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CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 


●大学生活について




文教大学教育学部には学校教育課程と心理教育課程がありますが、どういう違いがありますか?


先生
学校教育課程には9つの専修、心理教育課程には2コースがあります。基本的に小学校・中学校・高校の教員を目指す学生は学校教育課程、幼稚園・小学校の教員や保育士を目指す学生は心理教育課程で学びます。どちらにおいても教育者としての専門性を磨くことができる、充実したカリキュラムを用意しています。

学校教育課程の特徴を教えてください。


先生
大きな特徴が二つあります。ひとつは「小学校・中学校・高校の教員免許を取得できること」です。本学では小学校教員の育成を中心としたカリキュラム編成を行っていますが、専修制を採用することで中学校・高校の教員育成にも努めています。国語、社会、数学、理科、音楽、美術、体育、家庭、特別支援の9分野の専修に分かれ、それぞれの専修において高度な専門知識を習得します。先ほど2人が「社会専修」と言ったのはこのことです。そして私は「社会専修」の担当教員です。もうひとつは、「全員が小学校・中学校の教員免許を取得する」ことが本学の大きな特徴です。他大学の教育学部では、教員免許を取得しなくても卒業できるところがあると思いますが、本学では教員免許取得が卒業要件ですので、卒業する学生は必ず免許を取得しなければいけません。教員になるかどうかは、もちろん学生たちの自由ですが。

皆さんが文教大学教育学部を受験した理由を教えてください。


大学生
私の目標は高校の教員になることで、文教大学の教育学部は小学校・中学校・高校のすべての教員免許が取得できますので、最適な環境でした。小学校や中学校の指導方法なども総合的に学び、教員として必要な基礎知識をより多く身につけた上で高校教員になりたいと思いました。


先生
ちなみに佐藤さんは、埼玉県立高校教員採用試験(地・歴)に現役で合格しました。

卒業生
それはすごいですね。私はオープンキャンパスで「少人数制」であることを知り、魅力を感じました。また、高校の先生からも「文教大学の教育学部は伝統もあり、教員育成に力を入れている」と薦められました。

先生
今年は中学校教員に現役で合格した学生もいます。私が文教大学に着任して4年になりますが、これまでにゼミの卒業生3人が中学校教員に採用されています。

同期入学の人たちの理由もやはり教員になりたいからですか?


卒業生
教育学部に入学する人たちは、ほぼ全員、入学時は教員を志していると思いますね。

大学生
私の周りもみんなそうでした。

先生
本学を受験する学生は教員免許取得が卒業要件であることを知っていますから、少なくとも入学時はほぼ全員が教員志望ですね。

実際に入学してみた感想はいかがでしたか?


大学生
大学はみんなバラバラに授業を履修して、クラスと呼べるものがないというイメージでしたが、教育学部はクラス制なので、よい意味で高校の延長のような感じでした。授業が多くて大変ですが、励まし合えるクラスメートがいるのは楽しかったし、心強かったですね。

卒業生
私も同感です。クラス単位での活動が続きますので、いつも馴染みの仲間と勉強し、また議論の続きもできたりして、勉強しやすい環境でした。キャンパス自体も広すぎず狭すぎずで、校内で知り合いや先輩と合う機会も多く、アットホームな大学という印象もありましたね。

先生
教育学部では授業を自分でデザインする必要はそれほどないといいますか、教員養成カリキュラムをクラス単位で履修するという形になります。

学びたいことの選択の余地が皆無というわけではないのですよね?


先生
もちろんです。社会専修だからといって、他専修の教科を学べないということはありません。例えば、他教科の教員免許を取得できる制度があります。申請すれば誰でも取得できるというわけではなく、選抜試験に合格する必要がありますが、選抜試験に合格し、その後他専修の科目単位を一定数取得することができれば、卒業時に、小学校と中学校(社会)・高校(地・歴)の教員免許に加えて、他教科の中学校・高校の教員免許を取得することができます。

お二人が「社会専修」を選択し、平先生のゼミを選んだ理由を教えてください。


大学生
私は高校時代から世界史に興味があり、卒業後は高校教員を目指していましたので「社会専修」を選択しました。先生のゼミを選んだ理由は、中国史研究をやりたいと思ったことと、先生の授業をいくつか受講し、ぜひ先生に教わりたいと思っていたからです。

卒業生
高校時代は日本史を専門にしようと考えていましたので「社会専修」を選択しました。ですが、大学で平先生の授業を受けているうちに世界史が面白くなり、先生のゼミを選びました。世界史を先生の理論で説明しているところが面白かったですね。あとは、先生の楽しい人柄です(笑)。

先生
社会専修には外国史のほかに日本史、地理、社会科教育のゼミがあり、3年次から全員がゼミに所属します。日本史ゼミは人気が高いので2つありますが、外国史は私のゼミだけですので、世界史をやりたい学生は私の研究室のドアをノックするしかないわけです(笑)。幸運にも、ここ数年卒業論文に対する学生の意識は高まってきて、卒業論文を書くために海外調査にでかけていく学生が増えています。例えば、イタリアのポンペイ遺跡を取り上げた学生、ドイツのケルン大聖堂をテーマにした学生、ルーブル美術館の公教育に注目した学生、そしてハンガリーの小学校でジプシー教育を対象とした学生など、各人が現地に赴いて調査を実施しました。来年度に卒業論文を提出する予定の学生も、イタリア、ドイツ、イギリス、アイルランド、オランダなど、それぞれに現地調査の予定を立てているようです。10年後の教師像を考えてみると、こういうリサーチ活動は必ず貴重な経験になると思いますね。中川さんも、卒業論文・修士論文ともにラオスでフィールドワークを行っていますよ。

卒業生
私の場合、ラオスは発展途上国で経済発展が遅れていると一般的には言われていますが、本当にそうなのだろうか、ということがテーマでした。日本も国際協力という形で援助を行っていますが、それは先進国側から見た援助で、本当にラオスのためになっているのかどうかを調べました。

お二人が好きだった授業や役立ったカリキュラムなどを教えてください。


大学生
1年次に履修した「世界史概説」「国際関係史」です。これらの授業を受けた時に、「大学の授業ってこういう感じなのだ」と、高校での学びとは違うという印象を持ちました。

先生
1年次の春学期に「世界史概説」、秋学期に「国際関係史」を履修します。「世界史概説」では、高校で学んだ知識を確認することからはじめて、さらに専門的な研究書を読むことで歴史家の問題意識・分析手法・史料の違いによって、教科書で学んだ歴史とは異なる歴史が浮かび上がることを学びます。「国際関係史」では、世界史概説の実践編として、ある共通したテーマについてグループ単位で調べて報告します。報告にあたっては、文献検索、報告資料の作成、パワーポイントなどの視覚機器の操作について随時指導します。

卒業生
私は入学後に国際的な活躍の場に興味を持ち始めたので、4年次に履修した「国際理解教育」という授業が面白かったです。この授業では世界の貧困が生まれていく背景を考察し、それを先進国の子どもに認識させる手段として、ゲームを取り入れることも含めて考えます。自分の興味とも合致していましたし、深く学ぶことができました。

現在の教員業務にも生きている授業ですか?


卒業生
はい。物事を多角的にみるということを子どもに教えるために、そのゲームを取り入れたりしていますので、実践的に役立っています。「国際理解教育」というのは、指導要項的には「道徳」の一分野になりますが、ゲームのことまでは要項には出ていないので、授業を受けて良かったと感じています。ゲームという手法は、特に児童同士の初対面の緊張をほぐす、アイスブレーキング効果もあります。

ほかに教育学部の特徴的なカリキュラムはありますか?


先生
本学ならではのプログラムとして、「先生の助手プログラム」があります。希望者が2年次に1週間、埼玉近郊の小学校で先生のアシスタントを行うというもので、早い段階から学校現場を体験できます。2年次で学校現場を体験できるのは大変有意義なことです。というのも、教員になろうと思って教育学部に入学するわけですが、本当に教員という職種が自分に合っているのかどうかのマッチングを図る機会というのは、4年次の教育実習までありません。そこで2年次に学校現場を実際に体験することは、教員になりたいかどうかという意志を再確認できる貴重な機会となるわけです。

大学生
私は「先生の助手プログラム」に参加してとても役立ちました。授業中に生徒が掲示物を作るのを手伝ったり、校庭の掃除など、先生の仕事のお手伝いをしました。参加を希望した理由は、やはり「現場体験をしてみたかった」からです。私は6年生のクラスに派遣されました。

先生が授業で工夫されていることはありますか?


先生
2年次の「基礎演習U」では、「ビブリオバトル」を取り入れています。ビブリオバトルというのは、本の面白さを5分間でアピールする知的書評ゲームで、「誰が紹介した本を読みたいか」を全員の投票で決定し、チャンピオンを決めます。これは学生が教員になった際に、子どもの興味や関心、モチベーションをどう授業に向けさせるか、その手法を習得することにもつながります。また、学生自身にとってもプレゼンテーション能力を向上させる良い機会となります。本を紹介する時に内容紹介だけでは誰も面白いと思ってくれません。自分の考えをいかにして他人に正確に伝えるかという技術に自分なりの創造性を加えることで、プレゼンテーション能力が向上します。現在では、越谷キャンパス3学部の合同イベント「ビブリオバトルin文教」も開催されています。

大学で行うイベントなどで楽しかったものはありますか?


先生
社会専修には「バスハイク」という伝統的なイベントがあります。

卒業生
1年生の歓迎会と4年生のお別れ会を兼ねたイベントで、2年生が幹事になってレクリエーション内容を考えるなど、入念な準備を行います。ゼミ仲間の結束力がとても強くなりますね。

大学生
文教大学の八ヶ岳宿舎に1泊ででかけますが、到着するまでの車中や宿舎でいろいろなレクリエーションが行われ、大変盛り上がります。2013年はバス3台で行きました。

先生
これは30年以上社会専修で続いている伝統的なイベントで、全学年で八ヶ岳にある大学の厚生施設にでかけます。ただし、教員は一緒に行けないのです、伝統的に(笑)。2年生が一生懸命に準備をしますので帰りのバスの中ではやり遂げた達成感で感極まって泣くのも伝統のようです。

卒業生
レクリエーションは何をするのかをみんなで一生懸命になって考えるので、終わった時は本当に達成感を味わえます。

 

 

●就職活動、仕事について




中川さんが大学院へ進学された理由は何ですか?


卒業生
大学の卒業論文で国際協力について書いたわけですが、国際協力の中でも教育協力分野、学校に対する援助などをもっと学びたくなりました。また、ラオスでの現地調査も深めたかったので大学院へ進学しました。


現在勤務している日本人学校を志望した理由をおしえてください。


卒業生
修士課程を終えても、まだまだ研究したいという気持ちがありました。そこで、東南アジアで教員として就職し、生活しながら現地の人たちのことを学べることができればと考え、日本人学校の教員の道を選びました。

日本人学校教員という就職先はどのように見つけるのですか?


卒業生
中学校の恩師がタイの日本人学校教員の経験者だったので相談したところ、公益財団法人「海外子女教育振興財団」という組織を教えていただきました。そこに応募して試験を受け、試験に合格すると派遣されるのですが、必ずしも希望する国の学校に行けるとは限りません。私は東南アジアを希望し、運よくタイに決まりました。

海外での教員生活ですが、日本で教員をするのとは違いますか?


卒業生
環境はもちろん違いますが、生徒は日本人の児童ですし、教員としては特に変わることはないと思います。

佐藤さんは卒業後、県立高校で地理・歴史を教えるとのことですが、高校の先生を選んだ理由は何ですか?


大学生
高校の時、大学では「社会科目を勉強したい」と思っていましたが、それをどう就職で生かせるのかを考えていた時期がありました。当時の担任は国語の先生でしたが、相談したところ親身になってくださり、「先生という道がある」と教えてくださいました。その時、私も学生に対して親身になれる先生になりたいと思うようになりました。加えて、自分が好きな社会科目の学びを仕事で生かせることも魅力でした。

教員以外の就職先としてはどのようなものがありますか?


先生
公務員や一般企業に就職する学生もいます。将来は自分で塾を運営したいと学習塾に就職した学生もいました。また中川さんのように大学院へ進む学生もいます。ほかにも私のゼミの卒業生には、東京外国語大学の大学院へ進学し、現在はパキスタンの大学に留学して研究をしている学生もいます。

教員向けカリキュラムですと、一般企業への就職活動はしにくいですか?


先生
4年生にとっては就職活動の時期が教育実習の時期と重なりますので、少なからぬハンディキャップがあると思います。

大学生
就活時期は教育実習だけでなく授業も本当に忙しかったですね。

先生
そうだよね、本学では5月中旬から6月中旬が小学校実習時期にあたりますから、こうした環境の中での就職活動は大変ですよね、経験者の中川さん。

卒業生
はい(笑)。私は、一般企業への就職も考えていました。もちろん最終的には教員になりたかったのですが、教員になる前に、一度社会人を経験した方が良いのではないかと思ったのです。旅行業界や教育業界などを中心に就職活動をしてみましたが、やはりラオス研究の思いの方が強かったので、大学院入学のための勉強にシフトしました。

中川さんのお仕事のやりがいは何ですか?


卒業生
小さい小学校ですが、現地スタッフさんと協力して交流会を行ったり、新人の私の意見もどんどん聞き入れてもらえるところが面白さというか、やりがいですね。仕事は忙しいですが、子どもがかわいいので、頑張るモチベーションになっています。

 

 


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