●三学部横断型ゼミの成果について
協力いただく企業はどのように選んでいるのですか。
■先生
いわゆるB to B、 企業へ部品や機械を販売したり、サービスを提供したりしている企業にご協力をお願いしています。<理系の業種>と言うと正確ではないのですが、文系総合大学である本学の学生が普段あまり意識しない業種をあえて選んでいます。学生は400万以上ある日本企業の中で、ほんの一握り、いわゆる消費者が直接購入する最終製品を作っているような企業しか知りませんが、1つの製品を作るにもさまざまな企業が関わっています。また、技術だけでなく人材育成の面でも良い企業がたくさんあるのです。
こういう企業は優秀な文系の学生を求めていますし、学生にとっても就職先の選択肢が広がりますので、双方にメリットがあるという点も大きいですね。
■大学生
先生の仰るとおり、就職活動では色々な企業に興味を持つことができました。有名な大手企業の説明会を中心に足を運んでいる友人もいましたが、私は三学部横断型ゼミの経験から、会社の大きさだけにとらわれることなく、会社の風土や理念にも着目した就職活動ができ、良かったと思います。
他に就職活動で活きたことはありますか。
■大学生
そうですね。三学部横断型ゼミでは、社会人基礎力を意識し、向上出来る機会があります。社会人になったときに必要な能力、例えば主体性や協調性などについて、キャリアコンサルタントから評価をしてもらい、ゼミの前後でどこの能力が向上したかを確認できます。このように自分の強みや弱みを客観的に見て振り返っていましたから、就職活動の面接の時にも、自分について正確に伝えることができたと感じています。
■卒業生
私も同感です。自分をしっかり見つめ、自分の考えを持って面接や就職活動に臨めたことは大きなアドバンテージだったと思います。ただ大学の中で過ごしていくだけでは、社会に出て働くということを意識したり、イメージする機会があまりありません。三学部横断型ゼミで企業の方と接する機会があり、お話も伺えたことは自分の将来を考える上でも、良い経験になったと思います。
今後、お二人はどのようにキャリアアップされて行きたいと思ってますか。
■卒業生
輸出や貿易関係の仕事をしていますから、その知識を深め、資格取得を目指したり、英語をはじめとしたスキルアップを図っていきたいと思っています。
■大学生
社会学を学ぶことで大学では社会調査の方法をはじめ、幅広い知識や経験を得ることができました。これからはビジネスの世界で通用する専門性を身に付けたいと考え、就職先はマーケティングリサーチを専門とするIT企業にしました。この会社で専門性をさらに高めていきたいと思っています。
三学部横断型ゼミで他学部との交流を通して感じたことをお聞かせください。
■大学生
三学部横断型ゼミに参加する前までは、自分と違う意見を持っている人とは付き合わず、同じような意見を持っている人たちと付き合った方が楽に生きていけるというような考えがありました。しかし今は、自分と違う意見を持っている人だからこそ一緒に話し合ってより良いものを作って行けると感じましたし、その後、色々な方と積極的にコミュニケーションを取れるようになったと感じています。
■卒業生
私は、経済学部や社会学部の学生から学ぶことがたくさんありました。例えば議論を深めるための手段として、根拠を数字で示したり、アンケートなどでデータ自体を収集するアプローチも有効であると分かり、自分の成長につながりました。
■先生
2人にそう言ってもらえると嬉しいですね。この三学部横断型ゼミは協力いただく企業を探すところから、日々の学生の指導など、教員側も多くのエネルギーを割いていますが、このような学生の成長から、成果を実感できます。
三学部横断型ゼミは学内で定着してきましたし、成果もあがっています。今後はもう1歩その先といいますか、さらに発展したものを設計していきたいですね。これからますます国際化が進む中で、異文化の方たちとのディスカッションも重要になるでしょうし、また三学部横断型ゼミで得られる経験を、より多くの学生に体験してもらえるような仕掛けも考えたいと思います。
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