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大学生
三井良太さん

先生
會澤修先生

卒業生
中里恭洋さん
 

CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 

●プロフィール




會澤先生は、東京理科大の建築学科をご卒業なのにどうしてパイロットになられたのですか?

 

先生
私も子どもの頃から空を見るのが好きで、大空へのあこがれを持っていました。しかし私自身は、ごく一般的な家庭に生まれ、公立の中学、高校に行って、という状況でしたので、実際にパイロットを目指すとなると、ハードルが高すぎて、現実味がないように考えていました。現実的な道としては、当時は建築も好きだったので建築家を目指しました。ところが、大学のサークルの親しい友だちから、ある航空会社の自社養成パイロットの募集に応募して合格したという話を聞きました。すると、パイロットがにわかに身近な現実のものとなり、私も新聞広告を見て応募、合格してパイロットへの道が開けたわけです。

 


フライト経験はどれくらいですか?

 

先生
パイロットの仕事をするようになってからは、定年までですから、およそ40年、フライト時間は、1万5千時間ぐらいです。定年後は、ここ(東海大学)に迎えられて、いまは、三井くん初め、若い人の指導にあたっています。

 

中里さんのお仕事は?

 

卒業生
全日空を選んでくださったお客様を安全に目的地まで送り届けることが仕事です。

 

三井さんと中里さんは、どうしてパイロットになろうと思われたのですか?

 

大学生
中学3年の高校の志望校を決定しなければならない時期に、仲の良かった三人のうちの一人が、日本航空第二高校(現在は日本航空高等学校石川に名称変更)という私立の高校に行ってパイロットになることを知って、なんだか火が付いたように急に自分もそういう道に進みたいと強く思ったのです。実は、父親が飛行機好きで、よく羽田空港に連れて行ってもらっていました。でもそのときは、全く興味は湧かなかったのですが、突然そういう気持ちになったところをみると、もともとそういう願望が潜在的にあったのかもしれません。それで、高校はそのまま県立高に進みましたが、どうしたらパイロットになれるのか、それが頭から離れなくなっていました。そこでいろいろと模索していたところ、高校1年の12月に東海大学工学部の航空操縦学専攻の説明会に出席することができ、その場で東海大に決めました。

 


卒業生
私は、もう小さい頃から飛行機が好きで、大人になったら航空会社で働きたいとずっと思っていました。高校では2年次に理系と文系に分かれますが、航空関連の学部に進学するには理系に進む必要があるんじゃないかと思い、またもともと理系科目が好きだったので、迷わず理系に進みました。部活は野球部です。勉強と野球の両立を目指しましたが、自分たちがチームの中心となった高2の夏以降は、頭の中は野球の事ばかりでした。このチームで甲子園に行きたかったからです。高3の受験時に野球で進学することを勧められましたが、やはり、子どもの頃からの思いは変えられなくて、志望校は東海大学工学部航空宇宙学科に決めました。野球を引退した夏からは猛勉強しました。

 

大学ではどういう勉強をするのですか?

 

大学生
1年次は、国家試験であるライセンスを取得するための座学です。航空力学、航空法、飛行に必要な医学である航空医学などです。もちろん、一般教養も選択して受講します。とくに英語は必修で、渡米するまでにTOEFLテスト(大学のキャンパスや実生活のコミュニケーションに必要な「読む」「聞く」「話す」「書く」の4つの技能を測定するもので、満点は各科目30点で計120点)で69点以上取ることが必要です。渡米は2年次で、グループによって時期はずれますが、僕は2年生のはじめから、アメリカのノースダコタ大学へフライト訓練のために約15カ月間留学しました。3年次に帰国後は、卒業研究をおもに行います。

 

卒業生
航空英語は、1年目にしっかり勉強します。ほかに、気象や航法なども学びます。

 

會澤先生は何を教えていらっしゃるのですか?

 

先生
操縦学全般ですね。技術的なことから理論まで、フライトトレーニングを中心に行っています。
私が操縦したことがある機種は、日本製の戦後初のプロペラ機YS-11、ボーイング727、(操縦士席に航空機関士席がついた)3人乗りのジャンボ機の747、747ダッシュ400、これは2人乗りのハイテクジャンボ機です。また、ボーイング767も定年までの2年間、操縦経験があります。

 

留学生活はどのようなものでしたか?

 

大学生
まず、宿舎は、大学が借りてくれた一般のアパートで、3LDKの部屋を3人でルームシェアして生活します。食事は基本的に自炊しました。日本の食材も思ったよりは売られていて、助かりました。それでも、どうしても必要なものは日本から送ってもらいました。授業はもちろん、すべて英語です。教科書も英語。ですから、よく理解できなかったところは、宿舎に帰って来てから、夜、みんなでディスカッションしながら復習します。遊んでいる暇は全くありません。もっともノースダコタ大学は、カナダ国境に隣接するノースダコタ州にあって治安はいいですが、出かけようにも何もないところなんです。

 

卒業生
教室で一通り勉強すると、実際の飛行機で実機訓練を行います。アメリカの大空を飛びますが、これが結構難しくて、なかなか自分の思うようには飛べません。そんなときは、私も仲間たちと話し合って、解決策を一緒に考えたりもしました。お互いに助け合う仲間意識が自然に芽生えてきて、チームワークの大切さを学ぶことができました。仲間を思いやる気持ちは実社会でも必要なことです。

 

先生
どこの国でも飛行訓練空域が決められています。日本は国土が狭くまた山も多いため、わずかな訓練空域しか与えられていません。これでは充分な訓練は難しい。その点、平野が広がるアメリカでは、広大な広さの空域を訓練で使うことができます。ですから、このことも東海大がアメリカで実機訓練する理由の一つとなっています。



  

 

  

●インタビューに答えてくれた方々


 


先生
會澤修先生  

東海大学工学部航空宇宙学科航空操縦学専攻教授
東京都立小山台高等学校卒業。東京理科大学工学部建築学科中退。大学のサークルの友人に教えられて航空会社が自社養成のパイロット志望者を募集していることを知り受験。合格してパイロットとなる。定年退職後、現職に。

   


卒業生
中里恭洋さん

全日本空輸株式会社運航本部副操縦士
栃木県立真岡高等学校卒業。東海大学工学部航空宇宙学科に入学。2006年に東海大学工学部にパイロット養成のための航空操縦学専攻が創設されると第一期生として編入。卒業後、全日本空輸株式会社(ANA)に操縦士要員として入社。空港の搭乗口業務などを経て運航乗務員(パイロット)に。現在、運航本部フライトオペレーションセンターB767部副操縦士。日米の事業用操縦士免許および計器飛行証明を取得。

   


大学生
三井良太さん

東海大学 工学部航空宇宙学科航空操縦学専攻
神奈川県立鶴見高等学校卒業。東海大学工学部航空宇宙学科航空操縦学専攻4年。卒業後は航空会社勤務を志望。アメリカ連邦航空局(FAA)および 国土交通省の事業用操縦士免許および計器飛行証明を取得。

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