●就職活動、仕事について
大学院進学者が多いと伺いましたが、塩谷さんは迷われなかったですか?
■卒業生
私はそれほど迷うことなく就職を選びました。自分の中で論文を書くのがそれほど得意ではないと感じていたので、大学院進学に強い思い入れはありませんでした。
■先生
就職活動の時は結構たくさんの会社をまわったの?
■卒業生
主にインフラ系と金融系に絞って受けました。当時はモノを売る会社よりもサービスを提供する会社で仕事がしたいと考えていましたから。インフラ系は電力と通信、金融系は銀行や公庫を受け、最終的に今の会社に決めました。
同期生で就職された方はどういった分野で活躍されていますか?
■卒業生
一人は国家公務員の試験を受けて総務省に入り、ほかの人は広告代理店や出版社に就職しました。
■大学生
総務省に入られた方はどういった仕事をされているのですか?
■卒業生
総務省は郵政・通信・地方自治の3つの所管に分かれていますが、その人は確か地方自治で仕事をされていると思います。
こちらの卒業生はどういった分野で活躍される人が多いですか?
■先生
哲学専修で言うとマスコミ分野が多いのかな。塩谷さんの同期生は今彼女が言ったように広告代理店と出版社に就職した人がいましたし、新聞社に入る人もいます。マスコミ以外だったら学校の先生になる人もいますよ。以前は中学や高校の先生になりたくてもポストが少なかったようだけど、最近は増えつつあるようです。
一筆さんは卒業後の進路について既に考えていますか?
■大学生
今は大学院に行きたいという思いもありますが、たぶん学部を終えて就職するだろうなと思っています。将来の仕事で興味があるのは報道です。そういう希望があるので、留学から帰ってきてすぐに報道記事をWEB配信している会社に2週間ほどインターンシップに行きました。実際の現場で記事の書き方などを教えてもらいましたが、これがとても難しくて…。なかなか自分が思うように文章って書けないものだと痛感しました。
■先生
私の同期は記者をやっていますよ。
■大学生
そうなんですか!
■先生
彼は卒論を書いた時に、書物や資料と向き合って論文を書くより、人と接して情報を発信する方が自分には向いているとわかったと言って、1年留年した後、新聞社に就職して報道の道に進みました。
塩谷さんが文学部で学ばれたことは仕事で生かせていますか?
■卒業生
専門が哲学ですからね(笑)。理論の前提を疑ったり、過去に示された理論を現代の問題に当てはめて検討したりすることを、哲学の手法の一だと学びましたが…職場で「そもそも前提が違う」というようなことを言う機会は…。
■先生
どんどん言ってよ。上司とか取引先に「あなたのその前提が間違っている」って(笑)。
■卒業生
言えるわけないですよ!
■大学生
はははは。私はいつか言ってみたいです!
■卒業生
話が逸れましたが真面目に答えますと、学部時代に学んだ「原点をあたっていく」ことは確かに仕事で生かせていると感じます。例えば、新しい施策を検討する時は過去を遡り、今までどういう系譜で従来のものが行われてきたのか、当時の文脈はどうだったのか、どういう法律に基づいて実施されたのか、そういったことを必ず調べなくてはいけません。そうした“原点”をあたっていく作業は、何の抵抗もなくできています。
■先生
なるほど。
■卒業生
学部時代は、反証するにしても立証するにしても、具体例を挙げることの大切さを出口先生や他の先生方にも教わりました。そして社会に出ると、そうした例は理論的に可能かどうかということと同じくらい、“具体的に示せる”ことが求められます。これは、おそらくどのような仕事をするにしても同様で、とても重要なことではないかと。今振り返ると哲学を学んだことで知らず知らずのうちにその訓練ができていたと思います。
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