小田先生のさんすう力UP教室

図形のセンスを身につけよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、結構人見知りするタイプの小田です。新学年・新学期ということで、新しい生徒たちとの出会いもたくさんあるわけですが、正直に言えば、毎回かなり緊張します。もちろん、生徒も(というより生徒のほうが)緊張していると思うのですが、だからこそ、こちらからうまくコミュニケーションがとれるよう頑張ろうと思ったりもして、ますます緊張しますよね。
 さて、今回は図形のパズルです。正方形と正三角形のパネルを使って、いろいろな形を作っていく問題です。慣れないうちは、実際に紙を切り取ってパネルを用意し、それを並べてみても構いません。楽しみながら、ぜひチャレンジしてみてください。

 それでは早速行ってみましょう。

Stage14:図形のセンスを身につけよう

例題

<例題> 図の(ア)と(イ)のパネルをそれぞれ何枚か並べて、(ウ)の形を作ってください。

 

例題の答え

今回は、問題の意味は大丈夫ですね。正方形のパネルと正三角形のパネルを使って、指定された形を作る問題です。まずは、お子さんの好きなようにやってもらってください。定規はなるべく使わずに取り組んでほしいですが、お子さんが自分で定規を使い始めた場合は、特に止めなくても大丈夫です(使っていないお子さんに対して、親御さんから使うように言う必要はありません)。

しばらく見ていて、どうも形が安定しないな、という様子でしたら、印刷して切り取るなど、実際に正方形の紙と正三角形の紙を用意してあげましょう。それを並べて形を作ることができればOKです。

お子さんが答えをかいたら、枚数が明らかに多いなどの場合は別ですが、多少形がゆがんでいるくらいなら、正解にしてあげてください。「分ける」ようにかかず、「形を置いていく」ようにかくこともあると思いますが、それももちろん正解です。枚数が多い場合などは、「もう少し入る」や「そんなに入らない」と伝えてあげてください。一つ一つの形が小さすぎて枚数が多い場合は、正しい大きさがどれくらいか、を伝えてあげていいでしょう。形がゆがんでいてたくさん入りすぎている場合は、かいた形と(ア)や(イ)の形を比べて、「これとこれは同じ形かな」と聞いてみます。しっかり見て、同じ形ではないことに気づいた場合は引き続きお子さんに任せましょう。いまいちピンと来ていないようなら、やはり紙を用意してあげてください。

解いてみよう

図の(ア)と(イ)のパネルを何枚か並べて、それぞれの形を作ってください。

Level 1

 

Level 2

 

 

 

Level 3

 

 

解答

Level 1

Level 2

Level 3

さんすう力UPのポイント

この世界にはたくさんの種類の「図形」がありますが、今回のテーマである正方形と正三角形は、その中でももっともシンプルな「図形」に分類されるでしょう。しかし、そんなシンプルでなじみのある形だからといって、それらをよく知っているかというと、意外とそうでもないような気がします。たとえば、定規などを使わず、フリーハンドでこれらの図形をうまくかくことはできるでしょうか。一見するとうまくかけたように見えても、向きを変えると歪んでいることは珍しくありません。

図形はセンスが大事だ、という話をよく聞きますね。「センス」という言葉は曖昧で、「生まれ持った才能」という意味でとらえられてしまう場面もあり、そういう意味で「センスが大事」と言ってしまうと、「センスがないから諦めよう」となってしまうかもしれません。しかしここで言う「センス」は、言葉の通り「感性・感覚」であって、それはある程度磨いていくことが可能なものなのです。図形のセンスというのは、図形の特徴を感覚的に把握する力のことです。もう少し踏み込んで言えば、図形を構成する点や線の位置関係を、体感的につかみとる力のことです。それを鍛えるためには、まず第一に「図形を見る」こと、そしてその次に「それを再現する」ことが重要です。

正方形や正三角形のような見慣れたはずの図形であっても、なかなかフリーハンドでうまく書くことができないのは、まず「見る」経験が足りていない、ということがあるでしょう。いやいや、正方形とか正三角形くらいさんざん見てきたよ、と思うかもしれません。しかしここで言う「見る」というのは、単に視界に入れることだけではなく、「観察する」というレベルでの「見る」です。特に、いろいろと向きを変えて、その際にそれぞれの頂点や辺などがどういう位置関係にあるかというのを、意識的に観察する経験というのは、日常生活の中では意外と少ないはずです。さらに、「再現する」練習も、やはり意識的に行う必要があるでしょう。フリーハンドで図形をかくことは、まさにその練習になります。定規や分度器を使わずに図形をかくとき、それぞれの点や辺の位置関係を考えなければいけませんね。たとえば正方形の場合なら、もちろん「辺の長さがすべて同じ」や「すべての角が直角」というところを考える必要がありますが、それに加えて「対角線同士が直角に交わる」ことなども意識しながらかいていくと、うまくかける可能性は上がります。そうやって、「この図形はこういう特徴があるから、この点はこのあたりにあるはず」というのを意識化しながらかく練習をすることが、図形のセンスのトレーニングにつながるのです。


今回の問題では、レベルが上がるにしたがって、「向きを変えた正方形・正三角形」が出てくるようになることに気づきますか。初めてこれらの問題に取り組む子たちを見ていると、やはり最初のうちはこの「向きを変えた正方形・正三角形」をうまくかくことがなかなかできません。大人の方にもぜひやってみてほしいのですが、実際に正方形や正三角形を“少し傾けた位置”でかくことは、フリーハンドでは意外と難しいでしょう。そういった練習を積むことで、図形のセンスを鍛えてほしい、というのが今回の問題の狙いです。最初からうまくかけることはもちろん求めていません。うまくかけない場合は、例題の解説でも書いたように、パネルを用意して並べてみることも大事です。そうやって、図形をよく見て、そしてそれを再現する経験を、ぜひ増やしていってほしいと思います。


 いかがでしょうか。

そんなこんなで、先日無事にひとつ歳を重ねることができました。誕生日といえば、「誕生日特典」みたいなものをいろいろと満喫してみたいと思ったりもするのですが、例年、新年度のバタバタのなかですっかり忘れてしまいます。来年こそは、仕事に余裕を持たせて、誕生日を満喫したいところですね。「誕生月特典」はまだあるかもしれませんので、そちらは引き続き頑張って狙っていこうと思います。

それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

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