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CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 


●大学生活について




入学のきっかけを教えてください。


卒業生
私は高校2年生の時に、いろいろな大学を見て回りました。ただ、当時はまだ自分自身が具体的に何に興味があるのかあまりわかっておらず、将来は報道機関で働いてみたいなという漠然とした興味がある程度でした。ですので、町村先生がおっしゃったように学部間の壁が低く、社会学部にいても法学や商学など他学部の授業を自由に履修できるというところにまず惹かれました。また、3年生からゼミが始まるので、1・2年の時に幅広く勉強しながら、自分の興味を考えて進路を選べるのではないかと思い、この学部を選びました。

大学生
私は福岡県の公立高校出身ですが、高校2年生の夏休みに東京にあるさまざまな大学を見て回る研修に参加しました。1日目、2日目と都内の私立大学などを見て、最終日に一橋大学を訪れました。その時に本館から兼松講堂を見て、「すごくきれいだな」と感じました。ここで勉強したいと強く思い、偏差値も何も考えずにここに入ろうと決めました。


卒業生
私も末松さんと同じで、一橋大学に来た時に「ここだ」と直感的に思いました。もともと一橋大学はいいなと思っていましたが、文化祭などで実際に見て回り、明確な第一志望になりました。

実際に入学してみてどうでしたか?


卒業生
思っていた以上に、いい意味で雑多な大学だなという印象でした(笑)。私は進学校の出身で、受験勉強に力を入れ、いい大学に入るためにどうすればいいかという会話を周囲とするような環境で過ごしました。しかし、大学に入ると、さまざまなバックグラウンドを持つ人がいて、その中で自分が今まで目指していた「いい大学に入る」ということが絶対の価値観ではないということに、初めて気づかされました。そこで、自分の価値観がどのように形成されてきたのかということも考えるようになりましたし、人の考え方や行動にとても興味を持つようになりました。本当にいろいろな人がいて、おもしろい大学だなと思いました。

大学生
私は正直に言うと、大学1年生の時は自分から動かないと何も得られない大学の授業スタイルにとても戸惑いました。今まで短期的に結果を追い求めてここまできた私にとっては、どこに立っているかわからない不安な状態でした。
2年生になると大学での学びは割り切れない側面があるという、言われてみれば当たり前のことに気づきました。だからこそ、いろいろなものを扱えて、その中で自分なりの答えを追究できる、そういう研究室に入ろうと思いました。

一橋大学には他大学との単位互換制度もあるそうですね。


先生
はい。一橋大学は、東京工業大学、東京医科歯科大学、東京外国語大学と「四大学連合」を結成し、単位互換制度を設けています。末松さんは、その制度を利用して東京工業大学の講義も受けていました。

大学生
はい。生活空間研究コースの講義を受けに行っていました。大学2年生の時は、週の半分くらいを東京工業大学で過ごしました。

そこで見えてきた、一橋大学の良さはありますか?


大学生
他大学の授業も受けてみて、一橋大学社会学部には、正解のないものに向かって一生懸命学んでいく学びのスタイルがあることを改めて感じました。一つの答えがないからこそ、その分手間もかかりますが、試行錯誤しながら自分のオリジナルの答えをつくり出せる点は魅力だと思います。

大学での学びは、今のお仕事にどのように生かされていますか?


卒業生
先ほども言ったように、私は大学に入って、自分の価値観も単なるひとつの価値観に過ぎないということ、本当に人間とはいろいろなことを考えているのだなということに気づきました。今は、会社の労働制度や給与形態、福利などの企画を担当していますが、この制度はある人にとっては良くても、ある人にとってはデメリットにしかなりません。ですから、なるべく多くの社員がメリットを受けられるように、魅力ある会社の制度をどのようにつくるかということを考えながら仕事に取り組んでいます。そうした思考回路や発想の仕方は、大学時代に学ぶことができました。

印象的な授業は何でしょうか?


大学生
ゼミ関係のことはどれも印象深いですね。初めて今のゼミのメンバーと顔合わせをした日は、とても記憶に残っています。大学1年生の時は、誰もが知らない人で新たな出会いに溢れています。しかしだんだん時間が経つと、みんなが見知った顔になって、新しい友だちはできにくくなります。その中で3年生の初めに、久しぶりにたくさん「はじめまして」と挨拶をする機会があり、これから深いつながりを持つメンバーになるのだなあと、感慨深くなりました。

ゼミ生同士は濃いつながりになっていくものですか?


卒業生
はい。通常ゼミナール活動は、週に1回1時間半という枠ですが、町村先生のゼミは、3年生の時は週2回行われます。その分ゼミ生と顔を合わせる機会が多くなりますし、3年生の9月頃に行われる合宿を通してさらに絆が深まりますね。就職活動や卒業論文は、もちろん一人でやらないといけないことですが、そこでも他のゼミ生に話を聞いてもらったり、お互いにアドバイスをし合うことで、非常に深いつながりができました。私は大学を卒業して4年目になりますが、今でも月に1回くらいは当時のゼミ仲間に会っていますね。


先生
それは本当に仲が良い証拠ですね(笑)。
テーマを決めてみんなで調査に行くことを考えると、週1回ではやりきれないという理由で週2回にしたのですが、いつのまにかやめられなくなったのです(笑)。もちろん授業をしていて楽しいということもありますが、学生のみんなにとっては、単位にならない時間を拘束することになるので、申し訳ないとも思っています。

大学生
いいえ、4年生になって週1回になったらさみしかったですよ。

卒業生
そうですね。ゼミの回数が減り、教育実習や就職活動で、3週間に1回くらいしかゼミに出席できない時もあったので、3年生の頃は学ぶ機会に非常に恵まれていたなと思いました。

 

 

●就職活動、仕事について




卒業生の進路を教えてください。


卒業生
民間への就職がほとんどだと思います。ただ、業界はバラバラですね。マスコミもいれば、私のようにメーカーに勤める人もいます。


先生
バラバラというのが、社会学部のひとつの特徴かもしれません。商学部や経済学部なら金融という方向になるのでしょうが、社会学部の場合は、あらゆる領域に進んでいます。強いて言うなら、他学部と比べると新聞、放送、出版などのマスコミ関係が多い点が特徴です。また、僕たちのゼミの特徴としては、いわゆるインフラ系が目立っています。都市について研究していますから、JRなどの交通や建設・不動産関連が、ゼミとしては多い進路だと思います。
例えば、JRに就職した卒業生の例では、新幹線の運転士を務めた後、本社の労務に配属された人がおり、今度はさらに労務の専門知識を深めるためにアメリカへの留学を予定しているそうです。また、JRでは物販関係の業務もありますから、エキナカ店舗の企画運営に携わっている人もいます。

マスコミではどういうところに進まれるのでしょうか?


先生
新聞社では朝日、読売、毎日などのほか、地元の地方紙に就職する人も多いです。放送では民放よりNHKが多いですね。職種としては、記者職に就く人と番組制作のディレクターになる人に分かれます。例えば、ある情報番組のディレクターを務め、食べ物コーナーを担当している卒業生がいます。彼の場合は、当初は番組制作ではなくて管理部門だったのですが、東北の支局で番組制作も担当したことをきっかけにディレクターになったようです。

一色さんなぜ今の仕事に就いたのですか?


卒業生
もともとインフラに興味があり多くの人に関わる社会性の高い仕事がしたいということ、そして、グローバルに働きたいという理由で入社しました。これは会社に入ってからも変わることはなく、次は海外赴任をしたいと希望しています。当社は幅広い国でグローバルに活動していますが、海外のグループ会社では、親会社とは違う制度や運用がなされています。日本の場合はどうなっているのかということをしっかり勉強してから、海外業務に挑戦したいと思っています。

仕事のやりがいは何ですか?


卒業生
社員一人一人の生活に非常にダイレクトに関わる業務であるところです。社員の生活を守るために、一方では会社として発展していくために、うまくバランスをとった制度を作り出さなければならないというところにやりがいを感じます。
当社は株式会社ですから、利益を出していかないといけないというのが大前提としてありますが、そのなかで社員が高いモチベーションを保つためには、企業経営にバランス感覚が求められると思っています。そういうところに社会学的な発想が生かせるといいですね。

 

 


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