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CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 

●5年後に向けて




先生の研究と社会との関わりについて教えてください。


先生
僕の研究成果が直接的にということではないですが、社会の発展には寄与できる可能性はあると思います。また、例えば、暗号の概念のように、現代社会のセキュリティシステムを支えているものの背景には、「素因数分解」があります。こうした点において、我々の研究は現代社会と結びついていると言えるでしょう。
数学は理系のあらゆる学問の土台です。その土台のすそ野が広がれば、上に立つものもより大きく充実したものになっていくでしょうね。


先生の研究の5年後の目標は?


先生
5年後は定年なので、定年後は健康である限り、楽しく遊んで暮らすのが目標です(笑)。

卒業生
あれ、定年後も研究を続けられるのでは?

先生
あ、研究は遊びという一面があるから(笑)。

卒業生
そうですね(笑)。

先生
数学の研究は、やっていて楽しいからやっているわけで、大きい声では言えないけど、それは遊んでいるようなものなのですよ。そうでなければ、続けられない。

皆さんの5年後の夢や目標は何でしょうか?


卒業生
まずは、しっかりとした終身雇用先の確保ですね(笑)。具体的な目標としては、大学の助手、准教授職への道筋を確立させたいと思います。
研究面での目標は、今までの研究成果を一般化することですね。 研究において難しいのは、それを一般化する際に、どういう問題設定をするかという点です。これまでこれくらいの世界で考えていたことを、もっと大きな世界で考察しても同じことが成り立つのか。自分が研究してきたことをより広い世界へと拡大できないか、と考えています。教科書に載ったり、社会の役に立つことで、数学の発展にも貢献したいですね。
また、先生の研究とも重なりますが、「素因子分解」が一通りにできる世界が無数にあるかどうかはまだ予想の段階で、証明されてはいませんので、それを示せたらいいなと思います。

先生
そうですね、そのためにも私の5年後の目標は、ぜひとも森澤君にパーマネント・ポジション(終身雇用先)を得てもらうよう協力することかな(笑)。

大学生
僕は修士課程に進んだ後、就職するか博士課程への進学かというのは、まだ決められていませんので、そうですね…ちょっと5年後はまだ白紙です。

 


●高校生へのアドバイス




進路選択などで悩んでいる高校生にはどんなアドバイスを?


卒業生
僕はとにかく「数学が好きだ」ということで、数学科しか考えていませんでした。 このように好みという軸で進路を選択するのも一つだと思います。
また個人的な意見としては、「これが学びたいからここに行くんだ」という姿勢で、主体的に判断し、学部・学科選択してほしいですね。なんとなく文学部、経済学部、法学部といった複数学部を受けたり、「親にやらされている」といった感覚で大学受験をしない方がいいと思います。
大学受験の頃は、皆さんも大人になっていて自分で判断はできる年齢です。自分で何かを決めていく最初のチャンスだと思いますので、なるべく自分で考えて自分で選ぶということをお勧めします。

大学生
僕は早稲田の系属校でしたが、周囲のアドバイスもあり、国立大学を第一志望にしていました。私立では、早慶を外部受験しました。受験学科はすべて数学科でしたので、その意味では数学科に一本化できていました。
森澤さんのおっしゃるように自分が学びたいことが明確になっていれば、それがベストですが、それが見えない人も多いと思います。そうした場合には、1年間学んだ後に学科選択をする等のシステムをフル活用すればいいのではないでしょうか。どのような学科が自分に合っているかは高校生ではなかなかわかりにくいと思いますから。

先生
情報化社会となった今、幅広い業界で数学科の卒業生が活躍しています。
「数学を真剣に学びたい」という方は、臆することなく、ぜひ、本学の数学科を目指してほしいですね。

数学が好きになるためのコツやアドバイスはありますか?


大学生
数学は積み重ねの学問なので、とにかくコツコツと積み重ねていくことですね。高校時代の数学も、受験勉強での学びもすべてが基礎、土台になります。特に微積分や三角関数などは数学科でなくとも理系学科では必要ですので、しっかりと勉強してほしいですね。

卒業生
そうですね。まさに積み重ねが大切だと思います。高校時代に学んだサイン(sin)、コサイン(cos)とかログ(log)などを、今の高度な数学研究でも頻繁に使っていますから、やはり高校レベルの数学は基礎であり重要ですね。

先生
嫌いな人はしょうがないんですよ(笑)。嫌いなものを無理に好きにしようとすることはないんじゃないかな、というのが僕の考えです。
でもまあ、野上君もそうだったけど、本を読んで数学に興味が湧くという人もいるでしょうね。そもそも、だいたい数学を嫌いになるのは、中学生あたりで勉強する「証明」の問題がきっかけなんですよね。この「証明」は数学の歴史を紐解くと、ギリシャで発達したものなんですね。ではなぜギリシャで「証明」が発達したのかは、ここでは教えてあげないけど(笑)、早稲田大学名誉教授の足立恒雄先生の書かれた『√2の不思議』という本に書かれているので、ぜひ読んでほしいですね。

卒業生
たしかに、証明問題は数学が嫌われる原因のようです。大学1年生に微分・積分を教える機会があったのですが、やはり「証明問題」は嫌いみたいですね。テスト前になると、授業後に私のところに来て「証明問題は出さないでほしいです」と、交渉しに来る生徒がいましたね(笑)。たぶん、文章回答が苦手なのでしょうね。て・に・を・はの使いまわしなど、国語力も必要になりますから。

先生
数学には国語力も必要です。きちっと論理的に説明していく、表現していくのが「証明」の楽しさですよ。

もし高校1年生に戻れるとしたら何をしたいですか?


卒業生
英語をもう少し真面目に勉強したいと思います(笑)。現在の研究業務では、論文は英語で書いて、海外の研究者と英語で議論することもあります。ですので、英語は必須です。英語をもっとちゃんと勉強すればよかったと反省しています。

大学生
僕は中学までバスケをやっていたので、高校でもバスケをやればよかったかなと、少し後悔しています。あとは、数学以外の科目もちゃんと勉強したい、ですかね(笑)。

改めて数学科の素晴らしさはどこにありますか?


先生
やはり数学科の素晴らしさは、学生を育てようとする雰囲気、これにつきますね。

卒業生
先輩がしっかりと後輩の面倒を見るという文化も根付いて、温かい雰囲気があります。私自身も先輩に助けられ、ゼミの後輩を見るということもありました。そういうつながりが脈々と受け継がれているところがいいところだなと思います。

大学生
他の理系学科に比べると実験が少ないため、勉強したりバイトをしたり自由な時間が多く取れます。また、分野違いの必修科目も少なく、効率的に数学の勉強ができるところですね。

大学構内のお気に入りスポット
大学生
51号館の18階は見晴しが良くて好きですね。

卒業生
西早稲田駅と接しているあたりのエリアですかね。 副都心線の駅と直結している点は便利でいいですよ。

 

 

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