小田先生のさんすう力UP教室

立方体を切り開こう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、年末年始は冷凍庫の中身を整理していた小田です。お伝えしていた通り、昨年は冷蔵庫を買い替え、冷凍室が大きくなりました。しかし大きくなったのはいいのですが、凍らせておいたけれどもうまく使いきれなかった食材が、やはりいろいろとありました。買うときは「これを冷凍しておくと、あれもできるしこれもできる」なんて考えたりもするのですけどね。いざ実際に使おうとすると、「解凍するのも面倒だし、今度でいいか」となってしまいます。今年は、昨年の反省をいかして、使いやすい食材を重点的に備蓄していこうと思います。 
 さて、今回は立体の問題です。頭の中でイメージできれば、それはそれでいいのですが、慣れていないとなかなか難しいので、ぜひ実際に組み立ててみてください。

 それでは早速行ってみましょう。

Stage23:立方体を切り開こう

例題

立方体(サイコロの形)の箱があります。この箱の一部を(あ)のように青くぬり、辺にそって切り開きました。このとき、色をぬった部分はどうなっているでしょう。(い)の図にぬられている部分を書いてください(一部はすでに書かれています)。

例題の答え

まずは、問題の意味を理解できているかどうか、確認してあげてください。「辺にそって切り開く」というのがイメージできないようでしたら、「(い)を組み立てて(あ)を作る」という問題に読み換えても大丈夫です。もちろん、頭の中でイメージできるのであればそれに越したことはないのですが、慣れないうちは無理せず実際に組み立ててみてください。
答えを書いたら答え合わせをしてあげてください。最初は、単純に合っているかどうかだけ伝えてあげれば大丈夫です。何度も間違うようであれば、実際に組み立ててみるよう伝えてあげましょう。

解いてみよう

Level 1

立方体(サイコロの形)の箱があります。この箱の一部を(A)のように緑にぬり、辺にそって切り開きました。このとき、色をぬった部分はどうなっているでしょう。(1)(2)(3)の図にぬられている部分を書いてください(一部はすでに書かれています)。

 

Level 2

立方体(サイコロの形)の箱があります。この箱の一部を(B)(C)のように赤・青にぬり、辺にそって切り開きました(BとCは、同じ箱を違う向きで見たものです)。このとき、色をぬった部分はどうなっているでしょう。(4)(5)(6)の図にぬられている部分を書いてください(一部はすでに書かれています)。

Level 3

立方体(サイコロの形)の箱があります。この箱の一部を(D)(E)のように赤・緑にぬり、辺にそって切り開きました(DとEは、同じ箱を違う向きで見たものです)。このとき、色をぬった部分はどうなっているでしょう。(7)(8)の図にぬられている部分を書いてください(一部はすでに書かれています)。

解答

Level 1

Level 2

Level 3

さんすう力UPのポイント

5月号で、「図形のセンスとは図形の特徴を感覚的に把握する力のことだ」というお話をしましたね。そこでは平面図形の問題でそのお話をしましたが、今回のような立体図形でも基本的には同じです。平面の図形と同じく、立体を構成する点や線の位置関係を体感的につかみ取る力こそが、「(立体)図形のセンス」です。そしてそれを鍛えるためには、やはり、まず「図形を見る」ことと、さらにそれを「再現する」ことが重要でしょう。今回の問題で扱っている「立方体」は、立体の中では最も基本的な形のひとつです。その立方体をよく見て、よく触れ合い、頭の中にイメージを作ってほしい、というのが今回の問題の狙いです。サイコロなどで「立方体」という形をよく見てはいても、実際に組み立ててみる経験はそこまでないかもしれません。何度も繰り返しになりますが、慣れていないうちは、無理して頭の中だけでやろうとしなくても大丈夫です。むしろ、この機会にぜひたくさん立方体を組み立ててみてください。
さて、今回の問題はもうひとつポイントがあります。図形のセンスについては、11月号でも「形をしっかり見る」練習をすることが大事、という話をしましたね。その際にお伝えした「図形の形や位置関係を言語化する」という意識は、立体図形でも大事です。今回の問題で言うと、たとえば立方体のそれぞれの頂点に名前を付ける、つまり、記号をふってみるのです。

上記のように、(あ)の図の立方体の頂点にAからHまでのアルファベットを割り当ててみます(見えていない頂点がHです)。そうすると、「半分が青くぬられている面」は、面ABCDと面ABFE、面BCGFの3つとわかります。そこで、(い)の図で最初からぬられている面を面BCGFとしましょう(3つの面のうちのいずれかであれば、どれでも大丈夫です)。(あ)で面BCGFを見ると、ぬられている三角形のうち、角が直角になっているのは頂点Bのところですね。つまり、(い)のBCGFの面のうち、左上がBになるように頂点を配置すればいいでしょう。これで準備完了です。あとは、順に頂点に記号を書いていくだけです。
まず、(い)で面BCGFの右隣の面に注目しましょう。ここは4つの頂点のうち2つがC、Gと分かっています。再び(あ)の図に戻って辺CGがある面を探すと、既に書き込んだ面BCGF以外では、その隣の面CGHDだけですね。面の周に沿って頂点を読み上げるとC→G→H→Dの順になっているので、図(い)にもこの順で書き込みます。これで2つ目の面が分かりましたね。あとはこの繰り返しです。そうやって、順々に隣の面の頂点を書き込んでいけば、図(あ)のどの面が図(い)のどこにきているのかがわかるでしょう。青くぬられている面(面ABCDと面ABFE)の場所がわかれば、三角形の向きに注意して、頂点Bが直角の場所にあたるように図(い)に書き込めば、答えの完成です。手順は少し面倒で、慣れるまでにはある程度の練習が必要ですが、この技術を身につければ、“感覚”には一切頼ることなく、面の対応関係を正確に知ることができるようになるのです。
立体のセンスを身につけるには、たくさんの立体に実際に触れることが大事だ、というのは、もちろんその通りです。ただ、そうやってたくさん触れれば必ず頭の中でイメージできるようになるかというと、そう単純なものでもありません。何度も立体と触れ合って、それでもうまくイメージできるようにならなくても、センスがない、と諦めないでください。感覚的にたどり着けないものに技術的にたどり着くことも、算数の大事な役割の一つです。感覚を鍛えるのもよし、技術を磨くのもよし、いずれも“算数”の重要な要素であることを、この問題を通して実感してもらえればいいなと思います。


 いかがでしょうか。そんなこんなで、年が明けてしまいましたね。年が明けるたびに、今年こそは生活習慣を改善しよう、みたいなことは考えるのですが、毎年そんなに変わらないような気がするので、そろそろ諦めモードもないわけではありません。それでもやはり、一応なんというか、今年こそはしっかり運動したりバランスのいい食事をしたり、部屋をきれいに保ったりして生きていきたいとは思っています。頑張りますね。

 それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

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