<次へ 1 2 3 次へ>

CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 


●大学生活について




芝浦工業大学システム理工学部生命科学科の学びについて教えてください。


先生
「生命科学コース」では、「老化」をキーワードにしたさまざまな研究が行われています。老化のメカニズムや、老化によって起こる疾病の予防や治療などを、バイオテクノロジー、生理学、生化学、有機化学、応用微生物学、食品栄養学といった学問分野をベースに研究していきます。
本学科にはもうひとつ「生命医工学コース」があります。こちらでは、工学的な手法による生命現象の解明や、医療技術・医療福祉への応用などを研究します。メカトロニクス工学をベースにした人工心臓、医療福祉ロボットや再生医療、リハビリテーション機器等の研究なども行っています。

工学色の強い生命医工学コースがあることで何か良い影響はありますか?


先生
はい、様々にありますね。例えば、生命医工学コースに「システム生理学研究室」があります。この研究室では、毛細血管の中を流れる血流を可視化するシステムを開発しています。この装置は、私たちの研究観測にも活用できますので、装置を借りて実験を行ったりしています。生命医工学コースにある独自の技術を、生命科学コースでも必要に応じて使えるというのは大きなメリットだと思います。

みなさんが「生命科学コース」を受験した理由は?


大学生
私は指定校推薦での入学でしたが、化学を学びたかったことに加え、老化のメカニズムなどにも関心がありました。また、工業大学ですが、生命科学コースの場合は半分くらいが女子学生なので友達もできそうだなと思ったのが選んだ主な理由です。それから、このコースは化粧品メーカーへの就職実績もあり、高校生の時から化粧品メーカーで研究開発に携わるという夢を持っている私にとって、この点は魅力に感じました。周りも、卒業後は食品業界や化粧品業界などに進みたい、という志望理由を挙げる学生が多かったと思います。

卒業生
生命科学コースを選んだのは、僕自身にアトピーやアレルギーがありまして、体質改善などについて関心があり、そうした分野の勉強ができればいいな、と思ったのが一番の理由です。

松村さんは子供の頃に海外に住んでいたそうですが、語学系や国際系の学部などは考えませんでしたか?


卒業生
少しは考えましたが、語学力は理系の専門分野を学びながらでも向上させられると判断し、システム理工学部に決めました。

では入学してみた感想はいかがでしたか? 


大学生
生命科学コースの場合は、やはり高校で学ぶ生物・化学の基礎が大切だなと思いました。

卒業生
僕は逆に、生物に関しては、大学に入ってからの勉強次第で、一生懸命やれば追いついていけるな、という印象を持ちました。

先生
そうですね、生物は大学からでも間に合いますが、化学は高校時代からしっかり学んだ方がいいと思います。

特徴的な授業や役立ったカリキュラムなどを教えてください。


大学生
1・2年次で必修になっている「システム工学」という授業です。この授業では、所属学科を問わずに学部生がグループを組みます。そして、与えられた課題に対して意見を交換し合い、ディスカッションをして結論を導き出します。

先生
「システム」という言葉が付いているこの授業は、本学の特徴のひとつです。従来の工学部というのは、ひとつの専門学問を深く掘り下げるという教育のスタイルでした。これに対して本学部では、工学的知識と化学や生物の科学的知識、さらに体系的方法論(システム工学)を融合させて、学問横断的なつながりの中から、工学や生命科学その他の幅広い分野で活躍できる人材を育成することを目的にしています。ですから学科を越えた人たちとグループを組み、問題解決にあたるという実践的な授業を必修として取り入れています。
要は「プロジェクト・マネジメント」の勉強です。組むグループというのは、プロジェクトを遂行させるチームになります。課題の解決に向けて、いかにチームで力を合わせていくか、ということを勉強していきます。与えられるテーマは、例えば「災害」や「大学生活を楽しくさせる」など、様々です。
この授業は経営学のMBAスクールの授業に近いものです。「ものごと」に対する仕組みを理解し、横との連携を図りながら付加価値のあるものづくりや仕組みづくりを構築するという、システム理工学部生にとっての基礎力の養成であり重要な授業なのです。

卒業生
この授業では、他学科の人たちと意見交換ができるので、その点でとても貴重な機会になったと思います。
それから、僕は英語力の強化にも関心があったので、芝浦工大の英語のサポート体制が好きでした。夏休み、春休みの短期留学もありますし、葉山にあるセミナーハウスでTOEICや英会話の勉強をすることもできます。また、大学構内でも「毎日学べる英会話」という低額のサービスがあり、外部の英会話学校に行くより価値のあるものだと思います。

松村さんは国際学生寮で留学生をお世話する活動もされているんですよね?


卒業生
国際学生寮には、日本語がまだよくわからない留学生が多くいますので、英語でコミュニケーションを取りながら相談役をやっています。留学生の出身は、アジアおよび東南アジアが多いですが、最近はブラジルから多くの学生が来ています。また、ヨーロッパからも数名来ています。

生命科学コースにおけるゼミの特徴を教えてください。


先生
「老化・アンチエイジング」をテーマにした様々な研究室・ゼミが用意されているという点です。8つの研究室があり、そのうち2つは環境システム系の研究を行っています。残りの6つは、実学的な生物の老化等に対する研究を行っていて、これは他大学には無い傾向だと思います。


ゼミには3年次後期から所属するのですか?


先生
2014年度からはカリキュラムが変わりまして、3年次の春からゼミに所属することになります。

先生の「食品栄養学研究室」に所属した場合、皆さんどのように研究テーマを選ぶのですか?


大学生
自分でテーマを選ぶというよりは、先生から指導していただきます。

卒業生
僕の時も同じで、先生と相談しながら決めていきました。

先生
学生が自主的にテーマを決められないのは、食品栄養学という分野の特徴かもしれません。というのも、この食品と健康という分野の研究は大学だけでなく、企業その他多くの研究機関がすでに長期的に行っています。そのため、「何をどう研究すれば最先端なのか」という視点を、学生側が持ったり判断することが難しいのです。そこで、例えばテーマをポリフェノール研究にするにしても、「こういう角度で研究すると新しいよ」というディレクションを学生にしています。

 

 

●就職活動、仕事について




松村さんが大学院へ進学された理由は?


卒業生
もっとこの分野を勉強したいということと、研究職に進みたいと思ったのが一番の理由です。学部の3年次に就職活動をし、業界としては、食品・化粧品・医薬品メーカーなどが中心でした。しかし学部卒だと、研究職へ進むのは当然ながら難しかったので、大学院進学を選びました。


同期の方々はどういう方面に就職されましたか?


卒業生
研究職ではないのですが、食品・医薬品・化粧品メーカーなどが中心で、他には公務員になる人もいました。医療機器メーカーに進んだ人もいましたね。

阿部さんは就職を考えていますか? それとも大学院進学ですか?


大学生
就職活動をしているところです。エントリーシートを出しているのは主に、食品と化粧品メーカーです。

同期の方々はどのような分野を志望していますか?


大学生
食品、化粧品、医薬品メーカーで、この3分野を多くの学生が志望していると思います。

先生
私の研究室に来る学生はやはり食品メーカーを志望する学生が多いですね。一番学びが活きる業界になりますから。卒業生はまだ少ないですが、私の研究室の卒業生では、日用品・食品メーカーのクラシエや、メーカーではないですがJA(農協)などへ進んだ学生もいました。

先生は薬科大学を出た後に、明治製菓に入社されましたね?


先生
はい、医薬品部門を担当していました。当時の社名は明治製菓でしたが、今は竃セ治になっています。明治はお菓子のイメージが強いですが、じつはうがい薬の「イソジン」など医薬品も開発しています。入社後に中央研究所に配属され、最初は主に医薬品、その後、特定保健食品を中心にした機能性食品の研究開発を担当していました。

先生は研究職で就職したのですか?


先生
いえ、研究職での入社ではありません。研究所への配属でしたが肩書きはあくまでも「研究補助職」です。ですから入社後に猛勉強して、所定の試験をクリアして研究職に至ったわけです。

周りの方の出身学部はどういった分野でしたか?


先生
医薬系の時は、周囲も薬学部や化学系学部の大学院出身者ばかりでしたね。その後、健康食品などの食品系に移った際は、農芸化学、食糧化学といった分野の大学院を出た方々が多かったですね。

皆さんは先生のような研究職の道を考えていますか?


大学生
一般職と研究職と、一応、両方視野に入れていますが、学部卒では研究職は難しいだろうと思っています。

卒業生
大学院へ進んだ以上は、先生のように研究職に就きたいですね。

先生
私は新卒採用なども担当した経験があるのですが、やはり企業側の立場からしますと、研究職は最低でも大学院の修士課程卒くらいの深い知識を必要としているのが現実です。募集要項などでは一応、学部卒生にも門戸を開いている企業も多いですが、実際問題としては、院生の方が有利なのが研究職だと思います。

 

 


<次へ 1 2 3 次へ>