小田先生のさんすう力UP教室

図形の数を数えよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、最近、体のいろいろなところを温めている小田です。レンジで温めるタイプの、ジェルとかあずきとかのベルトなどをいろいろ買いました。肩や腰を温めると、特にいいですよね。近頃とみに寒くなってきたので、いつの間にか肩に無駄な力が入っていたりするのですが。温めるといい感じにほぐれるのでだいぶ楽になりました。

 さて、今回は物の数を数える問題です。物の数を正確に数えるのは、実はなかなか難しかったりするのですが、その難しさも楽しみつつ、まずは気軽にチャレンジしてみてください。

 それでは早速行ってみましょう。

 

Stage9:図形の数を数えよう

例題

<例題> 下の図の中に、三角形は何個あるでしょうか。「書かれている線でできる三角形(例のようなものも含む)」をすべて数えてください。大きさ・形が同じでも、場所が違うものは、別のものとして数えることとします。

例題の答え

まずは、問題の意味が理解できているかどうか、確認してあげましょう。「三角形1つ」でできている「9個」だけを数えるのではなく、「書かれている線を使ってできる三角形」をすべて数える問題です。「9個」以外が見えていない場合は、「例」のような三角形を、「こういうのも数えるんだよ」という感じでいくつか具体的に示してあげてください。「三角形4つ」でできる三角形は数えていくときに重なりますが、そこで引っかかる場合は「重なってもいいんだよ」と伝えます。「三角形4つ」でできる三角形が3つあることも、具体的に示してあげて構いません。ほとんど答えを言ってしまうことになりますが、あくまでこの問題は例題なので、ルールを理解するためと割り切ることも必要です。
お子さんが答えを出した場合は、まず、どの形(大きさ)のものが何個あるか聞いてみましょう。それぞれの大きさの三角形ごとに、個数が合っているかどうかを伝えてあげてください。種類が足りていない場合は、「他の大きさもあるよ」と伝えます。

解いてみよう

Level 1

下のそれぞれの図の中に、三角形は何個あるでしょうか。「書かれている線でできる三角形」をすべて数えてください。大きさ・形が同じでも、場所が違うものは、別のものとして数えることとします。

 

Level 2

下のそれぞれの図の中に、三角形は何個あるでしょうか。「書かれている線でできる三角形」をすべて数えてください。大きさ・形が同じでも、場所が違うものは、別のものとして数えることとします。

 

Level 3

下のそれぞれの図の中に、四角形は何個あるでしょうか。「書かれている線でできる四角形」をすべて数えてください。大きさ・形が同じでも、場所が違うものは、別のものとして数えることとします。

 

解答

Level 1

Level 2

Level 3

さんすう力UPのポイント

冒頭でもお伝えしたように、「物の数を数える」というのは、実はとても難しいことです。もちろん、単純に「1つ、2つ、……」と「数える」ことそのものは、それほど難しくないでしょう。ここで「難しい」と言っているのは、物の数を「正確に数える」ことです。
段ボールに山のように入ったミカンを想像してみてください。このミカンが何個あるか、正しく知るのは、実際結構難しいと思いませんか。慎重に、丁寧に数えていったとしても、「それが本当に正しい個数なのか」というのは、やはり自信をもって言い切るのが難しいですよね。しかし不安だからと言って、もう一度数えなおしてみても、「1つ2つ数がずれる」というのは容易に想像できる状況です。そうなると、さらにもう一度数えなおして1回目・2回目の結果のどちらかと一致したとしても、「本当にそれが正しいのか」という不安は残ってしまうでしょう。自分が数えていても不安になるなら、他の人が数えた結果ならなおさらですね。「全部で102個でした」と伝えても、それを信じてもらえるかどうかはわかりません。
物の数を正しく数えるには、そして、正しく数えられていることを客観的に認められるためには、やはり「数える工夫」が必要です。それらの工夫を研究し、実際に技術を身につける、というのも、算数の学習の重要な目的のひとつです。今回の問題も、決められた形を数えていく中で、数えることの難しさを体験し、正確に数えるための工夫をいろいろと知ってほしい、という狙いがあります。
物の数を数えるための工夫のひとつとして、まずは「順に数える」というものがあります。見つけたものからなんとなく数えてしまうと、どれを数えてどれを数えていないか、わからなくなってしまったりしますね。そういった失敗を避けるために、自分なりに順序をつけて、その順に数えていく、というのが、ひとつ重要な工夫になります。今回のような図形を数える問題なら、「並んでいる順番」というのがその「順序」にあたるでしょう。例えば、「解いてみよう」の(8)の問題で、「縦1マス横2マスの長方形」を数えるなら、下の図のように数えていくのがいいでしょう。

もうひとつの重要なアイディアは、「分けて数える」ことです。ミカンを数える話で言えば、単純に「5個ずつ」と個数ごとに分けて数えるだけでも、ずいぶん数えるのが楽になるはずです。今回の問題で言えば、「解答」のほうでも示している通り、大きさや形ごとに分けて数えるのがいいですね。
さらに踏み込んで言えば、Level1のような三角形を数える問題では、同じ大きさであっても向きで分けて数えると、さらに数えやすいかもしれません。例えば(2)の問題であれば、「三角形4つでできる三角形」を数えるときに、「まずは上向きのものを数えよう」と考えると、下の図Aのような4つが見えてきます。下向きの三角形も同じく4つあるので、「三角形4つでできる三角形」が合計8個とわかります。(3)の問題では、同じく「三角形4つでできる三角形」を数えるとき、上向きと下向きを一緒に数えてしまうと、下の図Bの赤の4つだけ数えておしまい、としてしまう失敗がよく起こります(図Cに示した青の3つを見逃してしまいがちです)。上向きと下向きを分けて数えることで、そういった失敗が起こる確率を少し下げることができるでしょう。

「分ける」ときの「分け方」も「順に」考えていくことができます。特にLevel3などでは、そのアイディアがあるといいでしょう。四角形の大きさについて、「縦が1マス分のもの」のうち、「横が1マス分」「2マス分」「3マス分」……と、順に調べていくのです。解答で、向きを変えれば同じになるものでも別々に数えていますが(「縦1マス横3マス」の四角と「縦3マス横1マス」の四角など)、それはこの「順序」を見やすくする意図があります。こうやって順に形を書いていくことで、「1種類見落とした」などのような失敗を防ぎやすくなるでしょう。
もちろん、こういった様々なアイディアを、最初から自分で考えてできるようになることは、あまり求めていません。「順に数えるといいよ」とか「分けて数えるといいよ」といったことは、普通に伝えてあげるといいでしょう。大事なことは、正確に数えることは難しいことなんだ、と実感してもらうことと、工夫すればその負担が軽くなるかも、と思ってもらうことです。そうやって「工夫する意味」を体験してもらうことで、様々な工夫を習得するモチベーションにつなげていってくれるといいな、と思います。


 いかがでしょうか。

 先月お伝えしていたチェストラックが無事に届きました。早速少し片づけをして、スペースを作ったのですが、その空いたスペースをエアロバイクで埋めてしまいました。いや、いいですよエアロバイク。これから冬になり、あまり外に出たくない季節になりますしね。運動不足の解消にきっと役立つことでしょう。デスクがついているタイプのものを買ったので、作業をしながらバイクをこぐことも可能です。この原稿も、エアロバイクをこぎながら書いていますしね。冬が明けるころには、もう少しおなか周りが減っているといいな、と思います。

 それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

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