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CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 


●大学生活について




上智大学法学部の特徴を教えてください。


先生
本学法学部には「法律学科」、「国際関係法学科」、「地球環境法学科」の3学科があります。
「法律学科」は憲法・民法・刑法など、国内法をしっかりと学びたい、法曹界やロースクール進学を考えたいという学生が主に集まります。
我々3人が所属する「国際関係法学科」は、国内法だけでなく、ドイツ・フランス・英米の法律及び政治・経済・ビジネス関連のテーマが学べます。この3カ国の法学分野に対してそれぞれ専任教員がいる大学は日本では決して多くはありませんので、比較法分野の教科が充実している点は、本学部の特徴の一つだと思います。さらに本学科は、英語力を強化して多様化する国際社会において、問題解決能力を発揮し活躍できる人材の育成に取り組む学科で、2014年度からは「コースAQUILA(アクィラ)」という特修プログラムを設置します。
「地球環境法学科」は、地球環境の改善や問題解決に、法や政策面から寄与できる人材育成を目指す学科です。
このように各学科の学びの内容は分かれますが、本学法学部はとてもフレキシブルな教科の履修制度を採用しているという点も大きな特徴で、入学後の興味や関心に応じて学びたい科目を、学科を超越して履修することも可能です。
ただし、「AQUILA」に関しては、「国際関係法学科」の特修プログラムになっているため、このコースを履修したい学生は、「国際関係法学科」に入る必要があります。

今日は、そのAQUILAのプログラム開設の中心となった三浦まり先生に、特別にお越しいただいています。三浦先生、2014年度からスタートする「AQUILA(アクィラ)」とはどのようなプログラムなのでしょうか?


■三浦先生
このコースの目的は、法学・政治学を英語で学ぶことを通じて、英語のインプット・アウトプット両面における運用能力を高めることです。
英語能力を高めることの重要性は3つのポイントにまとめられます。
1) 英語情報の収集力の強化
英語による情報を、億劫がらずにタイムリーに仕入れる能力は、ますます重要になっています。英語でしか手に入らない、あるいは日本語では手に入りにくい情報があり、その情報を得ているかどうかで、思考や行動に違いが出てくるからです。
2) 英語による発信力の強化
日本における様々な状況を、自由自在に英語で情報発信していくことはとても重要であり、日本社会の各方面からも望まれていることです。
3) 思考力の強化
英語という母語とは異なる言語でものを考え、意思表示をし、使いこなすということは、日本語だけで生活している際には使わない、様々な表現方法を身につけることを意味します。多言語で表現することで、その人の思考力自体が強化されるのです。


「AQUILA」の履修科目内容は、これまで国際関係法学科において日本語で行われていた授業の中でも、特にグローバル化に対応する授業科目群を選び、それらをすべて英語化させています。
科目群は大きくニつのブロックに分かれています。一つは「経済・ビジネス系科目群」で、もう一つは「国際法・政治学系科目群」です。
グローバルなビジネス社会で活躍したいという学生や、国連に代表されるようなグローバルな公的機関で活躍したい学生に、共にバランスよく対応させたカリキュラム構成になっています。
履修は、1年次に日本語と英語による「導入演習」という必修科目を学んだ後、2年次の春より始まります。そして、3年次終了時もしくは4年次までに、所定の単位数と成績を習得した国際関係法学科の学生には、コース修了認定を行います。
またこのコースでは、英語を母国語とする専任教員がおり、主に「Business Law」などの科目を担当します。また、海外研修にも力を入れていきます。やはり生きた英語を身につける上では、海外の文化や風習、歴史においても、現地で実際に体験しながら学ぶのが効率的であり重要です。そこで、必修ではありませんが、2〜3週間くらいの期間で法学の授業を英語で学ぶ海外研修を、積極的に学生に薦めていきます。この短期研修を機に、1年以上の長期留学なども視野に入れてもらえれば、学生の将来に向けた大きな成長につながるだろうと考えています。

皆さんが「国際関係法学科」を受験した理由は何ですか?


大学生
高校時代から英語が好きでしたので、さらに英語力を身につけたいと思っていました。また、外交官への憧れもありました。そこで大学受験の際に目標にしたのは、上智大学の外国語学部英語学科か、国際と名のついた法学部の「国際関係法学科」でした。
実は、「国際関係法学科」ではどういう学びができるのかは、あまり理解していませんでした。漠然と、「グローバルに活躍できる人材育成をしているのだろう」というイメージでしたが、それでも十分に魅力的に思え、受験を決めました。

卒業生
中学生の頃、漠然とですが「弁護士になりたい」という思いがあり、法学部は目標の一つでした。ただ、高校時代を経て、国内外の法律と政治・経済に関する両方を学びたいと考えるようになりました。
私が調べた範囲では、他大学では、海外も含めた法律と政治のどちらも共に学べる学科が見つからず、自分に目的にピッタリだったのが、上智大学の国際関係法学科だったのです。
また、高校時代から第一外国語としてフランス語を学んでいて、大学ではフランス留学も目的の一つでしたので、留学に力を入れている上智大学を選びました。

実際に入学してみた感想はいかがでしたか? 


大学生
帰国子女や留学経験者が多く、語学力のレベルの高さは想像以上というのが率直な感想でした。

卒業生
高校時代はフランス語を第一外国語にしていましたので、英語はそれほど自信がなかったこともあり、ハイレベルだなという印象がありました。

先生
先ほども少し触れました「導入演習」という1年次の必修授業は、国際関係法学科生は英語のテキストを使うのですが、皆さんとにかく意欲的ですね。特に留学に関心が高い学生が多いことが、この学科生の特徴と言えるかもしれません。

お二人が好きだった授業や役立ったカリキュラム、制度などを教えてください。


大学生
「国際法」という「国際関係法学科」ならではの授業が印象に残っています。
例えば日本の領土問題などに関して、この「国際法」を学んだ後では、自分なりに解釈することができるようになりました。解釈する指標を「国際法」という授業が与えてくれたと感じています。ニュースで聞く領土問題と自分の知識が結びついたのかなと。



卒業生
私はやはり留学制度ですね。私は制度を利用して、1年間、交換留学生としてフランスの「パリ政治学院」という大学へ留学しました。留学先では主にヨーロッパの政治史、国際関係論などを学びました。
留学に際しては、国際交流センター(※現在は国際連携室)がお世話をしてくれますが、対応がとても親切です。また、選考はありますが奨学金制度も充実していて、学校全体で留学を支援してくれていると感じました。
法学部からの留学生は、外国語学部ほど人数は多くないかもしれませんが、留学先では法学や政治がしっかり学べる環境が用意されています。1・2年次に日本でヨーロッパの法律や政治学の基礎を学んでから行きますので、留学先でも充実した学びができました。
フランス語の語学力についても、第二外国語としてフランス語を履修したところ、少人数制で教えてくださったことに加え、留学を視野に入れた指導もしていただけて、とてもありがたかったです。

先生
本学の留学制度の素晴らしい点は、協定校が世界30カ国以上に180校ほどあり、長期・短期の実に様々な留学プログラムを提供していることですね。

真城さんは通信社にお勤めですが、現在の仕事に役立っている授業はありますか?


卒業生
はい。「行政学」という授業で、行政の仕組みがどうなっているのかを基礎から学ぶことができました。現在、行政を司る都庁などの取材を行っていますので、とても役に立ちました。

■三浦先生
この授業では、基礎的な行政の仕組みや法律がどう生きるのか、ニュースでよく見る「国家予算」がどう組まれるのか、「官僚制」とはいったいどういうシステムなのか、行政と政治や社会との関わりはどうなっているのかなどを教えています。

所属したゼミでの学びはどういうものでしたか?


大学生
3年次に松本先生の「西洋法制史ゼミ」で、「ナチスの経済学法」を学びました。それを基に、4年次は「経済法ゼミ」に所属しました。

卒業生
私は3年次が「政治学ゼミ」で、4年次が「行政学ゼミ」でした。どちらのゼミも、国際関係法学科ならではというものではありません(苦笑)。
法学部に入ったものの、私の関心はどちらかというと政治や行政にあり、そちらを中心に学びました。先ほど先生の話にもありましたが、このように学生の関心に沿って、フレキシブルに授業やゼミを履修できるのが上智の良さだと思います。

先生
そうですね。本学には、学生が自ら学びたいと考えるその自主性を尊重するカルチャーがしっかりとあり、学生の関心に応じた自由度の高い学びの場を提供しているのです。

卒業論文はどのようなテーマの研究をされましたか?


大学生
卒業論文ではなく、ゼミ論文になります。ゼミ論文として発表したのは、「日本の書籍の再販売価格維持制度について」というテーマです。再販売価格維持制度は、日本の出版社が発売した書籍や雑誌に関して、中古品を除いては、出版社が定めた定価での販売を書店に義務づけることを、独禁法(独占禁止法)の例外として認める制度です。近年、電子書籍の販売が多くなりましたが、電子書籍販売において、再販売価格維持制度は適用されるのかなどを考察しました。

卒業生
私は「ジェンダー」をテーマにしました。企業によっては、「一般職」「総合職」という区分けがあり、そうした企業における男女の役割分業についての考察を行いました。
3年次にもゼミ論文は書いていますが、その際は「日本とフランスの外交政策比較」でした。

■三浦先生
真城さんのゼミ論文はとてもよく書けていました。
「一般職」「総合職」という区分けは、いわば日本独自の企業文化で、国連の女性差別撤廃委員会からは事実上の性差別をもたらしているのではないかとの懸念が表明されています。しかし日本の企業では、男性の仕事、女性の仕事という区分があった方が、労務管理の観点からは調整しやすいという風潮がまだ根強く、法的に整備する動きにはつながっていません。

ほかに国際関係法学科の特徴はありますか?


先生
2014年度から、1年次で必修の「導入演習」に英語版も加わり、これも必修となります。「導入演習」という授業は、高校から大学に入り、大学での勉強や実際の教科がどのようなものかをガイダンスしながら学んでもらうゼミ形式の授業です。その英語版を開始し、例えば「Business Law」の教材を用いて英語でクリティカル・シンキング(批判的思考)をしていく授業を、1年次より受けていくことになります。

 

 

●就職活動、仕事について




真城さんが通信社に就職された理由を教えてください。


卒業生
政治や行政、国際社会など、大学での学びを一番生かせる場所を考えた時に、報道機関が浮かびました。その中でも取材をして記事を書くということに関心が向き、新聞社や通信社を志望しました。
入社して良かったと感じたのは、私が学びの中心にしていた行政関連のニュースが、時事通信の看板であると知った時でした。


通信社の特徴を説明していただけますか?


卒業生
通信社は、契約している日本全国の新聞社などに、自社で取材・執筆したニュース情報を配信する活動を主に行っています。インターネットのHPと行政関連の専門誌以外は、独自の情報発信媒体は所有していない点が特徴です。

お仕事のやりがいはどのような時に感じられますか?


卒業生
自分が見つけ出したニュース情報を、的確に取材して、いち早く各マスコミに配信できた時でしょうか。特に、自分の中に芽生えた問題意識が起点となり、例えば、今行政はこういう政策を立案しているのではないかと考えて行政サイドに取材し、それが実際にニュース情報と結びついて配信できた時には、より達成感を感じます。

通信社の同期の方々は、どういう学部出身者が多いですか?


卒業生
出身学部は文系学部を中心に、文学系やメディア系学部、政治・経済系学部、社会学系などバラバラですね。大学院卒の方が多かったのが印象に残っています。

安森さんはどのような方面に就職されますか?


大学生
僕はずっと本が好きでしたので、本と関わりのある業界ということで、出版販売会社へ就職します。出版販売会社というのは、各出版社が発行する書籍・雑誌などを日本全国の書店へ卸す、もしくは、取り次ぐという架け橋的な機能を果たす流通事業者です。

同期の方々はどのような業界へ就職されますか?


大学生
大手電機メーカーやIT企業、また、ロースクールへ進学する友人も何人かいます。

卒業生
金融系や広告代理店やメーカーなど、幅広いですね。

先生
「国際関係法学科」では、グローバルな舞台のあらゆる業界で活躍できるように学生の育成を行いますので、卒業生の活躍する分野は本当に幅広いですね。
国連をはじめ、様々な国際機関、国際弁護士、多方面のグローバル企業などにOBやOGを輩出しています。
その理由は、この学科が日本の大学における国際関係学科の草分け的な存在だからです。今でこそ多くの大学に「国際」がつく学部・学科がありますが、本学の国際関係法学科は、1980年に設置されました。そのため、80年代頃に国際関係機関やグローバル企業で活躍したいと考えた学生が全国から本学科に集中し、今はちょうど働き盛りの年齢になり、多方面の国際舞台で活躍しているという現状につながっています。

 

 


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