模試活用のABC
第7回 偏差値・模試結果
2023.7.27
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中学受験に欠かせない模試の受験。しかし、いつから受験すればよいのか、何回受験すればよいのかなど、迷うことも多いのではないでしょうか。この連載では、模試を上手に活用するために、模試受験の基本をご紹介していきます。
※2022年度の連載と同じ内容で、日程・情報を更新してお送りしています。
第7回 偏差値・模試結果
前回は「模試受験後の取り組みと復習」をご紹介しました。今回は、模試の結果の読み方をご説明していきます。
結果が出たら、まずすること
試験が終わってしばらくすると、成績表と採点済み答案が郵送やWeb上で見られるようになります。結果が出たらすぐ、お子さまと一緒に確認しましょう。そして点数や順位よりも先に、どの教科・問題ができたのか、また逆にどこができなかったのかを見るようにしてください。教科によって平均点がばらつくこともあるので、得点と偏差値をセットで確認しましょう。教科間で比較してできなかった教科は、どんな問題のためにふるわない結果になったのかを確認します。
また、成績を見ると、ついできなかったところにばかり目がいきがちです。もちろん、できなかった部分については対策が必要ですが、具体的な話をする前にまず、「こんなに難しい問題もできたんだ」「算数は平均よりも高い得点が取れたね、がんばったね」という励ましがあると、子どもにとっては大きな力になり、弱点の補強にも前向きになれます。
模試で大切なことは、「成績の推移」を確認することです。大きく足を引っぱっている教科があるなら、できない分野・形式を克服するための課題を学習計画に組み込むなどして、補強していきます。
また、「絶対にまちがえない」分野や得点の目標ラインを決めることも、勉強に対するモチベーションを上げるためには有効です。
そして次の模試が近づいてきたら、問題を解く手順や時間配分についての反省を見直し、入試当日に向けて時間内に解ききるスキルも磨いていきましょう。
中学入試で使われる「偏差値」とは
さまざまな学校を「偏差値」で一覧にした表を目にされたことがあるかと思います。これらは模試を主催する団体などにより作成され、お子さまの模試の成績をもとに志望校や受験校を選定したり、合格判定のある模試で判定を知りたい「登録校」を選ぶ際に活用したりするものです。
偏差値の表には、男子女子共学別や入試日ごとに表にしてあるもの、その年の入試傾向を予想した「予想偏差値」、入試結果をもとに作成される「結果偏差値」など、さまざまな種類があります。しかし、こういった「偏差値表」を利用される際には、この「偏差値」の特性をきちんと理解していただく必要があります。
偏差値は、特定の母集団の平均を「50」とし、その集団のなかでの自分の位置を知る指標です。
首都圏の大手模試主催団体の多くは、主催模試のなかでの志望者の成績・動向をもとに、入試日別の合格可能性80%の予想偏差値の表を作成しています。たとえば、日能研の模試では合格可能性が80%の偏差値を「R4偏差値」として利用しています。首都圏以外の地域でも、「偏差値」をもとに学校ごとの合格基準を出す模試が多く、志望校選びに便利なツールとなっています。
各種の偏差値表の数値は母集団による違いがあるということを頭に入れたうえで、上手に活用しましょう。
◆日能研 2023年度結果R4偏差値一覧
◆四谷大塚 2023年度合不合判定テスト偏差値一覧
ここで気をつけなければならないのは、偏差値は「その模試の受験者平均」からどの程度離れているかを表す数値にすぎないため、母集団である受験生の偏りによって、数字が変わってくるということです。たとえばお子さまが同じ配点の模試で同じ得点をとったとしても、その模試の受験者全体の学力レベルが高く平均点が高ければお子さまの偏差値は低めに、学力レベルが低く平均点が低ければお子さまの偏差値は高めに出ます。また母集団が異なるため、A社の模試の成績表で出てきた偏差値と、B社の偏差値表の偏差値を比べて合格可能性をはかることはできません。
ただ、同じシリーズの別の回の模試でしたら、受験者集団はかなり近いと考えられますから、成績の推移を見るには同シリーズの模試間で見比べるとよいでしょう。
8月末までに受験可能な模試【首都圏】 【関西】 |
次回は8月24日更新予定です。6年生後半の模試について、留意する点をご説明します。