どーんとこい!中学入試の算数

第35回 「動かして考える」平面図形の問題

大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。
でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。

今回は市川中学校の入試問題の類題です。中学校以降で習う平面図形の問題では、補助線を引いて考えることが多く、「図形を別の場所に動かす」という作業になじみのない保護者の方も多いかもしれません。しかし、「動かして考える」のがポイントとなる出題は、中学受験の算数ではたびたび見られます。「動かして考える」ことを知らずに解こうとすると、解き方をひらめくことはなかなか難しく、時間ばかり消費してしまうかもしれません。難関校をめざす方はぜひここでマスターしておきましょう。

問題

図のようなAB=AD、BD=CD、角ABCが120°である四角形ABCDがあり、点EをBCとEDが垂直となるようにBC上にとると、AEの長さが6cmになりました。アとイの角度をそれぞれ角BAE、角BCDとするとき、次の問いに答えなさい。

(1)イの角度がアの角度の5倍の大きさになるとき、アの角度を求めなさい。

(2)四角形ABEDの面積を求めなさい。

ヒント

(1)BD=CDから、三角形DBCは二等辺三角形です。したがって、角DBCがわかれば角イも同じ角度になります。

(2)三角形ABEを動かして考えてみましょう。

(参考)
2019年度市川中学校 第3問

解答・解説はこちら

解答

(1)

AB=AD、角BADは直角ですから、三角形ABDは直角二等辺三角形です。したがって、角ABDは45°です。よって、角ABCが120°だから、120-45=75により、角DBCは75°になります。

次に、三角形DBCに着目すると、BD=CDから三角形DBCは二等辺三角形です。よって、角DBCと角イは等しく75°になります。角イが角アの5倍の大きさであることから、角アは75÷5=15より

   15° (答)

となります。

 

(2)

四角形ABEDにおいて、角BADと角BEDはともに直角だから、角ABEと角ADEをあわせた角度は180°になります。したがって、三角形ABEを図のように移動すると、

三角形AEFは直角二等辺三角形です。よって、この面積を求めればよいので、

   6×6÷2=18

より、四角形ABEDの面積は

   18cm2  (答)

冒頭でお伝えしたように、「動かして考える」問題の解き方を初見でひらめくのは、なかなか難しいものです。このように、「知っていれば解けるけれど、知らないと解くのはかなり厳しい」という問題は、本番の入試でもたびたび出題されます。試験で難しい問題に出合ったときは、少し考えてみて試行錯誤できそう(手を動かすことができそう)であればそのままチャレンジしてもよいですが、「何をしたらよいのかわからない」状態になったときには、その問題は捨てて次の問題に進む、と決めておくとよいでしょう。

さて、このコーナーは次回12月26日の更新が最終回になります。最終回は、中学受験で頻出の「その年の西暦」を利用した問題をいくつか出題します。中学受験では、「その年の西暦」に限らず、和暦や日付など、何かに関連した数字をどこかに使った出題がよく見られます。出題者の遊び心なのでしょうが、気がつけると楽しいですよね。

それでは、また来月お会いしましょう。

「さぽナビ」中学受験コース向け記事 アンケート

本アンケートは、「さぽナビ」中学受験コース向け記事において、より充実した情報提供のために役立てさせていただきます。
ぜひ、中学受験コースを受講している皆さまの声をお聞かせください。

まだZ会員ではない方

プロフィール

出題・文

学習サポートセンター カズ

Z会の学習サポートセンターで、日夜会員のみなさんからの質問相談に応じている。

関連リンク

おすすめ記事

第36回 2020を使った小問6題第36回 2020を使った小問6題

どーんとこい!中学入試の算数

第36回 2020を使った小問6題

第34回 あまり見ないあまりのある問題!第34回 あまり見ないあまりのある問題!

どーんとこい!中学入試の算数

第34回 あまり見ないあまりのある問題!

第33回 「ゴールから逆算する」筑駒の類題第33回 「ゴールから逆算する」筑駒の類題

どーんとこい!中学入試の算数

第33回 「ゴールから逆算する」筑駒の類題


Back to TOP

Back to
TOP