どーんとこい!中学入試の算数
第9回 旅人算
2017.9.28
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大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。
でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。
今回のテーマは、旅人算です。速さが入ってくることから、苦手にする方も多いことでしょう。
難関校入試で差がつきやすい単元は、何と言っても目に見えないものを問う問題。
速さと空間図形は、問題を作成する側からすると、格好の題材です。
旅人算には、実はいろいろあり、時計算もそのひとつ。長針が短針を追いかけると考えればりっぱな旅人算です。
今回は、いろいろあるなかでも典型的な問題を紹介します。
旅人算を解くときのコツですが、まずは視覚化することが大事です。
・問題文をよく読んで図をかいてみる。わかったところに数値などを入れていく。
これは図形問題を解くときにも言えることですね。そして、
・どちらが速いのかなど、大小関係に気をつける。
意味を考えて計算することは当たり前のことですが、大小関係に気をつけるとつまらないミスを防ぐことができます。
たとえば、同じ距離を進むのに、AはBより時間がかかる。これはAのほうが遅いことを意味します。
比で表されるときなど逆と勘ちがいしやすいので注意しましょう。
それでは、早速問題を見ていきます。
問題
ひょうたん島の周遊コースで、なかよし公園からのび太が時計まわりに、アスレチック広場から静香ちゃんが反時計まわりに同時に出発しました。
静香ちゃんの歩く速さは毎分40mで、出発後40分ではじめて2人は出会い、のび太はその50分後にアスレチック広場を通過しました。
2人が2回目に出会ったあと、のび太が60分後になかよし公園に戻ってきたとき、周遊コース1周の道のりは何mでしょうか。
ただし、のび太と静香ちゃんの歩く速さは一定とします。
ヒント 図をかいてみて、問題文からわかることをかき入れ、のび太の歩く速さを求めましょう。はじめて2人が出会ってから、2回目に出会うまでの状況に着目するとよいでしょう。 (参考) 2017年度大阪星光学院中学校 第5問
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それでは、さっそく解答を確認してみましょう。
解答・解説はこちら
解答
なかよし公園をA、アスレチック広場をB、はじめて出会った地点をC、2回目に出会った地点をDとして図をかくと、下図のようになります。このときのび太は、AからCまで40分、CからBまで50分かかっていますので、AからCよりもCからBのほうが遠いことがわかります。また同じ時間(40分)で、のび太はAからCまで、静香ちゃんはBからCまで歩いていますので、静香ちゃんの歩く速さのほうが速いことがわかります。
ここで、AからCまでの道のりと、BからCまでの道のりの比は、のび太の歩くのにかかった時間から
40:50=4:5
です。したがって、同じ時間(40分)にのび太と静香ちゃんの歩く道のりが4:5だったことから、速さも比例して4:5になります。すなわち、のび太の歩く速さは、毎分
40×=32(m)
となります。
次に、ひょうたん島の周の長さを求めるために、CからAを通ってDに行くまでの道のりを求めます。まず、AからCは、のび太が毎分32mで40分かかり、DからAは、同じくのび太が60分かかったことから
32×(40+60)=3200(m)
この部分は、静香ちゃんがのび太に1回目に出会ってから2回目に出会うまでに歩いた道のり(CからAを通ってDまで)です。同じ時間に、のび太と静香ちゃんの歩く道のりは4:5であることから、このときにのび太の歩いた道のり(CからBを通ってDまで)は
3200×=2560(m)
よって、求める周の長さは
3200+2560=5760(m) (答)
となります。
いかがでしたでしょうか。ふだんからこのような問題に慣れていないと難しいかもしれません。
成績が伸びた君と、勉強するときは静かちゃん。
のび太は静香ちゃんが大好きなのですが、そんな2人を想像しながら、出会いのある問題を作りました。
6年生は過去問題などの実戦的な問題にも本格的に取り組む時期ですね。
この問題をきっかけに、お子さまも「勉強するときは静か」で、「成績が伸びた」となることを祈っています。
それでは、また来月にお会いしましょう。
プロフィール
出題・文
学習サポートセンター カズ
Z会の学習サポートセンターで、日夜会員のみなさんからの質問相談に応じている。