どーんとこい!中学入試の算数
第16回 過不足算と保育士不足
2018.4.26
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大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。
でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。
こんにちは。学習アドバイザーのカズです。さて、今回は過不足算の問題です。
過不足算は、Z会中学受験コースでは5年生3月号で学習する内容で、「1人○円配ると△円余るが、1人●円配ると▲円足りない……」のような条件をもとに、全体の金額や人数などを求めます。中学受験の算数では、面積図を使って解くことが多いです。
典型的な「算数の問題」のようですが、実は、過不足算の考え方が役立つシチュエーションは、身近なところにもあるんです。
たとえば、最近話題の「保育士不足」の問題。自治体が、独自に予算を組み、条件を満たす保育士に補助金を出すなどして確保につとめている場合もあるようですね。保護者の方のなかには、保活の大変さを味わった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそんな「保育士不足」を題材にして出題してみました。
問題
保育所を数か所経営する社会福祉法人「あつまらない会」では、保育士確保のために今年度から補助金を支給することになりました。
その金額は、年間1人に対し
40万円ずつ支給すると290万円があまり、
60万円ずつ支給すると30万円しかもらえない人が1人いて、12人が1円ももらえなくなります。
このとき、対象となる保育士の人数と補助金の予算額はいくらでしょう。
※この問題はフィクションです。実在する団体ではありません。ご承知おきください。
ヒント よくある典型的な過不足算の問題です。面積図をかいて考えるのがよいでしょう。 (参考) 2018年度公文国際学園 第3問(1) |
解答・解説はこちら
解答
横を支給額、たてを人数、そして求める保育士の人数を□人として面積図をかきます。
・40万円ずつ支給すると、290万円あまり、
・60万円ずつ支給すると、1人が30万円で12人がもらえない
ことから、以下のようになります。
↓ 左右の面積図を重ねあわせると……
上の2つの図の面積が等しいことから、青い部分と赤い部分の面積が等しいので、
(青の面積)=(あ)+(い)+(う)
=290+12×40+(40-30)
=780
(赤の面積)=(え)-(お)
=□×(60-40)-13×(60-40)
=□×20-260
つまり、□の20個分が780と260をあわせたものだから
□=(780+260)÷20=52
したがって、支給対象の保育士の人数は52人であり、補助金の金額は
40×52+290=2370
以上から、求める答えは
保育士は52人、補助金は2370万円 (答)
となります。
いかがでしたでしょうか。
身近な社会問題の解決策を考えるとき、算数・数学は非常に役立つ道具になります。お子さんが算数の勉強に苦労していたら、算数を学ぶ意義について話してみてもいいかもしれませんね。
算数・数学を学ぶことが、将来の課題解決にもつながるんだとお子さまに感じていただければ、このコーナーを執筆するカズとしては、こんなにうれしいことはありません。
それでは、次回もお楽しみに!
まだZ会員ではない方
プロフィール
出題・文
学習サポートセンター カズ
Z会の学習サポートセンターで、日夜会員のみなさんからの質問相談に応じている。