小田先生のさんすう力UP教室

規則性を探してみよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。

 こんにちは、クリスマスプレゼントは最近もらっていない小田です。小さいころは、朝起きると枕元ではなくリビングに、(3人兄弟なので)3人分のプレゼントが並べてあったりしたような記憶があるのですが。逆に、何をもらったか、というのは意外と記憶にないのですが、戦隊もののおもちゃとかはもらったような気がします。

 さて、今回は規則性の問題です。「規則性」というとなんだか構えてしまう人もいるかもしれませんが、まずは気楽に取り組んでみてください。

 それでは早速問題に行ってみましょう。

Stage34:規則性を探してみよう

 図のように、記号があるきまりに従って並んでいます。この列の、30番目に並んでいる記号はなんでしょう。

    〇、△、◆、〇、△、◆、〇、△、◆、〇、……

指導のヒント

 まずは、いつも通り好きにやらせてみましょう。問題の意味がわからない、というのはあまりないと思います。

 先にネタをばらしてしまうと、“繰り返し”になっているのですが、それに気づかなければいけない、ということではありません。気づけばそれはそれでいいことですが、なかなか気づかないときは、最後の(10番目の)○を指して「この〇の次には何がくると思う?」と聞いてみましょう。

 そのまま、その次はこれ、その次は、……とやっていければ十分です。

 30番目なので、計算して出せなくても、順に書き出していければ、それでOKです。

解答

 ◆

さんすう力UPのポイント

 算数・数学が好き、と言う人のなかには、「一見関係ないもののなかに何か法則性が見つかると楽しい」と言う人もいます。これは別に数学が好きな人だけの感覚ではなく、数学が苦手だと思っている人たちのなかでも、「こういうものの背景にはこういう法則があるのですよ」と提示してあげると、「なるほど! 感動した!」と思う人は多いようです。

 自分で見つけるのであれ人から提示されるのであれ、人間はある程度、何かしらの規則性や法則性に対して、おもしろいと思う生き物のようですね。なぜそういったものをおもしろいと思うのか、ということの理由の一つは、やはり「先が予測できるから」ということでしょう。

 この世界は、予測ができないことで満ちあふれています。もちろん、予測ができないほうがドキドキして楽しい、という向きもあるかと思いますが、それはあくまでたまにだから楽しいのであって、日常的に“予測ができないこと”ばかりだと、端的に言ってそれはかなり疲れます。

 次に何が起きるか、予測できていれば準備ができます。その、予測するために必要な手段は、“規則性を見つける”ことでしょう。「こういうときにこういうことが起きたから、次もこういうことが起きるだろう」と考えていく、ということです。それまでの経験から規則性を見つけ、先のことを予測してそれに備えることで、本来コントロールできないはずの“世界”を、少しだけコントロールすることができます。この、知性によって身の回りの“世界”に能動的に関わっていく、という感覚こそが、算数・数学を学ぶ一つの原動力でもあるのです。

 今回の問題では、さまざまな“規則性”のなかでも基本的な部類である、「周期性(繰り返し)」を扱った問題です。“算数の問題”として見ると、「解き方」のほうに目がいきがちかもしれません。たとえば、繰り返しを見つけたあとに、割り算を使って30番目を考える、という方法はあります。今回の問題なら3つずつの周期なので、「30を3で割って割り切れたから、繰り返しがちょうど終わる◆」と考えることはできるでしょう。しかし大事なことはその方法そのものではなく、「先を予測する楽しさ」を感じることです。次はこれが来そう、その次はこれ、と考えていくおもしろさを味わってほしい、というのが今回の問題のねらいです。

もっと問題

 次のように、記号があるきまりに従って並んだ列があります。

 それぞれの列の、30番目に並んでいる記号はなんでしょう。

 

(1) △、★、●、□、◎、△、★、●、□、◎、△、★、……

(2) ▼、△、▽、▲、▼、△、▽、▲、▼、△、▼、△、……

(3) □、●、△、☆、●、□、●、△、☆、●、□、●、……

    • 解答

(1) ◎  (2) △  (3) ●


 いかがでしょうか。この時期になると、毎年湯島天神にお参りに行くことにしています。ここ最近は毎年のように受験生を教えており、彼らには常々「がんばるのはわたしではない、君たち自身だ」という話をしているのですが、そうは言っても、できるだけのことはしてあげよう、ということで、神様にお祈りしに行くのです。とはいえ、「合格祈願」というのは趣味ではないので、入試までの残された時間を、悔いなく過ごせるよう祈ってくるだけではあるのですが。本当はきっと、受験生にとってはそれがいちばん難しいんだと思うんですけどね。

 それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

 

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