こんにちは、小さいころからパズルが好きだった小田です。先日、生徒から「いつごろからパズルとか好きだったんですか？」と聞かれて少し思い返してみたところ、小学校低学年のころ、夢中になって遊んでいたパズルがあったのを思い出しました。三角形の色をそろえるパズルだったのですが、改めていろいろと調べてみて、再度入手することができました。

　さて、今回は数のパズルです。純粋に計算のパズルですので、難しいことはあまり考えず、ぜひお気軽に楽しんでください。

　それでは早速問題に行ってみましょう。

　数字の書かれたパネルがあります。このパネルのマスをいくつかぬりつぶし、残った数字の和が、たて・横のどの列も10になるようにしてください。

　いつも通り、まずは問題の意味を確認し、そのあとは自由にやってもらいましょう。

　「和」は「足し算した答え」「合計」のことです。もし、問題の意味がわかりづらいようであれば、以下のような例を示してあげてください。なお、ナナメの列は、今回は関係ありません。

　答えを出せたら、それぞれの列で「残った数字の和」が本当に10になっているかどうかを確認してあげてください。すべての列（たて・横）で10になっていれば正解です。なっていなければ、「ここが～になっているよ」と指摘してあげましょう。

　なかなか解いていくのが難しいようであれば、1列ずつ注目させてみましょう。最初は「この列を10にしようと思ったら、どの数字を消せばいい？」というくらいのヒントでかまいません。それでも難しいようでしたら、「この列を全部足すと、今はいくらになっている？」と聞いてあげてください。

　また、「消したい数字をぬる」だけでなく、「残すことが確定した数字」に〇をつけておくと、少し解きやすくなるでしょう。

　算数・数学の学習を進めていくうえで、「計算力」は一つ重要な要素になるでしょう。もちろん、計算だけがすべてではない、というのはある意味でまちがいではありません。しかし、「算“数”」「“数”学」が“数”を扱うものである以上、「それらを計算する」というのは、決して無視はできない要素です。

　とはいえ、それではいったいどうやって計算力をつけていけばいいのか、ということになると、それもまた難しい話です。計算ドリルをやればいいのか、というと、それだけではそう簡単に計算力はつかないからです。

 　計算力を鍛えていくには、機械的な操作をする能力と、数や計算そのものへのイメージ、その両方の充実が必要です。計算ドリルを繰り返し行えば、前者の能力を鍛えることはできるでしょう。しかし、決まった手順でトレーニングを繰り返すだけでは、後者の“イメージ”はうまく獲得していけないどころか、凝り固まった“イメージ”が定着してしまう危険性もあります。

　数や計算のイメージを豊かにしていくためには、もちろん“量”が必要なのですが、それは、それらを「なるべくたくさんの側面から捉えていく」という意味での“量”です。以前、拙著『東大脳ドリル』のなかでも書いたことなのですが、「数や計算のイメージを豊かにする」というのは、端的に言うと「数や計算と仲良くなる」ということです。人間でも同じですが、だれかと仲良くなるためには、その相手とたくさんの時間をともにし、さまざまな経験を共有することが大事でしょう。仕事上でしかつきあいのない相手とは、なかなか仲良くなれません。それと似たような話で、言ってしまえば「手順の決まった計算練習だけでは、数や計算とはなかなか仲良くなれない」ということです。

 　数や計算と仲良くなるには、数や計算と一緒にいろいろと遊んでみることが大事です。その意味では、パズルというのは、ひとつ格好の“遊び方”でしょう。今回のような計算パズルの場合、解いていくなかでいろいろと計算はしていきますが、その計算方法は、何かにしばられているわけではありません。解いていく人のなかで、自分の好きなように計算したり、ときに計算しなかったりすることもできます。

　そうやって、数や計算と自由に触れ合う経験を増やし、それらについてのイメージを豊かにし、理解を深めていってほしい、というのが、今回の問題のねらいです。

　数字の書かれたパネルがあります。このパネルのマスをいくつかぬりつぶし、残った数字の和が、たて・横のどの列も10になるようにしてください。

• 解答

　いかがでしょうか。先日、昨年度も参加した数学の大会(Stage20：仮定を立てて考えよう参照)にまたまたこっそり参加してきました。今年は昨年より出場チームも増え、レベルが上がったこともあり、あまりいい結果が残せませんでした。昨年も、ケアレスミスって出るよね、と言っていましたが、今年もいろいろとやらかしました。ちょうど先月も似たような話をしていましたが、わかっていないわけでもなく、練習が足りていないわけでもなく、まちがうときはまちがえるのだなあ、というのが率直な感想です。子どもを見ていると、「なんでそんなミスするんだ！」と思うときもありますが、実際に自分も同じ立場に立ってみると、そう簡単な話ではないんだなあ、と実感できますよね。せっかくの経験なので、今後の指導にもいかしていきたいと思います。

　それではまた来月！