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CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 


●大学生活について




明治大学農学部農芸化学科の学びについて教えてください。


先生
農芸化学科では、主に生物と化学の知識を使い、生活に関わりの深い食品や環境分野での問題点の解決策を考えます。美味しくて健康に良い食品とはどういうものか、微生物を使うことで環境に優しい技術が生み出せるのかなど、とても実学的な学びと実践を行う学科です。バイオサイエンス、バイオテクノロジーと言ったキーワードとも深く関わる学問分野になります。

お二人が「明治大学農学部農芸化学科」を選んだ理由を教えてください。


大学生
僕は高3の夏から冬にかけて志望大学を決めましたが、当時は、「微生物を使った環境浄化」を学びたいと思っていました。そうした分野が学べる学部を調べたところ、明治の農学部はレベルも高いと知り、チャレンジしてみようと考えました。


卒業生
今は分析を仕事にしていますが、アレルギー体質だったということもあって、高校時代から関心があったのは、「食から人を健康にする」というテーマでした。農学部農芸化学科は、まさにそうしたことが学べる学部学科であったことが選んだ理由の一つです。
もう一つの理由は、明治大学の農学部では、複数のテーマを専門的に学ぶことができるのも魅力に感じられました。

入学した印象・感想はいかがでしたか?


大学生
明治というネームバリューのためか、全国各地からいろいろな考え方を持った学生が集まっているという印象をまず受けました。異なった価値観を持つ人たちと一緒に学ぶのはとても楽しいですね。
また、向後さんもおっしゃっていますが、この学部では、微生物、食品、栄養、植物など、いろいろなことが学べます。そのおかげで視野が広がり、僕も微生物から食品へと自分の関心が移りました。多くを学べることの楽しさやメリットも実感できましたね。

卒業生
そうですね。選べる授業分野の幅広さには、私も入ってみて改めて驚きました。
また、私は東京出身で、高校時代には他府県の友人はいませんでした。ですから、大学でできた友人を通して、日本の様々な地方を知ることができたことも貴重な経験になっています。

明治大学農学部農芸化学科の特徴的な授業やカリキュラムを教えてください。


先生
カリキュラムの特徴の一つは、実験を重要視し、1年次の基礎実験から始まる実験の授業時間を多く取っていることです。そして授業では1・2年次は全員で同じ内容の基礎固めを行い、3年次以降は、食品分野・生物機能分野・環境分野の幅広い学問分野の中から各学生の興味に合ったものを選び、卒業研究に向けて専門性を深めていきます。

お二人が好きだった授業や役立ったカリキュラム、制度などを教えてください。


大学生
心理学や法学、運動学などの一般教養科目群がけっこう好きで、楽しみながら履修していました。日常や生活に役立つ知識が多く学べましたね。
専門分野では、やはり生活に生かせる「栄養学」が好きでした。

卒業生
印象に残っている授業の一つは「食品化学実験」です。この授業では、食品を題材にしたいろいろな実験を行います。牛乳やジュース等、身近なものを多く扱ったので、楽しかったですね。
もう一つは、「細胞生物学」という授業です。最初は難しい授業だなと思いましたが、人間の身体を構成する一つひとつの細胞が緻密に制御されていることを学び、勉強を進めていく中でとても興味深く感じるようになりました。

今のお仕事に役立っている授業はありますか?


卒業生
仕事では微生物を扱っていますので、履修した「微生物学」が役立っています。また食品の機能性研究を通して、構成成分の人体への機能について基礎知識がありますので、仕事で化粧品を扱う際など、いろいろな面で役立っています。

研究施設など学びの環境で何か特徴はありますか?


先生
農学部全体の施設になりますが、まず、生田キャンパスの近くに「黒川農場」という、先端技術を駆使した生産効率性の高い栽培システムと、環境保全型システムを併せ持った農場施設があります。キャンパスから近いため、年間を通じた実習が可能で、1年次には農場実習を体験します。
次に「ハイテク・リサーチセンター」ですね。ここには、例えば高性能質量分析装置、DNAシークエンサー、走査型電子顕微鏡などなど、最先端の研究機器が集まっています。
私自身、研究者という立場から目から見ても、フィールドからテクノロジーまで、明治大学農学部の研究環境はとても恵まれていると思っています。

卒業生
本当にそうですね。研究者として「やりたい」と思う実験は、ほぼ何でもできる環境だったと思います。

大学生
僕は研究活動において、実験後の結果を精査するためによく図書館を活用しました。生田キャンパスの図書館はとても大きく、様々なジャンルの本があります。学術論文や専門書が豊富にあるので、参考文献を探すのにも困りませんでしたね。

卒業生
また、幅広い分野において、専門的な先生方がいらっしゃるのも、学生にとっては大きなメリットですね。ゼミの担当教員だけでなく、相談をすればどの先生も丁寧に指導をしてくれる環境もありがたかったです。

印象に残っている学内行事やイベントなどはありますか?


大学生
僕は毎年恒例になっている「ゼミ対抗バレーボール大会」ですね。今年は残念ながら雨で中止になってしまいましたが。大会終了後は飲み会が待っているので、そこでみんな大はしゃぎですね(笑)。

先生
ゼミは全部で18ありますので、盛り上がりますね。

卒業生
私もほぼ毎年参加していましたね(笑)。スポーツは好きなので、プレーヤーとしても頑張りました。

先生
でも、うちのゼミはそれほど勝たないよね(笑)。

卒業生
女子学生がわりと多いゼミなので(笑)。

先生
食品をテーマにしたゼミですので、女性に魅力的なのか、男女比は半々か女子学生が多いかなという感じです。

先生のゼミでの学びの内容を教えてください。


先生
「食品生化学ゼミ」では、私の研究内容とほぼ同じで、食品の成分が体内でどのように機能をするのかを分子レベルで調べます。
ゼミ生たちは主に、ビタミンかタンパク質をテーマにした機能研究を行います。
本学科には18のゼミがありまして、食品系分野では、健康に良い食品を研究するゼミ、においに関することを研究するゼミ、歯触りや食感を研究するゼミ、微生物を使った腸内環境改善を研究するゼミなど、幅広いテーマからゼミを選択できます。

先生がゼミにおいて工夫されていることは何かありますか?


先生
学生の研究意欲をできるだけ高めるようにしていますね。例えば、企業との共同研究などの場合にも、学生たちに実験やディスカッションに参加してもらいます。また、結果が出たらそれを報告してもらうなど、実践的な学びができるようにしています。

 

 

●就職活動、仕事について




向後さんは食品分析センターで技術職に就かれていますが、分析はどのように行っていますか?


卒業生
お客様の希望に合わせて、サンプル中の微生物を定性的、または定量的に調べます。大まかな流れとしては、化粧品や化粧品原料などのサンプルを培地に混ぜて培養し、微生物の繁殖状況を基本的には目視や匂いで確認します。
化粧品は食品と違い、微生物の生育を抑制する「防腐剤」が含まれています。正しい結果を出すために防腐剤の効果を抑制するような分析を行っています。


お仕事の大変な部分や、やりがいを教えてください。


卒業生
大変なのは、業務内容が多岐に渡る点です。微生物試験と一口にいっても、お客様のニーズによって、分析する内容が異なるのです。
また、お客様とのコミュニケーションにおいて、微生物に関する様々な知識が必要なってきます。私の場合、入社して間もないことと、微生物を専門にしていなかったこともあり、苦労する部分もあります。現在は微生物実験技術の習得だけでなく、コミュニケーション力の向上も含めて日々勉強しているところです。
一方で、分析業務を通して、商品・商材の安全性や信頼性の評価・確保に貢献できるという点が、大きなやりがいになっています。

職場の同期の方々はどういう学部学科の出身者が多いですか?


卒業生
同期では、微生物など生物系やバイオサイエンス系、薬物系か、私のように生化学系の学部卒・大学院卒が中心です。会社全体でも理系出身の方が大半を占めていると思います。

大学の同期の方はどういう方面に就職されましたか?


卒業生
食品メーカーが多かったですが、システムエンジニアになった人もいましたし、医薬品メーカーでMRという営業職になった人もいました。

遠藤さんは現在4年生ですが、就職先は決まりましたか?


大学生
僕は明治大学大学院へ進学し、引き続き、ビタミンEの研究を行います。
大学院進学を決めた理由は、研究活動がとても楽しいと思えるようになったからです。高校時代は、勉強があまり好きではありませんでした。しかし大学に入り、自分の興味が持てることを専門的に深めていくという学び方を知り、それがとても面白いと思えるようになりました。そして、現在行っているビタミンEの機能性研究を、もっと突き詰めたいと考えたことが大学院進学の大きな理由です。

向後さんも大学院に行かれましたが、進学された理由を教えてください。


卒業生
遠藤君と同じで、やはり学部時代に研究したいテーマが見つかり、大学院でもっと深く掘り下げたいという思いが強かったからですね。
また卒業後に、院卒が条件となる技術職や研究職に進みたいという思いもありました。

先生
理系職種の中でも技術・研究職は、院卒でないと間口が狭いという状況がありますね。

遠藤さんの同期の方々はどういう方面に就職されますか?


大学生
友人たちの多くは大学院に進学しますが、大学院進学は全体の2〜3割ではないでしょうか。学部卒で就職する人たちは食品関係が中心ですが、不動産業界やコンサルティング業界など、幅広い業界に就職していると思います。

先生
遠藤君が言ったように大学院進学は2〜3割ですね。 学部卒での就職先としましては、農芸化学科の場合、食品メーカー系がやはり多いです。ゼミ生では警察官になった学生も二人ほどいます。公務員では、「食品衛生監視員」という任用資格を生かして仕事をしている卒業生もいますね。

 

 


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