小田先生のさんすう力UP教室

数字の構造をとらえよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、関節の可動域が広いらしい小田です。先日整体に行ったとき、「首、かなり凝ってましたけど、ほぐすと可動域は広いですね」と褒められ(?)ました。そういえば、高校時代、手首の可動域が広いことを、同級生の野球部員に羨ましがられたりした記憶もあります。ただ、関節が柔らかいと、姿勢を保持するためにより筋力が必要になるという話も聞いたりするので、素直に喜んでいいのかどうか、微妙なところですね。

 さて、今回は数字のパズルです。慣れないうちはなかなか上手くいかないことも多いですが、一方でやってみると意外とあっさり答えが見つかるときもあります。ひとまず気軽にチャレンジしてみてください。

 それでは早速行ってみましょう。

Stage31:数字の構造をとらえよう

例題

下の式で、数字と数字の間に「+」を入れて、正しい式にしてください。

 (たとえば、「1 3 4 5 6 9 = 100」だと、「1+3 4+5 6+9 = 100」とすれば、「1+34+56+9 = 100」となり、正しい式となります。)

2 4 7 1 5 = 100

例題の答え

2 4+7 1+5 = 100

 

まずは問題の意味を確認してあげましょう。「+を入れないところは、数字をつなげて読む」ことを伝えてあげてください。「2と4の間に+を入れず、4と7の間に+を入れたら、最初の数は24になる」「2と4の間にも4と7の間にも+を入れず、7と1の間に+を入れると、最初の数は247になる」という感じで、具体的に確認してあげるのがいいでしょう。問題文にはとくに書いてありませんが、「100の方に+を入れていいかどうか」を気にするようなら、「100の方には+は入れない」と伝えてあげて構いません(実際、100の方に+を入れても等式が成立することはありません)。また、「+」以外(「–」や「×」や「÷」や「( )」など)を使っているようでしたら、「+以外は使えない」ということを確認してあげるといいでしょう。

問題の意味が理解できているようでしたら、あとは温かく見守ってあげてください。手が動かないようなら、まずは適当にいくつか「+」を書いてみるよう伝えてあげましょう。そして、「これを計算したらいくらになる?」と聞いてみます。100になっていればそれで正解ですし、なっていなければ、「こうやって答えが100になるように上手く+を入れるんだよ」と伝えてあげてください。

お子さんが答えを出したら、一緒に実際に計算してあげます。100になっていれば正解ですし、なっていなければ「〇〇になっているね」と確認してあげてください。

解いてみよう

Level 1

下の式で、数字と数字の間に「+」を入れて、正しい式にしてください。

(1)6 2 1 3 7 = 100

(2)8 7 9 1 3 = 100

(3)4 2 9 3 1 = 100

 

Level 2

下の式で、数字と数字の間に「+」を入れて、正しい式にしてください。。

(4)4 6 5 7 2 4 = 100

(5)5 9 8 7 1 7 = 100

(6)8 2 9 5 6 7 = 100

 

Level 3

下の式で、数字と数字の間に「+」を入れて、正しい式にしてください。

(7)1 4 9 5 6 9 3 = 100

(8)4 2 6 6 3 5 2 = 100

 

解答

Level 1

(1)6 2+1+3 7 = 100

(2)8+7 9+1 3 = 100

(3)4+2+9 3+1 = 100

 

Level 2

(4)4+6 5+7+2 4 = 100

(5)5+9+8+7 1+7 = 100

(6)8+2 9+5 6+7 = 100

 

Level 3

(7)1 4+9+5+6 9+3 = 100

(8)4+2 6+6 3+5+2 = 100

 

さんすう力UPのポイント

低年齢の子どもたちの算数の学習の様子を見ていると、やはり「位取り記数法(十進法)」についての理解がひとつ学習を進めていく上でのハードルになっていることを実感します。よくよく考えてみると、10(じゅう)と1(いち)をあわせた「じゅういち」が、「11」と表記されるのは、確かに自然なことではありませんね。実際、「じゅういち」を「101」と書いたりする子もよくいますが、その感覚のほうがむしろ受け入れやすいもののような気がします。

私たちが普段使っている「数字」は、「位取り記数法」というシステムで表記されています。この表記法の最大の特徴のひとつは、やはり「数の書かれている場所(位)によって、表している大きさが違う」ということでしょう。たとえば「555(五百五十五)」と書かれたとき、一番左に書かれた「5」と一番右に書かれた「5」では、同じ「5」でありながら、表している大きさが違います。つまり、一番左(百の位)に書かれた「5」は「100が5つある」という意味であるのに対し、一番右(一の位)に書かれた「5」は「1が5つある」という意味になっています。大人になるといつの間にか慣れてしまい、あまり不自然には思わなくなるのかもしれませんが、よくよく考えてみるとある意味ではとても人工的なシステムですね。この「位取り記数法」の特殊性は、他の表記法と比べてみるとよくわかるでしょう。たとえば、ローマ数字では1を「I」、5を「V」、10を「X」で表します。そして基本的には、これらを並べることでその合計の数を表します。たとえば、「XXVI」は10×2+5+1で「26」を表すのです。「10が2つ、5が1つ、1が1つで26」というのは、直感的にもわかりやすいですよね。これと比べてみると、「555」と書かれていても「5が3つで15」“ではない”というのは、やはり少し特殊であるとわかります。その意味では、上でも書いたような「じゅういち」を「101」としたくなる感覚の方が、実は自然なものであるとも言えるかもしれません。

それではなぜ、そういった素朴な感覚に反して、現在のような「数字」が一般的に使われるようになったのでしょうか。それはもちろん、様々なメリットがあるからです。ひとつは、少ない種類の記号で無限の数を表すことができる、ということでしょう。先ほどあげたローマ数字の場合、50は「L」、100は「C」というように、大きな数を表すには、それに対応した文字を新しく割り当てていかなければなりません。そうすると、そのうち使える文字がなくなってしまいそうですよね。しかし、位取りによって表す数の大きさを変えることができれば、使う記号の種類を増やさなくても(0から9までの10種類だけでも)、左に数字を書き足していくだけで、どんな大きな数でも表すことができるようになります。もう1つのメリットは、計算がやりやすくなることでしょう。位ごとに大きさを表すことによって、筆算のような機械的な計算方法が可能になったのです。

位取りによって数を表す方法は、便利なシステムではあるのですが、それを使いこなすためにはある程度の練習と慣れが必要です。その習熟していく過程こそが、ある意味では“算数の勉強”ですね。今回の問題も、その位取り記数法に慣れるための練習です。「+」を挟む位置によって、同じ「5」が「十の位の5」になったり「一の位の5」になったりする不思議さを、楽しみながら感じ取ってほしいと思います。


 いかがでしょうか。

最近は体にいい習慣をなるべく身につけていきたいと思っているところではあるのですが、新しく何かを習慣づけするのは、なかなか難しいですよね。ひとまずは、寝る前に足腰のストレッチはするようにしたいな、とは考えているのですが、意外と続きません。布団に入ってから寝るまでの時間に何かしようとするのがそもそもの間違いのような気もしてきました。貴重な時間ですからね。うまくストレッチを生活リズムの中に取り入れられるよう、もう少し考えてみたいと思います。

 それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

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