●プロフィール
先生の研究内容について、ご説明いただけますか?
■先生
私は経営工学を教えていますが、経営そのものというよりも、経営に関連して発生する問題を数理的なアプローチで解決することを専門にしています。例えば、旅館の従業員の勤務表作成、スマートフォンアプリケーションのインストールデータに関する分析、口コミ情報の効果的な拡散方法、効率的な情報通信網の構築などに関して、数理的な観点から解決する方法を研究しています。現場に密着した研究から、理論的な研究までを広く行っています。
問題の解決とは具体的にどのようなものでしょうか?
■先生
例えば、旅館の従業員さんは、24時間体制かつ少ない人数で、きちんとしたサービスを提供しなければいけません。では、いつ誰が働いたらいいかということを、数学的な手法を用いて決めていくわけです。あるいは、自動販売機にジュースを補充するスタッフは、どのようなルートを回るのが効率的か。ここには1週間に2回行く必要がある、ここは日中しか配送できないなどの条件を組み合わせて、どのようにルートを回っていくのが適切かを決めます。従業員のスケジュールにしても、ルートの問題にしても、主に「最適化」と呼ばれる手法を用いて研究しています。
経営だけではなくて、交通や都市計画など、広く社会的な問題にも使われるのですね。
■先生
その通りです。例えば、どこかへ出かけるときに、何時の電車に乗り、どこで乗り換えて、とスマートフォンアプリで検索することがありますよね。これも「最適化」で扱われる最短路問題の代表例です。
学問分野としてはどのような位置づけになるのでしょうか?
■先生
「オペレーションズ・リサーチ」というひとつの学問分野で、「経営の科学」とも呼ばれています。今の例のように、何かを最適化するだけではなくて、例えば、スーパーマーケットにお客さんがたくさん来店したときに、もうひとつレジを開けたほうがいいのか、お客さんの並び方を変えたほうがいいのか、どうしたらお客さんの待ち時間が少なくなるかという研究も、「オペレーションズ・リサーチ」の中には含まれています。もともとは、アメリカの軍事戦略から始まった研究ですが、今はもっと身近な問題を扱う分野になっています。
宮崎さんの現在のお仕事について教えてください。
■卒業生
株式会社サイゼリヤの店舗で、副店長をしています。仕事の内容は、皆さんが思い描くような一般的なレストランのお仕事で、アルバイトのスタッフと一緒にお客様をお迎えしたり、調理を担当しています。そのほかに、発注や勤務シフトの調整など、店長業務まではいかないですが、その補助となる仕事をしています。
学生時代はどんな研究をしていましたか?
■卒業生
繁野先生のもとで研究していました。何かスケジュールを組む時には、普通は情報が出揃っている状態で組む場合が多いですが、そうではなくて、あとから必要なことが追加される場合に、どのようにスケジュールを立てたらいいのかというルール作りの研究です。
■先生
どうしてそれをやりたかったのかをお話ししたほうがいいんじゃない?
■卒業生
そうですね。私は、大学1年生の時から大学院を卒業するまで、サイゼリヤでアルバイトをしていたんです。店舗の厨房では、お客様の注文内容が伝票という形で調理者のもとに届きます。調理者はそれを見て、早く出さないといけないもの、時間がかかるものなどを考えて、次はこれを作ろうと調理の順序を組み立てていくわけですが、お客様がどんどんあとから注文されるので、その順番が変わっていきます。それらを頭の中だけで考えるのは難しいので、何か仕組みがあればもっとやりやすくなると思い、研究テーマにしました。
植田さんは現在どのようなことに興味を持っていらっしゃいますか?
■大学生
僕は研究室に入ったばかりで、まだ研究テーマは決めていません。しかし、先日「問題発見と解決」という授業で発表を行ったので、それについてお話しします。
僕は陸上競技をやっていますが、中でも駅伝にとても興味があります。駅伝で、何区は誰が走るということを決める区間配置は、チームの監督の感覚で決められているようなところがありますが、それをデータ解析して、いちばんいい区間配置ができるモデルを作りたいと思いました。その研究で学内の対抗戦に挑んだところ3位に入ることができて、早稲田大学、中央大学、東京工業大学、筑波大学で行っている4大学交流会に、代表として参加できることになりました。3年間学んできたことを、データ解析という形で活かせたことに満足しています。
陸上はずっと続けているのですか?
■大学生
はい。体育会の陸上競技部で長距離(5000mから20kmまで)に取り組んでいます。
■先生
筑波大学には体育専門学群もあるので、体育会の部活というのは、すごい人ばかりが集まっているんですよ。その中でやっているというのは大したものです。
体育専門学群以外の人はどのくらいいるんですか?
■大学生
200人以上いる部員のうちの10人程度です。体育専門学群が中心なので、理工学群などの僕らは「他学」と言われています(笑)。
■卒業生
ちょっと上手ぐらいの人は、部活じゃなくて、サークルでやっていますよね。
■大学生
それはいやだったんですよ。僕と同学年の部員50人中7人、インターハイや国体で優勝した人がいます。高校時代の全国チャンピオンが7人いるという環境でもまれながら、必死になってやっています。
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