特集
親子で楽しく体を動かそう~コツを知って挑戦!「走る」「縄跳び」「逆上がり」~(2)
2022.8.25
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「縄跳び」を上手に跳ぶコツとは
――続いて、縄跳びを上手に跳ぶコツを教えてください。
次の9つのポイントに注意すると、上手に跳べます。
- 身長に合った長さの飛び縄を用意する。真ん中を踏んで伸ばすと持ち手が腕の高さになる長さがちょうどいい。
- 手のひらが上を向くように持つ。
- 連続ジャンプに手首の回転を合わせる感覚で跳ぶ。
- 「できるだけ高く跳ぶ」ことは必要ないのでジャンプは縄が通るスペースができればよい。
- かかとを地面につけず、ひざもほとんど曲げない。
- ジャンプのタイミングに合ったリズムで縄を回す。
- 腰の横にグリップを固定して手首で回す&脇をしめる(×腕全体で回す、腕を広げる)。
- 一定のリズムで、まっすぐ上へ、同じ場所で跳ぶ。体の各部はリラックスさせる。
- 下を向かず、まっすぐ前を見る。
――縄跳びがうまくできない原因には、どのようなものが多いでしょうか?
跳ぶことと縄を回すことを同時にするのがうまくできない場合が多いのではないでしょうか。「跳び縄を回して跳び越す」ではなく、「ジャンプした脚と地面とのすき間に跳び縄を通す」という感覚で、連続ジャンプをしているところにたまたま縄を回す動きが加わったという意識で練習するといいと思います。
練習の仕方としては、まっすぐ前を見て連続ジャンプができるようになったら縄を回すようにする、あるいは、自分のジャンプのペースに合う音楽に合わせて縄跳びの練習をするとよいですよ。
――跳んでいるうちに跳ぶ位置がずれていく場合、何に気をつけるといいのでしょうか?
片手ずつ別々の縄を持って空振りをさせながら、体の軸を動かさずに同じところでジャンプだけをする練習をするといいですよ。なぜ位置がずれるかというと、縄をくぐることに意識が集中してしまうからです。高くなくていいので、リズムよく、同じペースでジャンプできることがまずベースにあって、その上で、ジャンプのタイミングに合ったリズムで縄を回し(ポイント6)、ジャンプした脚と地面のすき間に跳び縄を通せる(ポイント3)ようになるとよいでしょう。
――あや跳びが上手にできない場合はどうすればいいでしょうか?
この場合も、跳ぶことと回すことを分けて練習するとよいでしょう。具体的には、縄を一つに束ねて持ち手を両手で持って八の字に回し、その動きにあわせてジャンプする練習をします。その動きに慣れれば、縄を通常の持ち方で持って、腕を交差して跳ぶことに移ると、あや跳びができるようになっていると思います。
――大縄跳びの跳び方のコツはいかがでしょうか?縄に上手に入っていくコツと、入ったあと上手に跳び続けるコツを教えてください。
縄に上手に入っていくには、自分の前を縄が通ったらすぐに入ることです。縄が地面についてから入るのでは遅いです。そして、入ったあと縄に合わせて跳び続けるには、周りの人とジャンプのタイミングを合わせるのが手っ取り早いと思います。
「逆上がり」のコツとは
逆上がりは、次の4つのポイントに注意しましょう。
- 上から鉄棒を持ち(順手)、親指はほかの指の上に置いてしっかり握る。逆手はNG。逆手で持つと、回ったあと鉄棒の上で止まるときに腕が伸びにくくなってしまいます。
- 脚を上げる方向は前ではなく上。脚と一緒におなかも鉄棒を越えるつもりで思い切り地面を蹴る。
- おなかを鉄棒にくっつけて回転する。上に蹴って腕を引きつければおなかが鉄棒にくっつき、あとは回るだけになる。
- あごを引く。あごを引くことで背中が丸まり、自然に鉄棒の上で回れる。逆に、あごが上がると体が反って失敗する。
――脚を蹴り上げたあと、腕を引きつけておなかを鉄棒にくっつけるのが難しい点だと思います。この動きのポイントを教えてください。
肘を曲げずに、手首を腰に引きつけるのがポイントです。肩の動きを使って腕を下に振り下ろす力が入れば、おなかを鉄棒に近づけることができます。
――鉄棒と腰が近づいたものの、脚が上がりきらなかったり、回りきれずに降りてしまったりする場合はどうすればいいでしょうか?
立った状態で鉄棒と腰を近づけて背中からバスタオルを巻き、両手で持って回る練習をしましょう。すると、腰が鉄棒から離れすぎず、腰を鉄棒に近づけるコツがわかってきます。コツがつかめてきたら、徐々にタオルを長くしていきましょう。そのうちタオルがなくてもできるようになります。
鉄棒と腰が離れてしまうことさえ改善できれば、逆上がりはできるようになりますよ。
――では最後に、お子さんが少しでも運動を好きになったり、できる動作を増やせたりするために、保護者の方はどのようなかかわり方をするとよいでしょうか?アドバイスをお願いします。
いちばんは、保護者の方も一緒に体を動かすことです。保護者の方の運動の様子がおもしろそうに見えたり、自分の体を自在に動かせることは楽しいと伝わったりしたことで子どもたちもやる気になるというのが理想です。
親子で体を動かすのにおすすめなのが、キャッチボールと相撲です。キャッチボールは「投げる」という動作の基本になりますし、相撲は相手を押すときの体の動かし方や、押されたときのかわし方など、体の使い方がわかります。
いずれにしても、保護者のみなさんには、運動と勉強は別物ではなく、どちらもやればできるようになるものだということを理解していただきたいですね。教科学習と同じで、運動も練習すればするほどできるようになるもの。ぜひ子どもと一緒に楽しんでほしいと思います。
ーーありがとうございました。
プロフィール
深代千之(ふかしろ・せんし)
1955年群馬県生まれ。日本女子体育大学学長。東京大学名誉教授。博士(教育学)。鹿屋体育大学、財団法人スポーツ医・科学研究所勤務から東京大学大学院総合文化研究科教授を経て、現職。スポーツバイオメカニクス研究の第一人者として、トップアスリートの動作解析から子どもの発育発達まで幅広く研究。著書に『すぐできる!かけっこ とびばこ さかあがり』(集英社)、『新・運動会で1番になる方法 増補改訂版』(ラウンドフラット)など多数。