたり、友だちと対戦したり、情報交換をしたりと、楽しさが広がっていく魅力がありますし、集中力が養われたり、視覚の訓練になっているという説もあるようです。一方でゲームの悪影響として心配されるのは、視力の低下や、社会的不適応などです。目を守るためには、読書と同じで明るい場所でやること、目を近づけすぎないこと、長時間やらないことです。ただ、子どもの発達における影響については具体的な研究結果が出されているわけではありません。
 ゲームの問題点の一つは、没頭してしまうと途中でやめられなくなることです。外遊びなら暗くなれば終わりにしますし、だれかの家で遊んでいても、時間になれば解散します。テレビやビデオは独占しにくいものですし、本や漫画も読み終わりますが、携帯ゲームはやろうと思えば一日中でもやれてしまうのです。
 もう一つの問題点は、ゲームをやっていれば、一人でいても寂しくないし、退屈しないことです。学童期はさまざまな人とのやりとりを経験しながら、ソーシャルスキル、つまり、人づきあいの技術を身につける大事な時期なのですが、ゲームをやる時間が長くなればなるほど、子どもから生の人間関係を奪ってしまいます。読書や勉強が終わって即ゲームをするというようでは、だれかと会話したり、ふれあう機会はほとんどもてません。人間関係は本からも学べますが、経験をとおして身につけていくことがいちばんです。その意味からも、やはりゲーム好きな子どもには時間制限が必要でしょう。

ルールを守る姿勢があれば だいじょうぶ

 「ゲームは1日1時間」というルールを決めたとしても、その時間をきっちりと守れる子は少数派でしょう。ゲームで遊ぶときには、時間を制限することと、夜遅くまでやらせないことが大切ですが、時間を守らせるのに苦労しているご家庭は多いと思います。しかし、なにがなんでもルールを守らせようとガミガミ言ってばかりいると、親も子もうんざりしてしまいますし、逆効果になることもあります。また、セーブする場面が決まっているようなゲームの場合は、セーブのタイミングまで見越して時間内に終わらせることは、低学年の子どもにはかなり難しいものです。時間オーバーしたからといってカリカリしすぎず、セーブする時間くらいは大目に見てあげるくらいの気持ちで、声をかけましょう。
 時間を守るのは難しいけれども、ルールを守ろうとする姿勢があれば、多少ゲームの時間が延びたとしても子どもの成長に大きな悪影響はありません。もし子どもが時間を守ることができたら、それをきちんと認めてあげてください。自分で自分を制御できたという自信になり、次からも時間を守れるようになるという好循環につながっていくことと思います。

子どもに合ったつきあい方を

 ゲーム好きな子どもを大きく分けると、次の2タイプに分けられると思います。
①ゲームも好きだけれども外遊びも好きだし、ほかにも好きなことがある。
②ゲームばかりやっていて、とくにほかに好きなことがない。動くことが嫌い。
 ①のタイプの子は、一時的にゲームに没頭したとしても、年齢が上がるにつれて興味の対象が多様化し、ゲームの存在はしだいに小さくなっていきます。一方で、②のタイプの子は中学に行ってもゲームにはまったままということも考えられます。まずは、日々の生活において宿題や毎日やることを優先的にやってからゲームを楽しむという習慣を身につけましょう。そして、ゲームだけが娯楽にならないようゲームをやらない曜日をつくる、習いごとをさせてみるなど、ゲーム以外の楽しいことを作り出す工夫をする必要があるでしょう。
 没頭して時間も守れないことが続いたりすると、ゲームを取り上げてしまいたくもなります。しかし、ゲームを取り上げたり別のことを強制したりすると、子どもはもっとやりたくなるものですし、やりたいこととやらなければいけないことの折り合いを自分でコントロールする力は育ちません。なんでも予定通りにきちっとやりすぎたり、悪いものは徹底的に排除するという環境も考えものです。ゲームだけではなく、パソコンや携帯・スマホなど、子どもとメディアとのつきあいはずっと続きます。それぞれの家庭でゲームとのつきあい方を試行錯誤しながら、子どもの成長とともにゲームが中心ではなくなってくるというのが、現代の子育てなのかもしれません。そうした試行錯誤も、子どもとの大事なかかわりの一つです。

プロフィール

塚崎 京子 (つかさき・きょうこ)

お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士前期修了。白梅学園大学子ども学部および鎌倉女子大学児童学部等で非常勤講師。専門は発達心理学・保育学。

プロフィール

監修

無藤 隆 (むとう・たかし)

東京大学大学院教育学研究科博士課程中退。お茶の水女子大学生活科学部教授を経て、現在、白梅学園大学教授。専門は発達心理学。

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