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CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 

●5年後に向けて



山田先生の夢は何ですか?数年後の研究はどうなっているでしょうか?

 

先生
今まで自分が勉強し、研究してきたものが人の役に立つというところが最大の魅力だと思います。高校生にとっては、難しい数学や物理学を勉強して何の役に立つのだろうかと思うこともあるでしょう。ところが、私たちの理工系の研究にはそれらが欠かせません。とくに工学部はモノづくりの学問ですから、勉強の成果が目に見える形で現れてきます。山田研究室では、太陽電池を実際に作り、変換効率を測定しますから、数値として成果が現れてきます。期待通りの結果が出れば、大きな喜びと満足感に満たされます。現在の太陽光発電の原型のようなものができてから、実はまだ60年しか経っていません。それが今や、国民のエネルギーとして重要な位置づけがなされるまで発展してきました。今後、数年あるいは数十年後に向けて大いなる進化が望めるでしょう。単に効率を上げるということだけではなく、いろいろな素材に応じて、太陽光発電の使われ方も多様化してきます。屋根の上や休耕田に設置されるだけでなく、電気で動く多くのものに使われるでしょう。

 

山田先生の研究の社会的意義や魅力を教えてください

 

先生
太陽電池はこれからの社会にとって必要不可欠のものとなるでしょう。とくに日本では、原発に代わる電力として太陽光発電には大きな期待が寄せられています。実際、今日まで様々な取り組みがなされてきました。しかし、発電能力は充分とはいえず、エネルギー変換効率を高めることは、社会の要請でしょう。また、材料等を工夫することでより安価なものも求められています。世界中でその競争が行われているなか、東工大の役割は大きなものとなっています。

 



●高校生へのアドバイス



山田先生と研究をしたいと考えている高校生は、どんなことをしたらよいでしょうか?

 

先生
それは数学、物理、化学の基礎をしっかり勉強することが、私の研究への第一歩になります。それには、まず教科書をしっかり学んでください。それから英語は必須教科です。私の研究室でも、研究の成果を世界に発表するのはすべて英語でしています。私自身は、高校時代、英語は不得意だったのですが、勉強せざるを得ない状況に追い込まれてできるようになってきました。国際化の時代ですから、英語で自分の考えを発表できるようにしておくといいでしょう。

 

星名さんがもし、いま高校1年生に戻れるなら、何をしたいですか?

 

卒業生
勉強でいえば、英語をもっとやっておけばよかったという思いはあります。論文を書くにも、留学生と話すにしても、英語は必須で、高1に戻れるなら英語の勉強がしたいです。勉強以外では、もう少し、友だちと遊びたかったと思います。受験のことがいつも頭にあったので、誘いを断って勉強していました。でも、高校時代の友人は、一生ものといいますか、貴重です。大切に付き合うといいと思います。僕も上手に時間を振り分けられたら良かったと思います。

 

みなさん進路選択のアドバイスをお願いします!

 

先生
私がいま振り返ると、高校時代が一番楽しかったなと思います。まずは高校生活を悔いなく大いに楽しんでください。部活でも勉強でも、それ以外のことでも自分の好きなことに集中して楽しくやってください。何にせよ、一生懸命やったということは、自信につながり、その後の人生に生きてくると思います。やり遂げたことは自分の財産として残ります。一番よくないのは、何もせずに、のんべんだらりとした生活を送ってしまうこと。

 

卒業生
僕の場合、なかなか志望校を絞れず、高3の冬に東工大に決めました。それまで、オープンキャンパスにもよく出かけましたし、先生や友人などのアドバイスも受けました。そのなかで感じたことは、一番、新しくて役立つ情報は、いま、大学に携わっている人が持っているということです。あるいは卒業直後の人。世の中、刻刻と変化していくなかで、大学も例外ではあり得ません。ですから、どんどん大学に出向くなどして、生の情報を得てほしいと思います。ただし、最終的には、あまり思い悩まずに、感覚で決めてもいいと思います。文系はわかりませんが、理工系では、どの学科でも将来役に立つことを教えてもらうことができます。しかも、学問の境界は先へ行くほどあいまいで、結局は繋がっていたということもあります。最先端の研究は、様々な知識が必要で融合されているからです。実際、太陽電池の研究室にもたとえば、学部では化学を専攻してきた人がいます。いろいろ情報を集めて、真剣に検討を重ねたうえで、最後は、感性に従ってなんとなくという、決め方で。

 

大学生
僕は、自分の得意だったもの(数学)を見つけて、とりあえず他の科目にも目もくれず、数学を伸ばしてみました。それこそ、勝手に手が動くようになるくらいに(笑)。そうすると深く勉強することになるので、数学をきっかけに色々わかるようになる。結果として、進学先もおのずと絞られてきます。
そして、いざ入試問題を解いてみると、得意科目だけはその時点で解けるんですよね。そうすると欲も出てきて、他の教科も頑張ってみるかって思うようになりました。

 

東工大は受験の難関大学でもありますが、勉強ではどのような工夫をされましたか?

 

大学生
そうですね、バランスよくやれば受かるというのが模範解答だとは思います。
ただし、モチベーション的な所の問題も受験勉強では大事なんですよね。一つだけしか勉強しないで、他が全く出来ないは困りますけど、一つだけのものをやり込んで勉強し、絶対的な自信をつけるのもありだと思います。先ほどの話の続きになりますが、私は英語が失点源だったんですけど、その分得意な数学で頑張ってやるぞってなりましたからね。

 

 

卒業生
数学や物理の公式を丸暗記し、(答えがハッキリわかっている)問題を解く訓練を積めば、東工大の"入試"問題を解くことはできるでしょう。でもそれが通用するのはあくまで"入試"問題まで。大学に入ってから扱う問題には通用しません。式の意味を言葉で理解することが必要です。それには、人に説明してあげるといいでしょう。式を言葉で説明する訓練になり、さらに自分の理解不足の点も浮き彫りになります。それから受験はゴールではありません。大学はスタートです。受験勉強で燃え尽きないように!

 

先生
高校では、これまでの研究成果をもとに定まった学説を学びますが、大学も3年生になれば、自分で実験をして、新しい結果を得るわけですから、その答えは、教科書には記されていません。そこで、自分でなぜだろうと考えるわけです。ところが、その考える元の知識、経験は、高校や大学1〜2年で学んだことです。それがなければ、考えようもないわけです。そして、なぜかがわかったら、次にどうしたらよりよいものができるのかというところまで進んでいきます。こうして、技術や研究は進歩していきます。大学生や修士生も、そこまでのことが求められます。単なる知識の詰め込みではありません。しかし、高校で知識の蓄積は何一つ無駄にはなりません。たとえば、理系でも国語の勉強は必要で、技術書を書くにも、複雑な申請書に誤りなく記入するにも国語の力が必要です。工学も元を見れば自然現象の延長に過ぎません。ですから、自然現象の研究といえる数学、物理、化学、生物などの学問も、工学の基礎として必要になります。歴史や地理も同様です。

 

 

大学構内のお気に入りスポット

 

先生
大岡山キャンパンス入り口から本館へ向かう途中の桜並木です。近所でも桜の名所として有名で、桜の時期には、本当に美しく、見ているだけで癒されます。かなりの古木が道の左右に植えられていて、根を傷めないよう、ウッドデッキで一段高く道が作られています。入学式にキャンパスを訪れるとちょうど桜の時期なので、毎年、ここで桜を見るとその頃のことが思い出されます。

 

大学生
テスト勉強とか実験のレポートとかをやっていた場所で、通称電電カフェって言われている場所があります。電気電子工学科が結構使っているからこの名前ですけどそこですね。頑張った時の自分がいた場所なので、時々行きたくなりますね。

 

卒業生
食堂(学食)ですね(笑)。ここの学食には、サラダバーという、お皿に野菜サラダを好きなだけ盛って、グラム単位で精算するメニューがあるんです。毎日、昼と夜の食事を学食で食べるので、油断すると野菜不足になりがちに。そこで、必ず、このサラダバーを注文することにしています。研究生活も、とどのつまりは体が資本で、体力勝負。学食での食事の時間は、恰好の息抜きタイムです。

 





 

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