特集

スッキリ片づけて新学年に! 「選ぶ」から始める子どもの片づけ力UP!(1)

「片づけられる子になってほしい」と願いつつも、子どものモノは散らかるばかりで、保護者はイライラ……。なかなかうまくいかないご家庭も多いのではないでしょうか。進級を控えた春休みは、教科書やノートが入れ替わり、学校から持ち帰った作品もどっと増える時期。そんなときこそ、子どもの片づけを見直すチャンスです。今回は、子どもが楽しくできる「選ぶ片づけ」を推奨する藤原友子さん(整理収納アドバイザー)に、子どもの片づけ力がアップする方法をうかがいました。

(取材・文 竹内 郁子)

目次

「片づけなさい」は逆効果!? モノがあふれる今、子どもが管理できる量を超えている

———「子どもが部屋を片づけてくれない」と悩む保護者が大勢います。結局がまんできずに保護者が片づけてしまったり、「片づけないなら捨てる」と言って脅してみたり……。

大人もそうですが、とくに子どもは面倒くさいことが嫌いですからね。わが家にも4人の子どもがいるのですが、かつては日々散らかり放題。整理収納アドバイザーの仕事を始める前は、私も毎日のようにイライラして「片づけなさい!」と言っていました。けれど「片づけなさい」は命令形ですから、頭ごなしに言われれば言われるほど子どもに反発心が生まれます。そして「片づけは面倒で大変なこと」と考える、片づけ嫌いな子になってしまうのです。

———「片づけなさい」という言葉は、逆効果なのですね!

そもそも「片づけなさい」と言われても、子どもは「片づけって何だろう」「何をどうすればいいのかわからない」と思っているかもしれません。小さな頃からもっと具体的な言葉で「あなたと同じで、おもちゃも遊んだ後はおうちに帰るんだよ」「元に戻せば、明日も遊びやすいよね」と伝え続けることが大切です。ただ困ったことに、子どもの成長とともに子どものモノは一気に増えてくるんですよね。とくに少子化の今、いろいろなところからモノをもらいすぎていて、子どもが自分で管理できる限界を超えています。子どもが管理できるモノの量って、実はほんのわずかなんですよ。その状況で片づけを強要するのは、ちょっと酷だと思うのです。保護者は「片づけなさい」と言う前に、「そんなに多くのモノを元に戻せるのか?」「子どもへの要求が大きすぎてはいないか?」ということを考えていただきたいと思います。

———片づけようにも、片づけられない状況なのですね。

そこでわが家では「散らかってきたな……」と思ったら、「モノが増えてきたんじゃない? そろそろ不必要なモノがないか、見直そうか?」と、しょっちゅう声をかけるようにしています。子どもは心も体もどんどん成長していきますから、おもちゃも服も学校用品もめまぐるしく変わります。随時、チェックして入れ替えていく必要があるのです。不必要なモノを取り除いて大事なモノだけがきれいに整っている環境になったら、片づけやすいし使いやすいし、気分もいいですよね。そうした片づけの効果を子どもに実感してもらうことが、とても大事だと思います。子どもって自分の大切なモノならわりとちゃんと管理できるんですよ。

———遊んだ後の後片づけのタイミングについては、どうお考えですか?

子どもは遊びながら次々に興味が移りますから、部屋もどんどん散らかりますよね。ただ、遊びが変わるごとに片づけさせるのは、少し窮屈な気がします。子どもにとって遊びは大きな学びですし、熱中するのは当たり前のこと。散らかることに神経質になりすぎて、子どもが遊ぶ姿に喜びを感じられなくなってしまうのは、保護者としてももったいないと思うのです。大らかな気持ちで見守り、後片づけも子どものタイミングに合わせてあげるといいですね。

全部いる! 捨てられない!という子どもには、モノのジャンル別「選抜総選挙」がおすすめ

———実際、どんな手順で片づけたらいいのでしょうか?

保護者は単に散らかっていない状態を目指しがちですが、そうではなく、子どもに「どんな部屋にしたい?」と聞いてあげてください。片づけの具体的なゴールを決めるのです。「友だちと写っている写真を机の上に飾って、受験勉強中で疲れているときに眺めて癒されたい」という子もいれば、「野球の準備が大変だから、さっと準備できる部屋にしたい」という子もいるでしょう。すると「勉強道具と写真以外は、机の上からどかそう」「ボロボロのグローブは邪魔だな」など、いらないモノがわかってくるのです。こうして不必要なモノを手放していくことが片づけの第一歩。ここまでの作業を「整理」と呼びます。しかし実際に捨てようとすると「全部いる!」「どれも捨てたくない!」という子も多いですよね。

———そんなときは、どうしたらいいですか?

発想の転換をして「不必要なモノ」ではなく「好きなモノ」を選ぶ方法に変えましょう。それなら子どもも楽しんでやってくれるはずです。わが家でもよくやるおすすめの方法が「〇〇選抜総選挙」。〇〇の部分には、ぬいぐるみ、電車、文房具、バッグなど、片づけたいモノのジャンル名が入ります。子どもがとくに大切にしている宝モノがあれば、そこから始めましょう。まず、そのジャンルに該当するモノを一か所に集め、子どもに好きな順に並べてもらいます。数が多くて大変な場合は、「すごく好き」「まあまあ好き」「あまり好きじゃない」など、大まかなグループに分けるのでもOKです。順位をつけることで、子どもは全部大事なように見えて、実はモノ一個一個への想いが違うことに気づきます。「これはおばあちゃんに買ってもらったから大切なんだ」「キラキラしているモノが好きなんだよね」といった子どもの想いを、保護者はいっぱい聞いてあげてください。並べ終わったら、「〇位以下のモノは捨てよう」ではなく「〇位まで残そう。するとお気に入りのモノばかり残るね」と、残すモノにスポットを当てた声かけをしてくださいね。「捨てる」という言葉に抵抗する子も多いですから、「そろそろ卒業かな?」という言い方もおすすめです。この総選挙を繰り返し行うことで、子どものモノを選ぶ力は鍛えられていきます。そのうち順番に並べなくても、自分にとって大事なモノは何か、パッと判断できるようになりますよ。

———子どもと保護者で、とっておきたいモノが異なる場合はどうしたらいいですか?

そのときは、モノの持ち主である子どもの気持ちを優先してください。その年齢でしか描けない可愛い絵や高価なモノなど、保護者としては捨てたくないモノってありますよね。子どもが「もういらない」というなら、保護者のモノとして引き取って管理しましょう。

⇒次ページに続く  大事なモノを管理する収納は、子ども主導で考えて作ろう!

プロフィール

藤原 友子(ふじわら・ゆうこ)

4人目の子の出産後片づけのプロとして活動を始めたのに、家は「すぐ散らかってしまう」という矛盾に悩む。子どもとの片づけバトルの経験から「いつもキレイじゃなくてもいい」と開き直り「選ぶ片づけ」を確立。
増え続けるモノを家族で選び抜き「いつもキレイではないが、すぐに片づく家」に小中高4人の子どもと夫の6人暮らし。著書に『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』(マガジンランド)がある。

おすすめ記事

「感じる心」を大切に!親子で理科や科学を楽しもう(1)「感じる心」を大切に!親子で理科や科学を楽しもう(1)

特集

「感じる心」を大切に!親子で理科や科学を楽しもう(1)

子どもの思春期を上手に迎えるために(1)子どもの思春期を上手に迎えるために(1)

特集

子どもの思春期を上手に迎えるために(1)

学力アップの秘訣は「復習」にあり ~復習を習慣づけるコツ~(1)学力アップの秘訣は「復習」にあり ~復習を習慣づけるコツ~(1)

特集

学力アップの秘訣は「復習」にあり ~復習を習慣づけるコツ~(1)

  • Z-SQUARE ホーム
  • 特集
  • スッキリ片づけて新学年に! 「選ぶ」から始める子どもの片づけ力UP!(1)

Back to TOP

Back to
TOP