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CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス
 


●大学生活について




早稲田大学国際教養学部を選んだ理由について教えてください。


大学生
高校は早稲田の付属校でしたので、早稲田大学の学部の中から進学先を決めました。その当時も将来は世界に飛び出したいと考えていました。親の勧めもあり、留学を経験でき、英語力も強められる国際教養学部を選びました。


卒業生
私が志望校を選ぶ上で軸として持っていたのが、英語力を伸ばすことでした。どの大学に進学するのが一番良いのかを高校3年生のときにずっと考えていて、英語に特化した私立大学や国立大学を受験しました。その中で選んだ理由は、留学に必ず行かなければならないという義務があるからです。他の大学でも、海外の協定校に行こうと思えば行けると思います。ただ早稲田の国際教養学部の場合は、留学を経験しないと卒業できません。
留学に行きたいと強く思っていても、大学に入ってみるとやっぱり忙しい、海外に行ったことがなくて怖いなどという理由で、結局行かなくなる自分が嫌でした。いっそ義務として絶対に海外に行かなければならない環境に身を置きたい。そういった思いで、早稲田の国際教養学部を選びました。

英語は得意科目でしたか?


卒業生
受験英語は非常に得意でした。ただ、入学してすぐに自分の今まで思っていた英語力の高さはまぼろしだったことに気づかされました(笑)。
入学直後に英語のクラス分けのための試験があり、どのレベルのクラスに入るのかを決めます。この試験の結果、私は自信があったにも関わらず、下から数えて数番目という下のクラスになってしまいました。そのほか、英語で行われる「経済・ビジネス」科目群の授業をとっていましたが、その授業も最初の頃は全然聞き取ることができませんでした。英語に対する自信は砕け散ったわけですが、そこから毎日授業を録音して、家に帰ると聞き取れるまで何度も聞いて復習しました。その甲斐あって、リスニング力は大いに伸びましたね。

国際教養学部の大きな特徴は、やはり必修の海外留学ですね。


先生
はい。入学する際には大きな期待とやる気を持って、前向きな姿勢でいてほしいですね。
留学先は1年次の秋に、各自の希望を英語能力・成績などを考慮して審査し、決定します。交換留学と、語学留学が基本ですが、交換留学の場合は、現地の大学で行われている講義を現地の生徒と一緒に受ける、一方、語学留学の場合は語学をブラッシュアップすることを最大の目的とするという大きな違いがあります。
協定校は300以上と多く、多様な大学で受け入れてもらうことが可能です。例えば、英語圏に限らず、ドイツのボン大学ではドイツ語のブラッシュアップを目的とした語学留学、スウェーデンのルンド大学やスペインのバレンシア大学では交換留学が可能です。やはりアメリカ、イギリスが人気ですが、最近はフランス語圏、スペイン語圏など、ヨーロッパを選ぶ学生の比率が高くなっています。また、ミラノ大学など、趣味が高じてイタリアを選択する学生も毎年30人程います(笑)。イタリア語圏で文化を学びたいという理由でね。でも、すごく楽しいらしいですよ。

卒業生
私の友達にもイタリアを選んだ人がいました。本当に行きたいところなら行けるという感じで、選択肢が広いです。

先生
サポートとしては、国内の学部事務所も電話対応できるようにしていて、緊急の場合にはすぐに対応します。アメリカでは東西に、ヨーロッパではパリとロンドンに大学の事務所があります。危機管理はしっかりしていますので、この点は保護者の方へ安心感を与えられるのではないでしょうか。

お二人はどちらに留学しましたか?


大学生
留学先はアメリカ・オレゴン州のポートランド州立大学で、経済の授業を中心に履修しました。英語をマスターするために、英語圏のアメリカかイギリスを考え、できれば語学留学ではなく交換留学の形で、現地の生徒と一緒に勉強したいという思いがありました。

卒業生
私は英会話への苦手意識をどうにかしたいという思いで、アメリカ・ボストン大学を選びました。昨今の世界を見ると、アメリカで話される英語の方がスタンダードであるという印象を持っていましたので、イギリスではなくアメリカに行こうと決めました。私も主に経済学を学びましたが、経済に限らず、政治学、公共政策学、心理学の授業もとっていました。
また、留学中には多くの知り合いができました。友人の一人は現在ニューヨークで働いており、今でも親交があります。他にも韓国、中国、カザフスタンといったアジア圏から来ていた学生たちとも仲良くなりました。こうして人脈、コネクションを世界中に持てたことは、自分の財産になりました。

留学中にはどのような苦労がありましたか?


大学生
当然ながら周囲は現地の学生ばかりで、最初の頃はライフスタイルの違いに戸惑うこともありました。一緒に過ごしていて、やはりアメリカ人は何でも自分でやろうとする姿勢を持っているなと感じました。留学での経験は、語学力を磨く面でも、異文化理解の面でも役に立ったと思っています。

卒業生
その通りですね。私の場合は、日本に当たり前にあるものがないという経験が多かったです。例えば、日本ではコンビニが24時間営業していて、自分が望むときにいつでも商品を購入できます。一方、私が住んでいたボストンでは、コンビニのようなお店でも朝の2時には閉店するので、ずっと夜遅くまで勉強していて、ふと何か買いに行きたいなと思っても、開いているお店がありませんでした。これは極端な例かもしれませんが、あるはずのものがない場面は他にもありました。

学部内でのおすすめの授業は何でしょうか?


大学生
おすすめはこのゼミですね(笑)。


卒業生
私も一番良かった授業をあげるとすると、やはりこのゼミですね。

先生
ありがとう。

大学生
そのほか面白いと思ったのは、入門のビジネスや経済ですね。7つのクラスターごとに、入門・中級・上級の専門科目・演習が設けられています。science、governance、cultureなどいろいろな分野の科目が用意されていて、自由に選べます。

卒業生
cultureでは、例えば映画の授業があります。経済学という一見すると堅苦しい学問もありますし、一方でアートなどの全く異なる分野の授業もあり、自分のスケジュールの組み方によって自由に選択できる点が、非常に面白い特徴だと思います。

先生
学内では他学部の授業も受けられますし、全学共通のオープン科目は数え切れないほどあります。早稲田の学則によると在学年数は8年までと定められていますが、オープン科目を全部受講したら、もちろん8年などでは済まないんじゃないかな(笑)。

大学生
足りないですよ(笑)。

先生
早稲田は自己の生活を自分ですべてを組み立てないといけない大学です。自分で自分を鍛える必要がありますので、大学が何かやってくれるなどと期待するのはちょっと筋違いになります。自分で主体的に学ばないといけません。二人もそれぞれの興味に合わせて、オープン科目を受講したでしょう?

卒業生
はい。他学部で開講されているファイナンスの授業を取りました。国際教養学部の授業は英語で行われるので、日本語が恋しくなる気持ちもあったのですが(笑)。

大学生
それはあると思います。私もオープン科目の経済を受けました。留学先でアメリカの経済システムや年金システムをもとに勉強したこともあり、英語で学んだ知識が自分の基盤になっていましたので、例えば専門用語などを日本語に置き換えたときに、どのように言ったり、説明するのが正しいかということに疑問を感じていました。将来日本の企業で働くことを思うと、日本語で日本の経済について学ぶことも必要不可欠だと思いました。

先生
その通りですね。日本とアメリカでは金融や財政のシステムが全く違いますので、特に金融政策は英語だけで勉強していると足元をすくわれることがあります。就職のことを考えると、日本語での授業も受けた方が良いでしょう。私のゼミでは日本語も用いますが、それはこうした懸念への対応という側面もあるのです。

ゼミについて詳しく教えてください。


卒業生
私が在籍していた頃、ゼミ生は計40人で大きなゼミでした。一人一人意欲が高く、勉強に取り組む姿勢もすばらしい方が集まっており、周囲から良い刺激を受けました。また、卒業後も同じ金融機関で働いている同期や先輩方と話す機会が多く、強い絆を感じています。相談する相手が得られたことは非常に良かったと思います。

大学生
本当に成長できる場だと思います。

先生
ちなみに、ゼミ生の選抜は学生が中心となり、行います。これは代々続いていることで、先輩は責任を持って後輩の面倒を見なさいと話しています。

卒業生
学生が学生を選ぶというなかなか変わった手法なんですが、これも仲が良いのと関連していて、自分たちの色に合い、このゼミに入っても後悔しないだろうという視点で学生を選ぶので、どの学生もゼミに入ってから溶け込みやすく、一段と結束が強くなるんだと思います。

先生
それから、これは私の工夫なのですが、研究に関しては、自分のオリジナルの研究をしなさい、人との差異化・差別化をしなさいと教えています。そのためには何が必要かというと、先行研究や関連する研究に触れて、既存のそれらの結論を理解しなければなりません。そこから自分の新たな切り口を探す、それがオリジナル研究です。
そこで比較的簡単な視点が2つあります。一つはある時間の軸、もう一つは場所の軸で、これらは一番ミニマムな区切り方です。例えば先行研究で1960〜1970年代、あるいはイギリスについてある研究の結論が導き出されていたとします。それならば、それを2000年から2010年まで時間を伸ばすと何が成り立つか、これがまず時系列分析ですね。もう一つは横断分析と言いまして、例えばそれが日本やアメリカではどう成り立つかを考えていきます。
先行研究はどのような前提条件で行われていて、どのような問題点を出発点としているのか、そして、それを自分の視点・論点で考えた時にどのように話が広がっていくか。オリジナル研究を行うとはこのような意味合いです。私のゼミでは、全員の研究テーマが異なり、同じテーマは何一つありません。だから面白いですね。

 

 

●就職活動、仕事について




卒業生の進路の特徴は何ですか?


先生
グローバルな仕事を希望するのが特徴です。例えば金融や商社、それからメーカーに行くとしても、国際業務に就きたいと思っている学生が多いです。

大学生
なかには、国連などの国際機関に行きたいという人もいますね。

先生
そうですね。それから大学院進学は全体の15%程で、海外と国内が半々ぐらいです。2013年4月より本学に国際コミュニケーション研究科が設置されましたので、これからは大学院進学者がもう少し増えるのではないかと思います。うちのゼミでも、毎年1名程度は大学院に行きます。

長牛さんはどのような就職活動をされましたか?


卒業生
証券、銀行といった金融関連のみ受けました。結局エントリーシートを出したのは10社程、面接を受けたのは3、4社で、自分の行きたいところ以外は受けませんでした。就職氷河期と言われる中、周囲と比べると少なかったと思います。

大学での学びは今の仕事にどのように活きていますか?


卒業生
どういった物事の視点を見る際にも経済学の基礎は必要となりますので、ゼミや講義で経済学を一から重点的に学べたことは今の仕事に役立っています。
金融機関に勤めていますので、当然いろんな業界の方と仕事をしなければいけません。様々な業界がどういう状況にあって、もっとマクロ的な視点で日本の経済がどのような状況にあるのかといったことを把握する際には、大学での学びが活きているなと実感します。


仕事の大変なところ、またやりがいは何でしょう?


卒業生
大変な面もやりがいも表裏一体だと思います。非常にスピード感が求められ、また一分一秒を争う仕事になりますので、絶えず集中力を保つことが必要です。集中していかにミスなくすばやく仕事をしていくかというところが大変であり、またそれがうまくいくとやりがいにもなります。

ゼミの同期の方々はどのような業界に進みましたか?


卒業生
金融と商社が非常に多く、その2業界だけで6割、7割を占めていました。

先生
たしかに金融と商社に進む学生が多いです。特に多いのは丸紅で、すでに3人か4人程います。

卒業生
これは仲が良いからこそだと思いますが、ゼミ内でも就職活動の対策をしていました。先輩方も相談にのってくれましたし、就職活動を早く終えた同期に模擬面接をしてもらいました。

盛さんは3年生ですね。どういった業界を志望されていますか?


大学生
商社や金融関係を考えていて、将来的に東南アジアへの進出を計画している企業を重点的に見ています。ゼミ内部では、こういうセミナーがある、など情報交換を頻繁にしています。また、OB訪問でゼミの先輩方を訪問させてもらうことも多いですし、ゼミ生同士でエントリーシートを添削しようという話にもなっています。景気が回復基調にあり、先輩方の時よりも良い状況だと思いますので、頑張りたいです。

 

 


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