<次へ 1 2 3 次へ>

CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 


●大学生活について




東京理科大学の中での、薬学部の位置づけを教えてください。


先生
東京理科大学は、理工系の総合大学ですが、薬学部はその中で唯一の医療系の学部です。
2006年から薬剤師になるためには、6年間の教育課程が必要となりました。薬学部には、我々が所属する薬剤師免許を取得可能な6年制の薬学科と、製薬会社に入り研究者などになる人の多い4年制の生命創薬科学科の2学科があります。


他大学の薬学部と比べ特徴的なところはありますか?


先生
多くの私立の薬科大は、6年制が主体ですが、本学は、従来から研究・薬品開発の道へ進む学生が多かったため、生命創薬科学科(4年制)100名、薬学科(6年制)100名という定員です。4年制の学生も実際にはほとんど大学院まで進みますので、実質的に6年制のようなものです。また、6年制の薬学科は、薬剤師としての臨床能力を高めるための多くの講義、実習等があるほか、4年生から3年間研究室に入り、卒業研究を行います。研究に多くの時間をかけているというところは、ほかの大学と違う点です。

お二人の入学のきっかけを教えてください。


大学生
薬剤師になりたいということは、なんとなく小さい頃から思っていました。身内に薬の副作用で苦しんだ人がいたので、薬のことをきちんと勉強したいなと考えて、薬学部に決めました。 自宅から通える範囲にしたかったので、通える範囲の薬学部を全部見に行きましたが、野田キャンパスの広々とした感じと、きれいな校舎を見て、理科大を選びました。また、薬学部ではないのですが、身内に理科大の出身者が何人かいて、実力が付く良い大学だと聞いていたというのも選んだ理由の一つです。

卒業生
家族に進路の相談をしたところ、僕の母親が薬を服用していることもあって、医師や薬剤師など、医療系の職業に興味はないのかという話が出ました。それからいろいろ調べている時に、ちょうど指定校推薦の話を聞いて、受験を決めました。

大学生
あ、私もそうなんですよ。


東京理科大に入ってみての印象はいかがでしたか?


大学生
私は女子高出身だったので、男子学生しかいないなというのが第一印象でした(笑)。実際、薬学部には女子学生も大勢いますし、全体的にまじめな人が多い印象です。

卒業生
僕は男子高でしたので、何も変わらないなと思いました(笑)。

先生
城山くんは6年制薬学科の1期生ですけど、6年制になって従来より2年延長ということになったために、一時的に女子学生が減りましたね。

大学での生活についてお聞かせください。授業以外で力を注いだことは何でしょうか?


大学生
私は中学校からずっとバドミントンをやっていまして、大学でもバドミントンサークルに入りました。150人ほどのかなり大きいサークルで、2〜3年次には、運営する側の幹部をやらせていただきました。1年間大きいサークルをまとめるには、いろいろ大変なこともあったんですけど、思い出すのは楽しいことばかりですね。3年生まではほとんど毎日サークル活動をしていました(笑)。今は、たまに運動不足だなと思った時に行く程度です。サークルはすごく楽しいですけど、テストがあると、ずっとこもって勉強しないといけないので、そこが大学生活のつらい点だなと思います。

先生
レポートよりテストの方が大変?

大学生
レポートも大変です(笑)。レポートとテスト両方ですね。

東京理科大の勉強は厳しいと聞きますが、城山さんはいかがでしたか?


卒業生
はい、厳しいですね(笑)。
授業以外では、大学のサークルには入らず、小学生向けの塾でのアルバイトに力を注いでいました。もちろん、授業にもしっかり出て、勉強もがんばりましたよ(笑)。

大学生活で経験したことが社会に出て役立っているという実感はありますか?


卒業生
アルバイト先では、アルバイトの学生がたくさんいたんですけど、僕はその管理を任されていて、シフトを組んだり、給料まで決めたりしていました(笑)。

大学生
そんなことまでするんですね。

卒業生
はい。社員とのコミュニケーションも、他のアルバイトの皆さんとのコミュニケーションも必要な立場で、よく「中間管理職」と呼ばれていました。上からの要望と、下からの不満や今の状況を聞いて、自分たちがまかなえる範囲の仕事を効率よく回すという点では、とても良い経験になったと思います。実際、僕は薬剤師として働き始めて今2年目で、1年目の後輩にどう仕事を任せるのか考えなければいけないですからね。

おすすめの講義を教えてください。


卒業生
僕は医療系の科目が好きだったので、青山先生の「薬物治療学」が印象に残りました。また、パソコンで文献を探し、研究で必要となる基礎的な文献の使い方を勉強するという授業も、面白かったですね。

先生
本学は理系の大学なので、パソコンをうまく使えるように、ワード、エクセル、パワーポイントなどを低学年のうちからマスターし、かつ、ネットからいろいろな情報を得る技術を身に付けます。そういうことをほかの大学に先駆けて始めていました。入学時には個人持ちのPCを購入することになっていて、学内では、各教室でネットに接続できる環境が整っています。

大学生
私は、やはり「薬物治療学」と、最近まで履修していた医療薬学実習です。今までは座学が中心だったので、実際に薬剤師がこういう業務をやっているんだということを体験できる実習は印象的でした。

先生
4年生では、学内で実習を行い、5年生の時には、病院・薬局での長期の臨床実習をすることになっています。
そのほか、本学は研究活動をしっかりやるという方針で、4年生以降は3年間研究室に在籍します。講義の合間に研究をして、5年生から6年生にかけては就職活動をしないといけませんし、薬剤師の国家試験の勉強もあります。6年間ありますが、かなりハードで忙しい生活ですね。

 

 

●就職活動、仕事について




卒業後の進路はいかがでしょうか?


先生
4年制の生命創薬科学科は、製薬会社や化学系の会社に就職する人が多いですね。6年制の薬学科は、病院・薬局の薬剤師になる学生が5割から6割で、あとは、薬剤師の免許を持った上で、特許庁や経産省などの行政職に就いたり、製薬会社で薬の開発に携わるという学生が多いです。県立病院や保健所に入るケースも含め、1割くらいは公務員になります。

それ以外の進路の方はいらっしゃいますか?


先生
医療系の出版社や、日本赤十字社に就職した人もいました。医薬品の卸しなど、流通関係もあります。卸業者も、品質管理の職種として、営業所に1人は薬剤師が必要ですから。 また、研究職ではなく、製薬会社の営業職に就く人もいます。薬剤師免許を持った担当者なら病院からの信頼も得やすいそうです。文系の営業さんもいますけど、薬のことを説明する際には、薬剤師としての知識が活かされます。製薬会社は薬を売りたいから多少バイアスがかかるところがあるので、あまり営業さんの話を鵜呑みにしてはいけないんですけどね(笑)。病院の薬剤師は、そうやって製薬会社に勧められた薬の良いところ悪いところを正確に判断しないといけない。それも城山くんの仕事だよね。

卒業生
それは日々やっています。日本でまだ使われていない新しい薬が出てきた時は、海外のデータを調べて、どういう副作用が出やすいかとか、相互作用があるのかなどを、製薬会社が提供する情報だけではなく、自分たちでしっかり文献などを読んで判断するということが求められます。

薬剤師のやりがいはどういうところですか?


卒業生
患者さんが何か不調を訴えた時に、もしかしたら薬が原因で副作用が起こっているのではないかと考えられるケースがあります。実際にこのような患者さんのケースで、別の薬に替えてみたらどうですか、と医師に提言したところ、患者さんの症状が良くなり大変感謝された経験があります。薬には、ほぼ同じような効果のものがたくさんありますが、体の中での動きはそれぞれ異なります。自分たちが薬剤師という立場で関与して、患者さんの状態を何かひとつでもよくすることができた、また患者さんに喜んでもらえた時に、一番やりがいを感じます。


薬学研究のやりがいはどういうところにありますか?


先生
研究で得られた結果を臨床にフィードバックして、それでリアクションがあった場合ですね。例えば、インシュリンという血糖値を下げる薬は、点滴から投与した時に、点滴のボトルやライン管に吸着してしまうんです。ボトルの素材によっても違いますが、たとえば、投与量が100必要な患者さんに対して、吸着したために50しか薬が入らないことになると、薬物療法が失敗してしまいます。
新生児の場合は体が小さいので、投与するインシュリンの量自体が少ないと、吸着でなくなってしまって、投与していないのと同じことになります。そういうことをデータで出し、論文にして発表しました。低出生体重児(2500g未満で誕生した新生児)を扱う関東のある県の小児病院では、投与量のコントロールの際に、私たちの論文を見て治療に用いたところ、きれいにコントロールできたということで、とても感謝されました。それをきっかけとして、今は共同で新たな研究を進めています。

 

 


<次へ 1 2 3 次へ>