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CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 


●大学生活について




皆さんが人間環境デザイン学科を受験した理由は何ですか?


大学生
高校の頃から、大学ではプロダクトデザインかインダストリアルデザインを学びたいと思っていました。そこで自分の条件に合う学科を探したところ、人間環境デザイン学科が最適だと思ったからです。現在はプロダクトデザインコースを専攻し、コンピュータを使ったプロダクトデザインを学ぶ研究室に所属しています。


卒業生
私は高校の時、大学で何をしたいか、ということが明確には決めらなかったのですが、「ものをつくりたい」という漠然とした目標はありました。そこでリサーチして、建築、プロダクト、支援機器など、幅広くものづくりが学べる学科ということに魅力を感じ選びました。 専門となるコース選択も3年次からですので、1・2年ではいろいろなことを基礎から幅広く学び、一番興味を持ったことを3年から専門に学べるというシステムも、私には理想的でした。

実際に大学に入学されてみての感想はいかがでしたか?


大学生
僕は当初のイメージ通り、プロダクトデザインへ進みましたが、周りでは「建築志望」から「プロダクトデザイン志望」に変わったり、その逆のケースもありました。いろいろと学ぶうちに、本当に自分が興味のあることが見えてくるんだなと感じました。

卒業生
たしかに、実際に学ばないとわからないことが多いですからね。
私は2年の終わり頃から、建築の先生の指導を受けるようになりました。実際に建築系の課題に取り組んだところ、やってみたいと実感して、建築を専門にすることを決めました。 この学科の授業では、グループで課題に向き合うことも多いので、いろいろな人の意見が聞けて勉強になりました。

先生
これは共同制作の機会が多いこの学科の特色かもしれませんが、学生たちがパソコンの操作方法をはじめ、いろいろなスキルや知識を教え合って、お互いに能力を高め合っているのです。教員の目から見ても、すごい力だなと感じています。

人間環境デザイン学科の特徴的なカリキュラムについて教えてください。


先生
特徴としては、1・2年次までは、3年次で選択する専門コースのすべてについて基礎を一通り学べるようになっています。その上で専門を決めていくのです。
特徴的な授業としては、1年次から「演習形式」の授業があって、建築やプロダクトデザインなど、すべての専門分野において必修科目になっています。この演習では、座学で理論を学びつつ、さらに課題が出て、実際に制作を行い、理解を深めます。
この課題作成は、個人で行うものだけでなく、みんなで制作を行う授業も多くあり、例えば、強化ダンボールを使って、座り心地や強さや美しさなどを考えながら進めるいすの制作です。このように共同作業をする授業も多く、共同で行うことで知識を共有し、コミュニケーションを取るという協調性を学ぶことができるのも特徴ですね。
また、社会で活躍している方々を講師として招き、工房でレクチャーやシンポジウムを行い、社会生活や仕事の現場での実務を学ぶ講座も用意しています。
私自身も、40歳過ぎまで学外で実務を行っていましたが、この学科の先生にはそうした社会実務経験者が多くいます。そこで、講義も含めて、なるべく社会における現場の空気を大学に取り込む努力をしています。

印象に残っている授業はありますか?


卒業生
今先生がおっしゃった、「演習」が印象に残っています。この授業は、講義とそこで出される課題を、自分でいろいろと考えてこなしていくことがセットになっています。建築は制作課題が多いので、とても大変でした。

大学生
僕も1年次の「デザイン基礎」や、2年次の「総合デザイン」といった演習系の授業ですね。この学科ならではの特徴的な授業だと思います。
1・2年次では建築系の演習だけではなく、プロダクトデザインの演習を行うなど、いろいろな分野を演習の中で学びますから、内容がバラエティに富んでいて楽しいですね。

先生
建築は著名建築家の図面の模写からはじめて、製図や建築模型など、多くの課題があります。この演習を受講して、「建築は無理かな」と判断する学生もいるようですね(笑)。

卒業生
デザインに共通した基礎をいろいろと学べるので、建築の仕事にも役立つことがあります。例えば今の業務では、案内板のデザインの仕事もありますので、その際に建築とは別分野の演習での学びが活きてきます。

学内にお気に入りの施設などはありますか?


大学生
学内には「実験工房」や「制作工房」がそれぞれあって、ものづくりのための工具、機材なども充実しています。僕のようにプログラミング系のものを作る人や、家具などを作る人たちもいますので、どんなものでも作成可能な環境がありますね。

先生
2年次からは、工房内に学生一人に対して1つの制作スペース・デスクが与えられます。これはほかにはない贅沢な環境かもしれませんね。学生同士の情報交換の場としても、この工房はすごく役に立つと思います。

卒業生
私も演習で出た課題を、その自分のデスクで制作したりしていました。

先生
年次ごとに、学生はデスクのあるフロアーを移動していきますから、毎年、各場所で大掃除の時期があります。そうすると、各デスクから、とんでもないゴミまでもが出てきますから面白いですよ(笑)。

卒業生
大学では多くの場合、サークルの部室や食堂くらいしか自分の居場所が作れませんが、この学科では工房に自分の居場所が作れるので、すごく良かったですね。

先生
工房にデスクがあるのは「人間環境デザイン学科」の学生だけですので、他の学科からうらやましがられていますが(笑)、もちろん、他の学科にはそれぞれの学びにふさわしい良い施設環境があります。

橋本さんは学生作品展にも積極的に参加されたそうですね?


大学生
人間環境デザイン学科の学生作品展は、大学祭の時期に合わせて工房で展示を行います。通常の作品の評価は先生にしていただきますが、この作品展では来場された一般の方々に作品に触れていただき、感想や投票式の作品評価をもらえることができますので、また別のやりがいがありますね。
またこの作品展は、学科や専門にとらわれずに作品が作れますので、例えばプロダクトデザインが専門だけど建築の作品を作るなど、新たなチャレンジを試みる場にもなっています。

卒業生
学生が主体になって行うので、その面でもためになる作品展だと思います。

「ユニバーサル・デザイン」に対する理解を深めるために授業で工夫をされていることはありますか?


先生
授業では、座学ばかりではなく、実際に見学してレポートを書くといった内容もあります。例えば、信号機には音の出るものがありますが、その仕組みや工夫などは、実際に現場を見ることで理解が深まります。
また、工房には車いすで入れるトイレがありますが、そのトイレを調べてレポートを書いてもらったりもします。そうしますと、どういう器具が何のために使われているのかといったことへの理解が深まります。
ユニバーサル・デザインに関しては、普段目にはしていても、気に留めていないことがたくさんあります。そうしたことに気づくことで、ユニバーサル・デザインへの理解を深めてほしいと思っています。

ちなみに、ユニバーサル・デザインの先進国はどこですか?


先生
北欧や米国、また、日本も先進国の1つですね。というのも、他国ではデザイナーや研究者や大学レベルでの取り組みが中心で、日本のように行政レベルで積極的な取り組みを進めている国は、まだ少ないのです。

 

 

●就職活動、仕事について




小柳さんが建築設計の仕事へ進まれた理由、動機は何ですか?


卒業生
2年次に、建築の先生が出された「チャレンジ課題」に挑戦しました。この課題はやる気のある学生だけが集まって行う課題で、その時の共同作業が楽しくて、建築を専門にしようと思ったきっかけとなりました。
今の職場「奥野公章建築設計事務所」を選んだ理由は、代表の奥野公章さんが非常勤講師として大学で演習授業をされた際に、奥野先生の建築事務所に魅力を感じたからです。


先生
奥野先生は東洋大理工学部建築学科の卒業生なんです。建築家としても活躍されていますので、非常勤講師として演習授業を担当していただいています。

現在の職場では大学での学びが活かせますか?


卒業生
建築法規の中でバリアフリー法がありますが、現在関わっている保育園の建設でもそうした法律が関係してきますので、学科での学びが活かせる職場だと思います。

先生
実務の建築士というのは、守るべき法のガイドラインがいくつもありますが、バリアフリー法などでは「何をどう守ったらいいのかよくわからない」ケースもあります。そういう時に大学での学びが役に立つでしょうね。というのも、現場の人は、例えばバリアフリー用の器具を見ても、その付け方やなぜそれが必要なのかなどについては知識がありません。うちの学科を出ている学生は、そのあたりについてはしっかりと勉強しています。

仕事の内容を教えてください。


卒業生
主な業務は、設計、図面作成から建設現場での工事監理、関係各社との打ち合わせなど、多岐に渡っています。現在は主に、担当物件の工事監理業務が中心です。
2月から始まった物件では、設計の最初の段階から、打ち合わせやプレゼンテーション用資料作成にも参加しています。また、役所への確認申請書類の提出も私の担当業務です。

先生
補足しますと、小柳さんは設計事務所の側ですが、現場で作業するのは施工業者ですから、設計事務所の意図がうまく伝わらないことがあります。そこで、設計事務所からも現場監督として出て、施工業者とやり取りを行うわけです。
将来的には、1つの物件を一人で設計から担当するようになるわけですよね?

卒業生
そうですね。
まだ就職して2年目で、今回初めて、仕事の流れを最初から見ている段階です。 一級建築士免許取得後は、自分で設計して先生に確認してもらい、自分がリーダーとなって物件の建設を進めていくことが目標です。

仕事のやりがい、充実感はどこにありますか?


卒業生
現場で打ち合わせを重ねながら、実際に建築物が建ち上がっていく様子を見ると、とてもやりがいを感じます。また、多くの方々とコミュニケーションを取りながら仕事を進めること、多くの人と関わりながら1つの建築物をつくり上げるというところに、仕事の充実感を覚えます。

橋本さんの就職先はどういう業界ですか?


大学生
僕はウェブ・デザイナー職です。IT業界でしょうか。
ウェブ・デザインでは、例えば画面の見やすさや操作性、色使いなどの面において、学んだユニバーサル・デザインの知識を活かすことができます。また、社会貢献にもつながればと思いこの仕事を選びました。

先生
色という話が出ましたが、以前は東京の地下鉄路線図などは色だけで、例えば赤は丸ノ内線などと表示されていました。しかし最近では、Mというローマ字を加えて丸ノ内線を区別しています。これによって色だけでは見分けられない人が大いに助かっています。こうした部分にもユニバーサル・デザインの発想が活かされています。

同期の方の就職先について教えてください。


卒業生
様々ですが、多いのは不動産やリフォーム関係でしょうか。

先生
人間環境デザイン学科では、たしかに住宅のリフォーム系は多いです。志望傾向として、「人と接する仕事」を考える学生が多いです。ですから住宅メーカーのお客様対応業務など、そういう部署を志望する人もいます。
一方で、百貨店や銀行などの一般企業へ就職する学生もいます。

卒業生
工具を使った作業をしている方が楽しいと言って、大工をしている卒業生もいますよ。

先生
それは私としてはうれしいですね。私は、いわゆるガテン系は直接お客さんと接する場合も多いので、仕事として面白いと思いますね。

 

 


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