●5年後に向けて
これから5年先、何をやっていると思いますか?将来の夢や目標について教えてください。
■大学生
4月から社会人ですので、とにかく勉強勉強の毎日になると思います。この業界は、金融、保険関連の資格をたくさん取ることが必要なんです。大学時代に培った学びの姿勢を活かしていきたいですが、おそらく最初の5年間というと、目の前の課題をどんどんこなしていくことになると思いますね。
■卒業生
4月から1年生の担任を持つ予定です。5年後といえば、今まで教えた生徒を卒業生として送り出した後の時期です。卒業していった生徒たちに、「先生、こんな仕事についたよ!」「食事に行こうよ!」と、声をかけてもらえたら嬉しいです。私が体験していない分野の職に就く教え子から、仕事の話を聞けることが楽しみで教員になった、ということも実はあるんです。ですから、これから卒業生の近況をたくさん聞けることを想像すると、いまからワクワクします。きっと私は、これから先間違うこともたくさんあると思います。しかし、プレッシャーを感じるというより、生徒の成長を楽しみにしながら、これからも仕事に取り組んでいきたいです。
先生の研究に関するビジョンを教えてください。
■先生
さきほどお話した、私の第3の研究分野である「ビジネス言語学」。これは全く新しい分野ですし、学部生、院生も興味を持つ人は多いテーマですが、研究方法が確立されていないというのが実態です。ですから、学問体系を確立していくのが目下一番の関心事です。これから5年かけて充実させていきたいと考えています。
研究はどのように社会に還元されていくのでしょうか?
■先生
古い、優雅な文学世界のみを勉強している学生も、もちろんしっかりと研究に打ち込めば成果がついてまわり、就職にも生かせるでしょう。しかし、古典の世界だけを知っていて本当にそれでいいんだろうかと感じる学生も少なからずいると思います。
そういう意味では、「ビジネス言語学」という実学を学ぶことは、仕事に関わる実用的な言語表現の研究でもありますので、学生に安心感を与えるという効果があります。もちろん海外からの留学生にとっては、母国の経済の発展に寄与するという面もあると思いますし、日本語教育は、グローバル化の時代にあって国際交流のためにも大事な分野と思っています。
ビジネス感覚、マーケティング感覚を持って研究の軸足を変えてこられたのですね。
■先生
先日、ある理系の先生の本を読んだんですが、理系の分野では5年でテーマを変えるのが普通だと知り、ああ、これでいいんだと思いました(笑)。
私も教員になった最初の頃は、江戸時代のことだけやっていたい、なるべく古い世界に関わっていたいと思っていました。確かに、国語教育全盛、教員養成全盛の時代はそれでもよかったんだと思います。
ところが、少子化のなかで、教職志望でない学生がどう日本文学科で学び、楽しい人生を送ることができるのかと考えていくと、より実学的なものを教えたいという思いに至り、だんだん自分の軸足が動いてきました。
ただ、振り返ってみると、私の研究は江戸時代の「武士の言葉」から始まり、近代の日本語教育の言葉、現代のビジネスの言葉と移ってきましたが、ビジネスの言葉はまさに「商人の言葉」の訳で、いわばぐるっと一回りして元に戻る、なにかつながったような感覚があります。変化しても、根幹はつながっているのかなと思います。
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