<次へ 1 2 3 次へ>

CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 


●大学生活について




東工大を受験した理由は何ですか?


大学生
中学3年生の時に大学案内を見ていたら、「東京工業大学」という印象的な大学の名前があって、ここ何なんだろうと(笑)。それが、頭に残っていて、高校の時、オープンキャンパスに行くことにしました。アカデミックな雰囲気がいいなと思いました。それが高1の秋頃です。


卒業生
私の場合は、高校2年までは、どこと決めずにひたすら勉強を続けてきて、高3の春、もうあと一年ということで、いろいろと大学を見て回ったり、パンフレットを見て調べていました。そのなかで、東工大は、かなりレベルの高い理工系の大学であることと、理工系独特の校風が気に入ったことで選びました。

理工系の校風というのは、具体的にはどういうものですか?


卒業生
こういうと問題になるかもしれませんが、とても地味な感じです(笑)。そのほうが自分には合ってるなと。

実際に入られて東工大の印象はいかがですか?


卒業生
はい、本当に地味で思っていた通りの大学でした(笑)。同期の仲間も、皆まじめに研究に取り組むという人ばかりで、とてもいい環境だなと思っています。

大学生
私は、結構、忙しいなと思いました(笑)。大学生はもう少し遊べるのかと思っていたら、そんなことはなく、勉強の毎日でした。でも、その分、充実した大学生活が送れていると思います。

理工系の大学で、女性が少ないと思いますが、何か困ったことは?


大学生
困ったことは特にありません。高校は共学だったので、入学した時は、周りが男性ばかりで違和感がありました。でもすぐに慣れまして、今はそれが普通だと思うようになりました。

先生
それでも化学科は比較的女性が多く、33名中5人です。
留学生も多く、学部生が4500名、大学院生が5500名いる中で、1500名が外国から学びにきた学生です。

思い出に残る講座がありましたら教えてください。


卒業生
私の所属する化学科では、例えば野上健治教授による「火山化学」という講座があります。火山を化学的に見ていこうというものですが、すごく楽しかったです。

先生
火山化学という講座は、日本ではここだけでしょう。この研究室では、噴火を予測することもあります。附属の研究所が群馬県の草津白根山にあり、野上先生はおもにそちらで研究を行っておられます。

大学生
化学科では、実験が週に3回あって、毎週レポートを提出しなければなりません。今はそれに追われているという印象です。でも、それが楽しくもあり、大変でもあり、理系の大学ならでの勉学生活を送っています。
また、1年の時の体育は、思い出に残っています。競技はいろいろな種類があって自由に選ぶことができます。友人から聞いた「気功」の授業が面白いと思いました。この授業では、先生が念を送る構えをすると、学生は自分で飛ばなければいけないそうです(笑)。後ろにマットが敷いてあるので、危なくはないですが、自分で飛ぶなんておかしいですよね(笑)。

東工大の特徴を教えてください。


大学生
理系専門の大学なので、理系に特化して世界を目指している先生が多く、そういうところで学べるということは、一番の魅力だと思います。学生実験でも、最先端の装置を使わせてもらえるので、わくわくしますね。

先生
確かに、教員の質の高さは、圧倒的ですね。どの研究室へ行っても世界的なハイレベルの研究ができます。あと、先生が多い。特任教員を含めると、化学科は、60人近く教員がいて、学生は1学年で40名程度です。その分、きめ細かい指導ができます。

卒業生
先生も素晴らしいですが、学生もまじめでよく勉強し、地道に研究に取り組んでいます。ですから、自然に切磋琢磨して、自分も磨かれていくような気がします。

先生
そうですね。実は、水曜日は、午後の授業がありません。それは、クラブをやっている学生が活動しやすいようにそうしているのです。勉強だけに偏らない人間形成も目指しています。
コーラス部のほか、全国レベルのものがいくつもあります。「鳥人間コンテスト」という、人間が飛行機のようにして飛ぶ大会がありますが、東工大は、そこで毎年優秀な成績を上げています。

卒業生
あとはキャンパスが広いということでしょうか。もちろん、総合大学はどこも広いキャンパスをもっていますが、学生の人数と広さを比べると、東工大はかなり広く、のびのびと過ごせるかなと思います。

先生
キャンパスが広いだけでなく駅前にあって、立地がいいのも、利点の一つだと思います。
東工大では、世界的な研究者をお呼びして講演してもらう回数がすごく多いのです。
また、文系の方もお招きします。私も、井上ひさしさんや筒井康隆さんが来られた時は講演を聞きに行きました。交通の便がよく、駅前なので、お呼びしやすいのです。

他に特徴的な学内の施設について教えてください。


先生
新たに建てられた施設ということでは、まずは、環境エネルギーイノベーション棟です。大臣が視察に来られたり、よくマスコミにも取り上げられています。というのも、建物の前面が太陽電池に覆われている面白い建物なのです。屋上に燃料電池も設置され、たくさんの研究室の電気を自家発電で賄っています。そして万一、停電があれば、地域に送電できるような設備もあります。防災用の施設になっているんですね。
あとは、図書館ですね。三角形のケーキのような形で、蔵書は地下に納められており、特徴的な地上部分は、閲覧室になっています。
ほかに、入り口にある百年記念館も面白い建物で、「ガンダム」と呼ばれています。本館は、卒業生にとっては、思い出のある建物でしょうね。東工大では、どの建物も、建築科の先生が設計に携わっており、大学の特徴がよく出ていると思います。

 

 

●就職活動、仕事について




裏田さんは大学院に進まれましたが、 同期の方で就職された方はいらっしゃいますか?


卒業生
私の同期は40数名おりますが、卒業して就職したのは、1名だけです。彼は、確か、鉄道関係に就職したと思います。


先生
理学部を卒業して大学院に進む学生は、化学科ではほぼ100%です。その後の就職は、名前を聞けばだれでも知っているような大手のメーカーさんがほとんどです。具体的にいえば、トヨタ自動車、旭硝子、三菱化学などが挙げられます。また、多くはありませんが、学校の先生になる人、公務員として就職する人、民間のシンクタンクへ行く人もいます。あとはマスコミ関係です。博士課程に進む人は、修士課程終了者のうちの3割程度でしょうか。博士課程を卒業すれば、大学に残って研究職の道を行く人と、企業に就職する人に分かれます。

工学部と違い理学部で就職に困ることはないですか?


先生
就職に困ることはあまりないと思います。
化学科では、ほとんどの学生が大学院に進学します。東工大全体でも9割の人がそうです。修士課程を修了した人の3割は、博士課程に進みます。ですから、皆、就職をする時点で、即戦力の専門家となることを目指しています。今の企業は、社内でじっくり育てる余裕がありませんから、そのような人材を求めていると思います。

卒業生
私は、修士1年ですが、修士を終了したら、就職しようと思っています。専門である化学技術と知識が活かせる会社に行こうと思っています。まだ、具体的な求職活動はしていませんが、会社や省庁からOBが来て説明会を開いてくれますし、求人も多いので心配はしていません。

大学を選択する時、就職のことも考えている学生は多いですか?


先生
もちろん、将来、学者になりたいということで入学してくる人は、結構います。しかし、就職のイメージをもって大学を選んでいる人は、あまりいないと思います。というのも、東工大では、ほとんどの学生が修士課程に進むので、早くとも就職は6年先になるわけです。
ですから、そんな先のことはイメージできないというのが、正直なところではないでしようか。でも、本当はもっと早くから就職のことを考えもらいたいというのが、教員の願いです。そのためには社会に関心を持ってもらいたいと考えており、新聞等を読むことが大切だと考えています。

 

 


<次へ 1 2 3 次へ>