小田先生のさんすう力UP教室

展開図を組み立てよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、最近漂白剤で茶渋を落とすのにハマっている小田です。茶渋に限った話ではありませんが、普通の洗剤で落ちない汚れがきれいに落ちていく様子を見るのは、爽快感がありますよね。ひととおり漂白してしまうと、その楽しみがなくなってしまうのが残念ですが、きれいな食器はそれはそれで使っていて気持ちいいので、しばらくはそちらを楽しみつつ、また茶渋がたまっていくのを待ちたいと思います。

 さて、今回は展開図を組み立てる問題です。あまり得意でない人も多いかもしれません。目的はいろいろな立体図形と仲良くなることなので、難しそうなときは無理せず実際に組み立ててみてください。

 それでは早速行ってみましょう。

Stage32:展開図を組み立てよう

例題

次の(ア)(イ)(ウ)のうち、組み立てたときに下の図のようになるものはどれでしょう。
下の図のようになるものには〇、ならないものには×と答えてください。

 

例題の答え

(ア)〇 (イ)× (ウ)〇

 

問題の意味は大丈夫でしょうか。(ア)(イ)(ウ)の形を組み立てたときに立方体になるかどうか、という問題です。立方体を見たことがあまりないようでしたら、まずサイコロなどを見せ、「この形だよ」と伝えてあげるといいでしょう。実物を見たあとは、いったん視界から外してしまっても構いませんが、そのまま見ながら問題を考えても大丈夫です。

作るべき形がわかったら、あとはまたいつも通り見守ってあげてください。冒頭でもお伝えしたように、難しいようでしたら実際に組み立ててみてください。お子さんが答えを出したら、正解かどうかを伝えてあげるといいでしょう。不正解のものについては、やはり実際に組み立ててあげて、本当はできる(もしくは、本当はできない)ことを確認してあげてください。

解いてみよう

Level 1

次の(1)(2)(3)の形は、組み立てると下図のような形になりますか。下図のような形になるものには〇、ならないものには×と答えてください。

 

Level 2

次の(4)(5)(6)の形は、組み立てると下図のような形になりますか。下図のような形になるものには〇、ならないものには×と答えてください。

 

Level 3

次の(7)(8)(9)の形は、組み立てると下図のような形になりますか。下図のような形になるものには〇、ならないものには×と答えてください。

 

解答

Level 1

(1)〇 (2)〇 (3)×

Level 2

(4)〇 (5)× (6)〇

Level 3

(7)〇 (8)〇 (9)×

さんすう力UPのポイント

5月号で、「“図形のセンス”を身につけるためには、基本的な図形と仲良くなることが大事」とお伝えしましたね。5月号では主に平面図形のお話をしましたが、立体図形でもそれはやはり同じです。“立体図形のセンス”を身につけていくためにも、やはり「基本的な立体」と仲良くなることが大事なのです。
例題で扱った「立方体」こそ、日常生活でたまに見かける気はしますが、Level1のような「正四面体」となると、なかなか身の回りにあるものではないかもしれません。しかし、展開図を見ていただくと分かるとおり、この「正四面体」は「すべての面が正三角形でできている」という、ある意味ではとても美しい立体のうちのひとつですね。実際に子どもにこの問題を解いてもらうと、確かに「見たことがない」という子どもが多いのですが、その度に、「もっと“美しい立体”に触れる機会を増やしてあげられるといいのにな」と思ったりします。
多くの子どもたちを見ていく中で、やはり「立体図形が苦手」というご相談をよく受けます。しかしそれはよくよく考えてみると当たり前のようにも思えています。普段の生活の中で、“美しい立体”と触れ合う機会はそれほど多くありません。ましてや、そういったものをじっくり観察し、細部の特徴を詳しく知る機会はなかなかないですよね。その状態で「立体図形の問題」を解けと言われても、まあ普通は解けないでしょう。その意味では多くの子どもたちは、立体図形が「苦手」なのではなく、ただ単純に「まだよく知らないだけ」と言うことができます。
今回の問題の目的は、そういった“仲良くしてほしい立体図形”と触れ合う機会を増やす、ということです。立体図形のセンスというと、「複雑な図形を頭の中で想像できるようにする」というイメージがあるかもしれません。そういった要素もないわけではありませんが、誤解を恐れずに言ってしまうと、それはある種の“特殊能力”であって、「算数の学習」で身につけなければいけないものではありません。あくまで“算数の学習”の目的は、世界にはさまざまな立体があることを知ることであったり、それらの立体の特徴を理解することであったりするはずです。
5月号で、平面図形の中で最も基本的な図形として、「正方形と正三角形」を挙げましたね。立体図形でも、これらを組み合わせて作ることができる立体は、まず“基本的な図形”に分類していいでしょう。正方形のみで作ることができるのは、例題の「立方体」のみですが、正三角形のみで作れる形は、Level1の「正四面体」以外にも、いくつかあります。そして、正方形と正三角形を組み合わせて作ることができる立体は、Level2やLevel3の立体以外にもさらにいろいろとあるのです。そういった図形と、まずは“仲良くなってほしい”というのが、今回の問題の狙いです。
いわゆる“知育玩具”の中には、正方形や正三角形の面を自由に組み立てて、いろいろな立体を作れる玩具もありますので、お持ちの方はぜひそういったものでも遊んでみてください。お持ちでない方のために、いくつか展開図を紹介しておきますので、そういった方はそちらをぜひ組み立ててみてください。


 いかがでしょうか。

 部屋の掃除も徐々には進めているのですが、そんな中、先日ついに愛用の掃除機が壊れてしまいました。思い返せば20年近くも使っているような気がする掃除機です。何かのポイントでもらったような記憶があるのですが、よくこんなにもったな、というのが正直な感想です。せっかく買い替えるので、高性能な掃除機を買ってみようと思ったのですが、最新のものって結構いいお値段するんですね。躊躇するついでに、今まで使っていたものの会社を調べてみると、同じシリーズの後継機種が5000円くらいでありました。「安くて長持ちするものをずっと出していて、会社は大丈夫なのかな」と要らぬ心配もしたりしつつ、応援と感謝の気持ちを込めて、その掃除機と、それからその会社の株も買いました。それでも高機能な掃除機より安いという。その会社さんには、ぜひこれからも頑張ってほしいところです。

 それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

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