小田先生のさんすう力UP教室

規則性を探してみよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、年末は今年こそ大掃除をやろうと思っている小田です。引っ越してから1年以上が過ぎたというのに、未だに開かれていない段ボールが結構あります。世の中には、「1年以上使わないものは捨ててしまっていいものだ」という説があるようですが、まあ、そんなに簡単に捨てられるなら苦労はしませんよね。しかしパーティー用の大きなサイコロとかがあったりするんですが、何に使うのでしょうか。残しておいたら使い道とかあるんでしょうかね。悩みどころではありますが、悩んでいる間にいつの間にか日が暮れてしまいそうな気もします。
 さて、今回は規則性を探していく問題です。数字の列から規則性を見つけて、あいているところを埋める問題ですが、前回と同じく、自分なりに「規則性」を見つければOKです。気軽にチャレンジしてみてください。

 それでは早速行ってみましょう。

Stage22:規則性を探してみよう

例題

次のように、数がある決まりにしたがって並んでいます。あいている( )に数字を入れてください。

3,5,7,(  ),(  ),13

例題の答え

9,11 (2ずつ増える)

問題の意味は大丈夫でしょう。わかりづらいようなら、シンプルに「ここに入りそうな数は何?」と聞いてしまっても構いません。答えを出したら、「なぜその数だと思ったか」を聞いてみてあげてください。一応、「2ずつ増えている」という答えを想定はしていますが、それ以外でも、自分なりに考えているようなら正解で大丈夫です。先月もお伝えした通り、“大人”から見るとこじつけのように思えても、「自分なりに考えた」ということが大事ですので、ぜひ正解にしてあげてください。

解いてみよう

Level 1

それぞれ数がある決まりにしたがって並んでいます。あいている( )に数字を入れてください。

(1) 4,7,( ),( ),16,( )

(2) 14,12,10,( ),( ),( ),2


(3) 2,3,4,2,( ),( ),( ),3

 

Level 2

それぞれ数がある決まりにしたがって並んでいます。あいている( )に数字を入れてください。

(4) 1,2,4,( ),16,( ),64

(5) 3,4,6,9,( ),18,( ),31

(6) 2,3,5,8,9,( ),14,( ),17

 

Level 3

それぞれ数がある決まりにしたがって並んでいます。あいている( )に数字を入れてください。

(7) 2,3,6,11,( ),( ),38,51

(8) 1,1,2,3,5,8,13,( ),( ),55

 

解答

Level 1

※以下は,いずれも答えの例です。

(1) 10,13,19     3ずつ増える
(2) 8,6,4       2ずつ減る
(3) 3,4,2      「2,3,4」の繰り返し

 

Level 2

※以下は,いずれも答えの例です。

(4) 8,32      2倍になっている
(5) 13,24    増える数が1ずつ増える
(6) 11,15    増える数が「1,2,3」の繰り返し

 

Level 3

※以下は,いずれも答えの例です。

(7) 18,27     増える数が2ずつ増える
(8) 21,34     1つ前の数と2つ前の数を足したもの(1+1=2,1+2=3,2+3=5,3+5=8,…)

 

さんすう力UPのポイント

算数、そしてその後の数学の学習を進めていく中で、一度くらいは「なぜ算数・数学を学ぶのか」を考えた人も多いでしょう。個人的には、「全員が全員、算数・数学をできるようにならなければならない」とは考えていないので、「なぜ算数・数学を学ばなければいけないのか」と聞かれると、「やりたくなければ、別にやらなくてもいいのでは」と答えたりはします。しかし、そうではなく「算数・数学を学ぶことでどういうことができるようになるか」という話であれば、いくつかの答えは用意できるでしょう。そのうちのひとつは、「見えないものが見えるようになる」ということです。
算数・数学には、「感覚的にわからないものや、感覚的にとらえると間違いやすいものを、“計算”によって正確にとらえる」という側面があります。人間の知覚には限界がありますね。すでに起きてしまったこと、遠い場所で起きたこと、これから先に起こること。そういったことは、実際に目で見たり手で触れたりして調べることができません。しかしその中にも、“計算”によってある程度正確に把握することができることもあるのです。
ちょうど最近、宇宙旅行が話題になっていますが、宇宙開発なんてまさに「人間の手が届かないところ」ばかりですよね。今でも金星の周りを回っている探査機「あかつき」は、当初、金星の周回軌道に入ることに失敗し、宇宙をさまようことになりました。しかしその後、もう一度金星が近づいたタイミングで再投入に成功、無事金星の周りを周ることができるようになったのです。この再投入成功の要となったのは、やはり“計算”でしょう。金星がどう動くか、それまでに探査機がどう動くか、エンジンをどういうタイミングでどういう向きにどれくらいふかせば探査機がどう動くか、それは、実際に目でとらえることができません。しかし、だからといって、なんとなくで探査機を操作するのではなく、“計算”によって「どう操作すればいいか」の答えを導きだしたことが、再投入の成功につながったのです。もちろん、現実は“計算”通りに動くとは限りませんが、“計算”によって大幅に成功率を上げることができた、ということです。

「感覚的にどれくらいわかるか、どれくらい間違えないか」というのは、もちろん、個人差はあります。その意味では、算数・数学は「センスのない人が、センスのある人に対抗するための武器」でもあると言えるでしょう。近年、「統計」の重要性が主張されるようになりましたが、一方で「統計でわかることは、カンのいい人はすでに気づいていることでもある」という話もあります。天気予報もそうですね。人によっては、様々な“計算”を駆使した「天気予報」に頼らずとも、経験やカンによって天気を予測できたりもするようです。ただ、これも見方を変えれば、逆にそういった「経験を積んだ人」や「カンの鋭い人」にしか見えていなかったものを、“計算”でとらえることができている、と考えることもできます。
今回の問題は、「見えているところから見えていないところを考える楽しさ」を知ってほしい、という狙いがあります。もちろん、「見えているところ」からだけで「“正しい”規則性」を予測できるとは限りません。その意味で、今回も前回と同じく、「自分なりに規則性を考えているようなら正解」で構いません。“正しく”予想できるか、ということはあまり気にせず、予想することそのものを、ぜひ楽しんでください。


 いかがでしょうか。いよいよ今年も終わってしまいますね。昨年は、いろんなことが起きていつの間にか終わってしまった感じがありましたが、今年もやはり落ち着かない一年だったように感じます。元の生活に戻っていく部分もありましたが、一方で戻らない部分も確実にあり、それらをすり合わせてこれからの生活スタイルを模索した一年でした。ただ、その中でも新しく始められたこともあり、なんとか来年につなげることができそうだな、とも感じています。来年も頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください。

 それではまた来年!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

まだZ会員ではない方

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