どーんとこい!中学入試の算数

第3回 計算問題の作り方

大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。

でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。

こんにちは。学習アドバイザーのカズです。新学期に向けて心を新たに計算問題からスタートします。内容は2016年度第1回の応用で、工夫をすればきれいに解ける計算問題です。

今回は特別に、解答解説の中で「計算問題の作り方」をご紹介します。毎年、計算問題に気合いの入った学校として有名なのは灘中学校ですが、中学校の先生方は、どんなことを考えて問題を作っているのでしょうか。

計算問題を作るときのカズのこだわりは、「美しさ」です。一見、ばらばらに見えるパズルのピースが、ひとつの芸術作品に仕上がるような感動を味わっていただきたい。問題を解いて、それを感じることができる人は伸びると思います。おもしろいと思うかどうかが大切です。それではさっそく、解いてみましょう。

問題

  • 大問1
    次の計算を、工夫して求めなさい。

(1)

(2) 

 

  • 大問2
    次の計算を、工夫して求めなさい。

           2017×2017×2017-2016×2017×2018

 

 

(ヒント)

  • 大問1

電卓を使っても無理と思う方は、まずは昨年の問題を解いてみてください。
ポイントは、昨年と同じく「仲間を見つける」です。こういった問題を解くときのコツは、大きな数を素因数分解してから考えることです。 

  • 大問2

答えを求めるのは難しくないように思います。上手な解き方を考えてみてください。分配法則(a×c+b×c=(a+b)×c)は、Z会の中学受験コースでは、用語は学習しませんが、3年生7月号で計算の決まりとして学習する内容です、

(参考)
大問1
2016年度海陽中等教育学校 帰国生入試Ⅰ 第1問(1)
2017年度海陽中等教育学校 特別給費生入試 第2問
大問2
2016年度甲陽学院中学校 第2日 第1問(1)

 

 

解答・解説はこちら

  • 大問1

(1)まずは、計算式の分母に出てくる2けたの合成数(素数ではない数)を素因数分解してみましょう。

   14=2×7
   26=2×13
   28=2×2×7
   44=2×2×11
   88=2×2×2×11
   104=2×2×2×13

末尾の数字に注目すると、7と11と13に何か匂ってきませんか? そこで、7、11、13の仲間に分けて考えてみます。

・7の仲間
   

・11の仲間
   

・13の仲間
   

・それ以外
     

以上から

   (与式)==1 (答)

 

(2)(1)と同じように31以上の合成数を素因数分解すると

   39=3×13
   111=3×37
   117=3×3×13
   279=3×3×31
   351=3×3×3×13
   837=3×3×3×31
   999=3×3×3×37

こんどは、13、31、37の仲間に分けて考えてみます。

・13の仲間 
   

・31の仲間
   

・37の仲間 
   

・それ以外
   

以上から

   (与式)==1(答)

 

  • 大問2

分配法則(Z会の中学受験コースでは、用語は学習しませんが、計算の決まりとして学習する内容です)を使って、式をまとめます。

              2017×2017×2017-2016×2017×2018
        =(2017×2017-2016×2018)×2017

ここで、図1の赤の長方形と青の長方形の
面積の差は2017-2016=1より

              (与式)=1×2017=2017 (答)

まさに2017年にふさわしい問題でしたね。

さて、いかがでしたでしょうか。いずれも答えがさわやかでした。

ちなみに、計算問題は、次のような考え方をして問題を作ります。大問1では、(1)が2進法、(2)が3進法表記を使って作った問題です。(1)では、2の倍数でない3つの互いに素な数7、11、13を選びます。

   7=1+2+4
   11=1+2+8
   13=1+4+8

ですから、
   

これを足すと答えがを加えました。あとは、分母の小さい順に並べ替えればできあがりです。
(2)についても、同じ考え方で作っています。

 

 最後に、入試問題を作る先生方は、どこから題材を拾ってくるのでしょう。基本的には他校の入試問題を研究するようですが、大学の入試問題をヒントに問題作成することもあるようです。今回、甲陽学院中学校の入試問題を見ていて、東大の入試問題からヒントを得たのではないかと思うところがありました。

2016年度甲陽学院中学校 第2日 第1問(1)
  ⇒ 2013年度東京大学数学(理科)第5問
     n3-(n-1)n(n+1)=n
のヒントをここから得たのではないかと思いました。

 

2016年度甲陽学院中学校 第2日 第1問(2)
  ⇒ 2015年度東京大学数学(理科)第5問

2016は2で何回割り切れるかというところから思いついた問題のように感じました。甲陽学院の入試の答えも0が続きます。
※(理科)は、理系向けの出題という意味です。

いずれもその年に話題になった入試問題です。なお、確かめるすべはありませんが、はずれていたらごめんなさいね。興味のある方は、ぜひ実際の入試問題を確認してみてください。

 

プロフィール

出題・文

学習サポートセンター カズ

Z会の学習サポートセンターで、日夜会員のみなさんからの質問相談に応じている。

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