小田先生のさんすう力UP教室

あてはまるものを探してみよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、餃子スープにはまっている小田です。なんだかんだでオンライン授業も安定してやるようになってきたのですが、授業後の夜ご飯が最近の悩みです。オンライン授業は、家から、しかも遅い時間帯までできるので便利なのですが、終了後はすでに家にいるので「帰りに買ってくる」ことができません。買いに行くなら再度わざわざ家を出ないといけないのが面倒ですよね。遅い時間なので、がっつり食べるのも体に悪い気がします。そんなとき、手軽に作れて栄養もそこそこある餃子スープがとても便利なのですよ。問題は、素材をストックしておく冷凍庫が現状では狭い、というところでしょうか。冷凍庫を買い足すのがいいかもしれませんね。

 さて、今回はあてはまるものを探す問題です。ジャンル分けをすると「論理パズル」にはなると思いますが、落ち着いて問題文を読めばできる問題ですので、まずは気軽にチャレンジしてみてください。

 それでは早速行ってみましょう。

Stage15:あてはまるものを探してみよう

例題

たかしくんの家は、図の(ア)(イ)(ウ)のうちのどれかです。次のことがわかっているとき、たかしくんの家はどれでしょう。

  ・たかしくんの家のまわり(ななめも入れて8マスのうち)に大きな木がある。
  ・たかしくんの家のとなり(上下左右の4マスのうち)に池はない。

 

例題の答え

<例題の答え> (ウ)

冒頭にも書いた通り、問題文を落ち着いて読めば解ける問題です。問題の意味がわかっていないようなら、まずは一緒に音読してあげてください。「まわり」や「となり」の意味がわかっていないようでしたら、そこは補足してあげて構いません。お子さんが答えを選んだら、「まわりに大きな木はある?」「となりに池はない?」という感じで、2つの条件にそれぞれあてはまっているかどうかを一緒に確認してあげましょう。例えば、(ア)を選んだ場合、まわりに大きな木がないので、これはたかしくんの家ではありません。(イ)は大きな木はありますが、池もとなりにあるのでやはりこれも違います。(ウ)はまわりに大きな木があり、となりに池がないのでこれが正解です。

解いてみよう

Level 1

(1) ゆきこさんの家は、図の(ア)(イ)(ウ)のうちのどれかです。次のことがわかっているとき、ゆきこさんの家はどれでしょう。

  ・ゆきこさんの家のまわり(ななめも入れて8マスのうち)に神社はない。
  ・ゆきこさんの家のとなり(上下左右の4マスのうち)に大きな木がある。

(2) さとしくんの家は、図の(エ)(オ)(カ)のうちのどれかです。次のことがわかっているとき、さとしくんの家はどれでしょう。

  ・さとしくんの家から上下左右のいずれかにまっすぐ2マス動くと神社がある。
  ・さとしくんの家から上下左右の動きを組み合わせてちょうど3マス動くと池がある。

 (それぞれの動きについて、ななめの移動は入れてはいけません。)

Level 2

ゆうじくんの家と、りなさんの家は、それぞれ図の(キ)(ク)(ケ)(コ)のうちのどれかです。次のことがわかっているとき、ゆうじくん、りなさんの家はそれぞれどれでしょう。ただし、ゆうじくんの家とりなさんの家は、別の家であるものとします。

  ・ゆうじくんの家のまわり(ななめも入れて8マスのうち)に池はない。
  ・ゆうじくんの家のとなり(上下左右の4マスのうち)に神社がある。
  ・ゆうじくんの家から上下左右のいずれかにまっすぐ2マス動くと他の家がある。
  ・りなさんの家のとなり(上下左右の4マスのうち)に大きな木がある。
  ・りなさんの家の上下もしくは左右の同じ列に、他の家はない。
  ・りなさんの家から上下左右の動きを組み合わせてちょうど3マス動くと神社がある。

 (それぞれの動きについて、ななめの移動は入れてはいけません。)

 

Level 3

さえこさんの家と、りょうたくんの家は、それぞれ図の(サ)(シ)(ス)(セ)(ソ)のうちのどれかです。次のことがわかっているとき、さえこさん、りょうたくんの家はそれぞれどれでしょう。ただし、さえこさんの家と、りょうたくんの家は、別の家であるものとします。

  ・さえこさんの家から上下左右の動きを組み合わせてちょうど3マス動くとりょうたくんの家がある。
  ・さえこさんの家の上下もしくは左右の同じ列に、池はない。
  ・さえこさんの家のまわり(ななめも入れて8マスのうち)に大きな木がある。
  ・さえこさんの家のとなり(上下左右の4マスのうち)に神社がある。
  ・りょうたくんの家の上下もしくは左右の同じ列に、大きな木がある。

 (それぞれの動きについて、ななめの移動は入れてはいけません。)

解答

Level 1

(1) (イ) ※(ア)はまわりに神社がある。(ウ)はとなりに大きな木がない。
(2) (カ) ※(オ)はまっすぐ2マス進んでも神社はない。(エ)は3マス移動しても池がない。

Level 2

ゆうじくんの家:(ク)
※ (ケ)はまわりに池がある。(キ)(コ)はとなりに神社がない。(ケ)(コ)はまっすぐ2マス進んでも他の家がない。

りなさんの家:(ケ)
※ (キ)はとなりに大きな木がない。(キ)(ク)は同じ列に他の家がある。(コ)は3マス移動した先に神社がない。

Level 3

さえこさんの家:(シ)
※ (ス)は同じ列に池がある。(セ)はまわりに大きな木がない。(サ)(ソ)はとなりに神社がない。

りょうたくんの家:(ソ)
※ (ス)(セ)はさえこさんの家から3マス移動した先にない。(サ)は同じ列に大きな木がない。(シ)はさえこさんの家である。

さんすう力UPのポイント

ここ最近、教育関係者のあいだで「読解力」という単語が流行っているように思います。実は私も、少し前に教育関係の雑誌で「読解力」についてのインタビューを受けました。多くの子どもたちを見ていると、確かに読解力は大事だと感じます。実際、「問題文が読めないから解けない・わからない」という子どもたちをよく見かけますね。問題文の意味を説明してあげると、あとの算数的な部分については問題なくできる・わかることも多いので、「問題文を読む力さえあれば」という気持ちも十分わかります。しかし一方で、それではどうやってこの読解力を身につけていくのか、と考えていくと、それはそれで簡単なことではないことに気づきます。

ひとくちに「読解力」といっても、それを構成する要素は複雑です。書かれている文章を、書いた人の意図通りに意味を理解することができれば、それは「読解力がある」と言ってもよいでしょう。しかしそうではない、書いた人の意図通りに読み取れない場合、何が足りないかというのは様々なパターンがあるのです。

ひとつには、そもそも問題文を読んでいない、ということがあるでしょう。これは子どもに限った話ではありませんが、人はある程度の長さの文を読もうとしたとき、細部を少し飛ばしながら読んでしまうことが珍しくないです。特に、「てにをは」を読み飛ばして単語だけ拾って読んでいく、というのは、やってしまいがちな読み方です。物語文など、文脈がしっかりしているものであれば、そういった読み方をしても大筋をつかむことができるかもしれませんが、算数の問題でそういった読み方をしてしまうと、致命的な間違いを引き起こしてしまうことも珍しくありません。例えば、「ある数を10で割ると5になりました」と「ある数で10を割ると5になりました」では全く意味が違うのですが、「ある数、10、割る、5になりました」の部分は同じですね。前者ではある数は50、後者では2なので、文章を読み飛ばして違った方の意味にとってしまうと、その問題は間違えてしまいます。特に算数の問題では、数が主役になることも多く、単語から役割を類推するのが難しいです。これが「太郎くんがおにぎりを食べた」という文章であれば、「太郎くん、おにぎり、食べた」しか読まなくても、多くの場合そんなに問題はないでしょう。「太郎くんをおにぎりが食べた」と書かれていることは滅多にありませんからね。しかし、「6で3を割る」という文ならどうでしょうか。「6、3、割る」だけ読むと、「大きい数を小さい数で割るんだろうな」という意識になりませんか。この文は、実際には「3÷6」の意味なので、「6÷3」だと思い込むと、間違えてしまいます。その意味で、算数の問題文は、物語文などを読むときよりも「てにをは」まで気を配って丁寧に読む必要があるのです。

問題文を丁寧に読む、というのは、ある程度トレーニングが必要です。先にも書いたように、人はいわゆる「読書」では、「てにをは」まで一字一句確認しながら読んだりはしません。そんな細かいところまで気にして読んでしまうと、逆に文章全体の構造が見えにくくなる、というのもあります。その意味では、意味を類推できるところを類推しながら、ざっくりと全体に目を通していく、という読み方そのものが悪いというわけではないのです。大事なことは、その読み方とは別に、「丁寧に読む」読み方を身につけることです。そのために、そういった読み方をする経験を積むことです。今回の問題は、そういった機会をつくりたい、というところに狙いがあります。冒頭に「落ち着いて問題文を読めばできる」と書きましたが、これは「丁寧に問題文を読めばできる」という意味ですね。問題文を読んで、それに実際にあてはまるかどうかをそれぞれ確認する、という作業を繰り返していけば、正解にはたどり着くことができるでしょう。そして、間違えたものを選んだ場合も、それが間違いであることは問題文を確認すれば理解できるはずです。そうやって、問題文に書かれていることを丁寧に確認する練習をしていってほしい、というのが今回のテーマでした。


 いかがでしょうか。

 4月号でも最後に少し宣伝させていただきましたが、『東大脳さんすうドリル 論理・文章題編』を今年の3月に上梓いたしました。「読解力」や「考える力」というのはとても漠然とした単語だとは思うのですが、それらをいろいろと考えて、「問題文にあてはまるものを探す問題」などに落とし込んだものがこのドリルです。「問題を読みなさい!」や「考えなさい!」と直接言ってしまうのではなく、「問題文を読む機会」「考える機会」を増やしてあげていってほしいな、と思います。ということで、興味のある方はぜひよろしくお願いいたします。

 それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

まだZ会員ではない方

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