カコモンにTRY!
慶應義塾中等部の国語にTRY!
2020.11.26
5.3K
「カコモンにTRY!」は、過去の中学入試で出題された問題のなかから、中学受験コースの皆さまに挑戦していただきたい問題を紹介するコーナーです。
ぜひ、お子さまと一緒に取り組んでみてください。
※ 5年生以上で習う漢字には文章の後に読み仮名(がな)をまとめています。
今回の問題をご紹介する理由
ことわざ・故事成語は入試でも頻出ですので、早くから取り組んでいる方も多いでしょう。とはいえ数が多いため、丸暗記しようとして挫折しがちです。そうならないために、意味や言葉の成り立ちと関連づけて覚えましょう。そうすれば、正確な知識として定着させることができます。
今回紹介するのは、問題文の中で使われていることわざ・故事成語とよく似た内容のものを、語群から選択する問題です。似た内容のことわざを関連づけて学べる、よい問題となっています。ぜひ解いてみてください。
■ 読み仮名
故事成語(こじせいご)、頻出(ひんしゅつ)、挫折(ざせつ)、正確(せいかく)、知識(ちしき)、紹介(しょうかい)、似(に)た、内容(ないよう)、語群(ごぐん)、選択(せんたく)、解(と)いて
※ 5年生以上で習う漢字には文章の後に読み仮名をまとめています。
- 今回のレベル ★★★
★:3・4年生も理解できる基礎的な問題
★★:4・5年生ががんばって解ける問題
★★★:5・6年生向けハイレベル問題
■読み仮名
理解(りかい)、基礎的(きそてき)
※ 5年生以上で習う漢字には文章の後に読み仮名をまとめています。
問題
2020年度 慶應義塾中等部 国語 大問三
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■読み仮名
体格(たいかく)、優等生(ゆうとうせい)、簡単(かんたん)、諸君(しょくん)、比較(ひかく)
※ 5年生以上で習う漢字には文章の後に読み仮名をまとめています。
攻略法
【解答】
ア 5
イ 9
ウ 2
エ 6
オ 7
【解説】
まずは、かたかなの部分を漢字に直しながら、意味を確認しましょう。使われている語句には必ず意味があります。どうしてその語句が使われているのかを考えてみると、全体の意味がわかりやすくなります。それでは、各問について見ていきましょう。
アの文に登場する「歳月人を待たず」という故事成語は、「年月の流れは非常に早く、人を待ってくれない」、つまり「現在の時を大切にして努力するのがよい」ということを表しています。この内容に合う故事成語は5の「光陰矢のごとし」です。「光陰」は月日を意味し、月日が経つ早さを、飛ぶ矢の速さにたとえています。
イの文に登場するのは、「柔よく剛を制す」という故事成語で、「柔軟性のあるやり方で、弱い者がかえって強い者に勝つ」ことを意味します。この内容に合うことわざは9の「柳に雪折れなし」です。柳は枝が柔らかく、雪が積もっても他の木のようには折れにくいことから、「柔らかくしなやかなものは、堅いものよりもかえって物事に耐えることができる」ことを意味します。他にも「柳」を使ったことわざで、「柳に風」があります。意味は、柳が風になびくように「逆らわずに受け流すこと」です。このように「柳」は、「柔軟」「しなやか」の意味でよく使われるということも覚えておきましょう。
ウの文に登場するのは、「弘法も筆の誤り」ということわざです。書道の名人である弘法大師にも、時には書き誤りがあるということから、「どんなにその道に優れた人にも失敗はある」ことを意味します。この内容に合うことわざは2の「河童の川流れ」です。その道に優れた人の失敗を、泳ぎの得意な河童が水に流されることにたとえています。「猿も木から落ちる」も似た意味のことわざです。
エの文に登場するのは、「登竜門」という故事成語で、中国の竜門という急流を登った鯉は竜になるという伝説から、「出世や成功のための関門」を意味します。この内容に合う語句は6の「立身出世」で、意味は「成功して有名になり、高い地位につくこと」です。
オの文に登場するのは、「提灯に釣り鐘」ということわざです。問題文にもある通り、見た目の形は似ているが重さが全く異なることから、「物事がつり合わず、比較にならない」ことを意味します。この内容に合うことわざは7の「雲泥の差」です。大きな差があることを、雲(天)と泥(地)にたとえています。
もし、ことわざ・故事成語の意味がわからない場合は、問題文の文脈から意味を推測することもできますよ。問題文全体に目を通すようにしましょう。
■読み仮名
確認(かくにん)、語句(ごく)、歳月(さいげつ)、非常(ひじょう)、現在(げんざい)、光陰(こういん)、経(た)つ、柔(じゅう)、剛(ごう)、制(せい)す、柔軟性(じゅうなんせい)、枝(えだ)、柔(やわ)らか、堅(かた)い、耐(た)える、逆(さか)らわず、弘法(こうぼう)、誤(あやま)り、大師(だいし)、優(すぐ)れた、得意(とくい)、猿(さる)、登竜門(とうりゅうもん)、鯉(こい)、提灯(ちょうちん)、釣(つ)り鐘(がね)、異(こと)なる、泥(どろ)、文脈(ぶんみゃく)、推測(すいそく)
※ 5年生以上で習う漢字には文章の後に読み仮名をまとめています。